HIV/AIDS関連情報

2006年8月19日(土) 依然真相不明―河南省のエイズ村―

 8月18日のロイター通信によりますと、中国河南省(Henan)の共産党幹部が、「エイズ対策に用意された金を横領した」罪で逮捕されました。その金額はおよそ150万円で、横領したという確かな証拠は見つかっていないそうです。

 この事件の真相はともかく、この河南省というところは、依然から「エイズ村」が存在すると言われていました。

 ロイターの報道にもあるように、この貧困地域では1990年代まで、いわゆる「売血」がおこなわれており、1回で50元(約730円)の現金収入が得られることから貧困にあえぐ村人は列をつくったと言われています。注射針の使いまわしにより、数千人の人がHIVに感染し、なかには、住民の過半数が売血でHIVに感染した地域がある、との噂もあります。

 中国当局は否定し続けていますが、90年代後半あたりから、この噂は世界中を駆け巡りました。そして、この噂がさらに大きくなったのは、取材に行ったジャーナリストが次々と行方不明となったからです。私自身は、これを「噂」でしか聞いたことがなく、信頼できるメディアの報道は見たことがありませんでしたが、今回のロイターの記事では、この噂を裏付けるかのように、「拘束(detain)され脅し(harasses)をうけたジャーナリストがいる」、と報道されています。

 現在、中国のHIV陽性者はおよそ65万人とされていますが、実際は、河南省だけで100万人を超えると見ている専門家は少なくありません。

 ちなみに、河南省とは黄河の南に位置し、1億人近い人口を抱えています。7月28日付けの「中国政府、保証を求めたエイズ患者を逮捕」という記事も河南省での出来事です。

(谷口 恭)