HIV/AIDS関連情報

2007年2月19日(月) ウドンタニの刑務所で小児愛者が自殺

 2月15日のバンコクポストによりますと タイで12歳の少女をレイプして逮捕された64歳のドイツ人男性がウドンタニ県(イサーン北部の大きな県)の刑務所内で2月13日に自殺をしていたことをタイ警察が発表しました。

 死体にはリストカットをした形跡があり、喉にはまるめたソックスが詰められていたそうです。検察は、手首の傷がそれほど深くないことから、失血ではなく窒息による死亡とみています。 

 このドイツ人男性は、ウドンタニ県のレンタルハウスに滞在していたところを2月10日に逮捕されていますが、押収されたデジタルビデオカメラには、この少女をレイプするシーンがおさめられていたそうです。有罪が確定すれば10年から20年の実刑が下されることになったようです。

 この男は、以前は母国でコンピュータ関係の技術職に従事しており、過去15年のあいだ定期的に訪タイを繰り返しており、タイ語も堪能だったといいます。

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 このウェブサイトでは何度も述べていますが、タイには世界中から小児愛者が集まってくるという傾向があります。この男は自ら命を絶ちましたが、被害にあった12歳の少女の今後の人生を考えると激しい憤りを感じます。10年から20年の実刑などというのが甘すぎるわけで、適切な罪を課し、被害者を救済するのと同時に新たな被害者を出さないような対策を講じてもらいたいと思います。

(谷口 恭)

参考:「タイ、海外の指名手配中の小児愛者を調査」2007年2月2日
    「イギリスのロリコン教師がバンコクで逮捕」2007年1月30日

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2007年2月19日(月) 危険なタイのティーンエージャー

 タイの思春期医療の専門医である小児科医スリヤデオ・トリパチ医師(Dr.Suriyadeo Tripathi)が、現在のタイのティーンエージャーの危険性について発表をおこない、2月15日のバンコクポストが報道しています。

 「コンドームを用いない性行為(unprotected sex)は、望まない妊娠だけでなく、子宮けい癌などの危険な性感染症にもつながることを10代の若者は認識しなければならない。10代の少女がボーイフレンドから愛を確かめるためにセックスをしようと誘われたときに"ノー"と言うべき理由はいくつもある」、とスリヤデオ医師は警告しています。

 スリヤデオ医師は、ユニセフの報告を引き合いに出し、タイの15歳から24歳の60%が処女を失ってから1年以内になんらかの性感染症に罹患している可能性があることを述べました。

 この医師の研究によりますと、初めての性行為をおこなってから1年以内に避妊ピルやコンドームを使い始める10代の少女もいますが、コンドームを常に使う少女は20%に過ぎないそうです。

 ユニセフの報告では、タイでは約6万人のティーンエイジャー(15歳から19歳)がHIVに感染しており、HIV関連の死亡は、今や事故についで10代の死因の第2位です。(参考までに、若者の人数が700から800万人と、タイと同規模のカリフォルニア州ではティーンエイジャーのHIV陽性者は約4千人です。カリフォルニアの死因第2位は他殺です)

 現在のタイの10代の少女のあいだで最も流行っている性感染症が淋病とクラミジアです。これらは骨盤内感染症を引き起こし、正常な妊娠ができなくなることもあります。また、子宮けい癌の原因となるヒトパピローマウイルス(HPV)も広く蔓延しています。HPVは感染しても80%は数年以内の間に陰性化しますが、20%は慢性化し子宮けい癌のリスクとなります。

 「少女のなかには、自分が性感染症に罹患していることを恥ずかしいことと感じており、パートナーに言えない者もいる。そして、これが問題をさらに悪化させている」、とスリヤデオ医師は言います。そして、まずはマスコミが刺激的な映像を流していることが問題であることを指摘し、少女たちには4つの"ノー"を言うように提言しています。

 4つの"ノー"とは、「オープンな誘い(open invitation)に対する"ノー"」、「誘惑的な振る舞い(seductive behavior)に対する"ノー"」、「遠くに行くことに対する"ノー"」、そして「アルコールに対する"ノー"」、です。

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 タイに比べるとHIVの罹患率は現時点では少ないものの、日本でも10代の少女の淋病、クラミジア、HPV感染は広く蔓延しています。日本の少女たちも"ノー"と言えるようになるでしょうか・・・

(谷口 恭)

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2007年2月15日(木) オーストラリアの病院でHIV院内感染の疑い?

 2月9日のNEWS.COM.AUによりますと、オーストラリア首都特別地域保健局は97人の子供がB型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、HIVなどに感染している可能性があることを発表しました。

 これらのウイルスに感染している可能性があるのは、1987年の2月から2006年の10月中旬までに、キャンベラ市内のある病院で大腸の生検(大腸の組織を一部取る検査)がおこなわれた子供であると発表されています。昨年10月に院内のスタッフが、生検で使用する鉗子が適切に滅菌されていないことに気づき、ウイルス感染の可能性が否定できないために保健局が公表するにいたりました。

 現在、保健局は、この大腸の検査を受けて感染の可能性があると考えられている97人のうち70人に連絡を取り、これら感染症の検査を受けるように促しました。残りの27人は現時点で連絡がついていないそうです。

 保健局は、「感染している可能性は小さいが倫理的な観点からもこれら患者さんに連絡すべきと考えた」、とコメントしています。

 一方、シドニー大学の法医学に詳しいロガー・マグヌソン(Roger Magnusson)教授は、今回の保健局のとった措置に対して、「リスクが極めて小さいのにもかかわらず保健局は患者と家族に過剰な心配を与えている」、と指摘しました。同教授は続けます。

 「たとえ感染していないことが判っても、不安な気持ちに支配されることがある。感染してなくてもそのような病原体に接触した可能性のあることを心配しすぎて、精神的な障害が出現する可能性もある。また、子供から親に家庭内感染したのではないかと心配させることにもつながる。保健局は詳細をどのように公開するかについて充分に注意しなければならない」

 保健局が今回の対応に踏み切ったのは、この病院の感染予防対策が、1994年に制定された規約に基づいていなかったからです。現在、保健局はホットラインをつくりまだ連絡が取れていない患者さんを探しています。

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 今回対象となっている感染したかもしれない(元)患者さんはいずれも子供です。マグヌソン教授が懸念しているように、子供に過剰な不安を与えないか、異国のことながら心配になります・・・。

(谷口 恭)

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2007年2月15日(木) オーストラリア、C型肝炎ウイルスも急増

 2月12日のNEWS.COM.AUによりますと、シドニーの若い世代のドラッグユーザーの間でC型肝炎ウイルスの感染が急増しています。ドラッグユーザーの感染率はロンドンを抜いて世界一となったようです。最近では、実に毎年ドラッグユーザーの2人に1人がこのウイルスに感染していることになります。

 もう少し詳しくみてみると、新たに薬物を開始して1年以内にC型肝炎ウイルスに罹患するのは100人あたり46人で、ロンドンの42人を凌いでいます。
 
 これまで世界一と言われていたロンドンの感染率を上回ったことがわかり、ニューサウスウエールズ州の研究チームは「緊急の対策を要する」と警告しています。

 ドラッグユーザーの間でも特にリスクが高いのが、女性、20歳以下、東南アジア出身、コカイン使用者、だそうです。

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 オーストラリアでは、囚人の間でのC型肝炎ウイルスの高い感染率も以前から問題になっています。同日のNEW.COM.AUの別の記事には、囚人の3人に1人がC型肝炎ウイルスを保持していることが述べられています。

 地域ごとにみると、ニューサウスウエールズ州の囚人で最も感染率が高いようです。

 さらに、囚人の5人に1人がB型肝炎ウイルスに罹患していることも分かりました。ただHIVは1%とそれほど高くないという結果がでました。

(谷口 恭)

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2007年2月15日(木) 今、オーストトラリアが危ない

 オーストラリアは、一時はHIV減少に成功した国だと言われていましたが、最近の状態は"最悪"と言っても過言ではないと思われます。

 2月9日のBBC NEWSによりますと、同国ではHIVの感染率が2000年から2005年で41%も上昇しています。

 2005年、オーストラリアでは950人のHIV陽性者が新たに発見されました。そのうちおよそ8割が男性同性愛者で、異性愛者は18%です。以前は感染者の占める割合が多かったIDU(薬物を静脈注射する人)は、針の無料交換制度が功を奏したため1%にまで減少しています。

 この数字から分かるように、オーストラリアで最もハイリスクなグループはゲイ(男性同性愛者)です。90年代後半にはゲイの間での感染率はいったん減少傾向となりましたが、2000年以降は再び上昇に転じています。

 1984年にHIV陽性が判明し、現在最も長生きしている陽性者のひとりである男性(ゲイ)は言います。

 「新しい世代のゲイはHIVに無関心なんだよ。HIVは死なない病気になったからね」

 たしかに、HIVは以前のように"死に至る病"ではなくなり、慢性的な疾患のひとつとなっています。しかし、"死なない病気"になったが故に、人々の関心が薄くなったというのはなんとも皮肉な結果です。

 ところで、オーストラリアのゲイコミュニティのHIV感染には興味深い特徴があります。ヴィクトリア州、クイーンズランド州では新たにHIVに感染するゲイが急増しているのにもかかわらず、ニューサウスウエールズ州では減少しているのです。メルボルン(ヴィクトリア州の州都)では急増し、シドニー(ニューサウスウエールズ州の州都)では減少しているというのです。この現象が不思議なのは、シドニーはオーストラリアでゲイが最も多い都市と言われているからです。

 この理由については正確なことは分かりませんが、あるエイズ関係者は、「シドニーのチャリティ団体や州の取り組みの成果ではないか」とみているようです。

(谷口 恭)

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