HIV/AIDS関連情報

2007年2月15日(木) レイフ・ファインズの痴態

 イギリスの俳優レイフ・ファインズは、現在ユニセフの大使をしており、最近インドでおこなわれたイベントに出席しHIV陽性者に対して講演をおこないました。

 ユニセフは1946年に設立された国連の下部機関で、世界の困窮した子供たちを救援することを主目的としています。黒柳徹子さんが親善大使をしていることでも有名です。

 そのユニセフで大使をしているレイフ・ファインズがとんでもない"痴態"をさらしました。

 レイフ・ファインズはシドニーでのイベントに参加した後、カンタス航空でシドニーからインドに向かいました。2月12日のNEWS.COM.AUによりますと、レイフは、その機内でカンタス航空の38歳のフライトアテンダントをトイレに連れ込んだそうです。

 このフライトアテンダントは同紙の取材に次にように答えています。

 「レイフはあたしがトイレに入ろうとしたとき一緒に入ってきたのよ。こんなことはよくないからすぐに出て行くように説得したわ・・・」

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 事の真相はよく分かりませんが、これが事実だとしたら、HIV陽性者に会いに行く前にこんな痴態をさらすような人物にユニセフの大使をつとめてもらいたくありません・・・。

(谷口 恭)

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2007年2月14日(水) マレーシア、違法薬物のプッシャーが逮捕

 2月6日のバンコクポストによりますと、2月2日、マレーシア北部のペナン州の警察が違法薬物のシンジケートのアジトを暴き、このシンジケートのメンバーである36歳の男を逮捕し、およそ100万リンギット(約3,400万円)に相当する違法薬物、及びそれらを精製したりパケットにしたりする器械を押収しました。

 押収された薬物は、1,288グラムのヘロイン、1,263グラムの粉末の覚醒剤(メタンフェタミン)、904グラムのケタミン、2,000錠以上のエクスタシー(MDMA)です。

 警察の調べで、このシンジケートは違法薬物を海外から大量に仕入れ、小さなパケットに詰め替えていたことが分かりました。現在マレーシア警察はこのシンジケートの他のメンバーの行方も追っています。 

 マレーシアは違法薬物に対する取締りが大変厳しく、麻薬を所持していれば絞首刑になります。押収された薬物のなかには麻薬(ヘロイン)が含まれていますから、この男が死刑になるのは間違いありません。

 これだけ厳しい法律が施行されている国で大量の薬物が押収されたわけですから、アジア全域でみたときの流通量を考えると恐ろしくなります・・・。

(谷口 恭)

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2007年2月14日(水) タイ女性の"指名手配"に領事館が抗議

 HIV陽性者の人権は何としてでも守らなければなりません。それは海を越えても同じことです。現在、バーレーンで、ひとりのタイ女性の人権が侵害されています。そして、タイ領事館はこれに抗議をおこなっています。

 2月4日のバンコクポストによりますと、バーレーン警察がひとりのタイ女性を指名手配しています。容疑は、この女性が故意に自分のHIVを他人に感染させようとしているというものです。この警察の動きに対し、バーレーンのタイ領事館が抗議をおこないました。

 現在36歳のこの女性(新聞には名前が報道されていますがここでは伏せておきます)は、以前バーレーンの会社で働いており、2005年の11月にタイに帰国しています。HIVにはどこで感染したのかは分かりませんが、彼女がHIV陽性であることは間違いないそうです。タイ帰国後の彼女の居場所は分かりませんが、バーレーンに再入国したという事実は確認されていません。

 この女性が以前勤務していた会社が、「彼女は故意にHIVをバーレーンで広めようとしている」と発言し、これを受けたバーレーン警察は、彼女をバーレーン全国で指名手配し、新聞には写真を含む彼女の個人情報を公開しました。警察は、彼女が偽名を使ってバーレーンに再入国しているとみています。

 これに対しバーレーンのタイ領事館は不快感を表明し、スポークスマンは次のようにコメントしています。

 「彼女はHIV陽性で、2005年にタイに帰国したことは判っているが、その後再入国した形跡はない。我々はこの件についてバーレーン政府と協力していくつもりで、我々の知りえた情報はすべて共有していく方針である。しかしながら、彼女の写真を含むプライベートな情報を公開するのは適切な方法ではない。これは彼女に対する人権侵害である。我々は彼女の人権を侵害するのではなく、彼女を助けることに努めるつもりである」

 そして、バーレーン政府に対し、彼女が再入国し故意にHIVを感染させようとしている証拠があるのかと尋問しました。

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 ひとりの国民の人権侵害に対し、堂々とバーレーン政府に抗議したタイ領事館は立派だと言えるでしょう。同じことが日本人で起こったときには、日本領事館が国民の人権を守ってくれることを信じたいものです。

(谷口 恭)

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2007年2月13日(火) 中国のエイズ活動家が軟禁状態に

 以前に比べると慈善団体の活動に対する中国政府の対応は随分と軟化しているように感じますが、それでも、やはり共産党独裁政権なんだなぁ・・・と思わずにはいられない事件がときおり報道されます。昨年このコーナーでお伝えした事件「中国のNGOが強制解散させられた理由とは?」(2006年10月23日)はその一例です。

 中国河南省にGao Yaojieという80代の素晴らしい女性医師がいます。Gao医師は来月に米国でおこなわれるVital Voice Global Partnershipというチャリティ団体から表彰される予定ですが、中国政府がGao医師の渡米を阻止しようとしています。尚、このチャリティ団体はヒラリー・クリントン氏も支持しています。

 まずは、Gao氏の功績についてまとめておきましょう。Gao氏の住む河南省では90年代半ばから売血によってHIVが急速に広がり始めました。特に産業もないこの地域では住民のほとんどが貧困な状態にあり、生きていくためには自分の血を売って生活するしかなかったのです。しかし不衛生な状態で採血がおこなわれたため、使いまわしの針が原因でHIVが一気に蔓延しました。

 Gao医師はこの事実を訴え、エイズに関する基本的なことを書いたパンフレットを作成し、鄭州(河南省の省都)の長距離バスターミナルで配布しました。河南省の売血事情を本にもまとめました。そして、抗HIV薬を支給し、エイズに苦しむ人々やエイズ孤児たちを自分の質素なアパートに招きケアをおこないました。これらにかかった費用は、一部の寄附金以外はすべてGao医師個人が捻出したものです。

 現在Gao医師は引退していますが、売血によりHIVが蔓延したことを告発したことでこれまでにも多くの賞を受賞しています。2001年には、国連の賞を受け取るためワシントンに渡航する予定でしたが、中国政府にパスポートの申請を拒否され授賞式には参加できませんでした。

 2月4日のAP通信によりますと、Gao医師は現在自宅で軟禁されています。河南省の役人がGao医師に来月おこなわれる授賞式に出席しないように警告しましたが、Gao医師はこれを拒否したからです。そこで省の役人はGao氏を自宅に軟禁し渡米のためのビザ申請に北京に行けないようにしています。

 Gao医師の友人や家族もGao医師の自宅を訪問できないようにされ、Gao医師の娘は現在警察の事情聴取を受けています。1月末からGao氏の自宅の電話には誰もでないそうです。

 河南省はマスコミの電話取材に答えることを拒否しています。

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 中国政府と河南省に激しい憤りを感じる事件です。やはりこの国に民主主義はないのでしょうか。

(谷口 恭)

参考:「河南省のエイズ村告発小説が発禁命令」2006年9月27日
    「河南省の最新情報」2006年9月23日
    「依然真相不明―河南省のエイズ村―」2006年8月19日

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2007年2月13日(火) 日本、錠剤型の覚醒剤押収量が戦後2番目に

 2月1日の日本経済新聞によりますと、昨年(2006年)1年間に押収された錠剤型の覚醒剤が、前年比約2.2倍の56,886錠にのぼったことが警察庁の調べであきらかとなりました。この数字は1958年に次いで戦後2番目だそうです。

 一方、粉末の覚醒剤の押収量は125キログラムで、前年比5.1%の増加でしたが、400キログラムを超えていた2002年から2004年の3割程度だそうです。

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 最近はヨーロッパからの密輸で錠剤型覚醒剤が大量に入ってきているとの報道がありますが、日本では伝統的?に"結晶型"(通称"アイス")の方が問題になっており、錠剤型の覚醒剤はそれほど流通量が多くないと言われていました。

 日経新聞の報道では、錠剤と粉末についてしか述べられておらず、結晶についてはなぜか記載がありませんが、おそらく最近のアジア全体での流行から考えて"アイス"の流通量はかなりのものになるでしょう。

 このウェブサイトで何度も述べているように、日本が"覚醒剤天国"の汚名を返上するためには、他国との協力を惜しまずに、製造・密輸・販売・使用のいずれの対策にも力を注がなければなりません。

(谷口 恭)

参考:「関空で5,600錠の覚醒剤押収」2006年10月28日
     「オーストラリア、10人に1人が"アイス"を経験」2007年2月6日

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