HIV/AIDS関連情報

2007年2月14日(水) タイ女性の"指名手配"に領事館が抗議

 HIV陽性者の人権は何としてでも守らなければなりません。それは海を越えても同じことです。現在、バーレーンで、ひとりのタイ女性の人権が侵害されています。そして、タイ領事館はこれに抗議をおこなっています。

 2月4日のバンコクポストによりますと、バーレーン警察がひとりのタイ女性を指名手配しています。容疑は、この女性が故意に自分のHIVを他人に感染させようとしているというものです。この警察の動きに対し、バーレーンのタイ領事館が抗議をおこないました。

 現在36歳のこの女性(新聞には名前が報道されていますがここでは伏せておきます)は、以前バーレーンの会社で働いており、2005年の11月にタイに帰国しています。HIVにはどこで感染したのかは分かりませんが、彼女がHIV陽性であることは間違いないそうです。タイ帰国後の彼女の居場所は分かりませんが、バーレーンに再入国したという事実は確認されていません。

 この女性が以前勤務していた会社が、「彼女は故意にHIVをバーレーンで広めようとしている」と発言し、これを受けたバーレーン警察は、彼女をバーレーン全国で指名手配し、新聞には写真を含む彼女の個人情報を公開しました。警察は、彼女が偽名を使ってバーレーンに再入国しているとみています。

 これに対しバーレーンのタイ領事館は不快感を表明し、スポークスマンは次のようにコメントしています。

 「彼女はHIV陽性で、2005年にタイに帰国したことは判っているが、その後再入国した形跡はない。我々はこの件についてバーレーン政府と協力していくつもりで、我々の知りえた情報はすべて共有していく方針である。しかしながら、彼女の写真を含むプライベートな情報を公開するのは適切な方法ではない。これは彼女に対する人権侵害である。我々は彼女の人権を侵害するのではなく、彼女を助けることに努めるつもりである」

 そして、バーレーン政府に対し、彼女が再入国し故意にHIVを感染させようとしている証拠があるのかと尋問しました。

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 ひとりの国民の人権侵害に対し、堂々とバーレーン政府に抗議したタイ領事館は立派だと言えるでしょう。同じことが日本人で起こったときには、日本領事館が国民の人権を守ってくれることを信じたいものです。

(谷口 恭)