GINAと共に

第202回(2023年4月) トランス女性を巡る複雑な事情~後編~

 日本ではコロナの第1波がようやく終息したばかりで先の不安が国全体に広がっていた2020年6月11日、BBCはトランスジェンダーの歴史に残るであろうある記事を掲載しました。

 「J・K・ローリング、トランスジェンダーのツイートへの批判に反応(JK Rowling responds to trans tweets criticism)」というタイトルのこの記事、非常に示唆に富んでいるために少し詳しく紹介しましょう。この記事が報道している出来事は、歴史に残る"事件"と呼んでもいいと私は思うのですが、なぜか日本のメディアはほとんど取り上げていません。当事者(と呼んでいいかどうかわかりませんが)日本のセクシャルマイノリティの人たちもこの話題にはあまり触れていないような気がします。J・K・ローリング(以下、単に「ローリング」)は言うまでもなく『ハリーポッター』の作者で、世界中の大勢の人々に影響を与える人物です。これほどの有名人による「物議を醸す発言」であるのにもかかわらず、なぜか日本ではあまり注目されていません。

 事の発端は、「devex」という「開発」に主眼をおいた米国のメディアです。このメディアに2020年5月28日「オピニオン: 月経のある人のためにより平等なコロナ後の世界を作る(Opinion: Creating a more equal post-COVID-19 world for people who menstruate)」という記事が掲載されました。内容は、「月経関連で苦労や不衛生を強いられている女性が世界にはたくさんいる。そういう人たちが安心して過ごせる世界をつくらねばならない」という内容のもので、取り立てて問題を起こすようなものではありません。

 ローリングが反応したのは「月経のある人(people who menstruate)」という表現に対してです。現在のポリティカル・コレクトネスを考慮した風潮では、「女性=月経がある」わけではありません。なぜなら、トランス男性は「月経があるけれど性自認は男性」ですし、トランス女性は「月経がないけれど女性」だからです。ローリングのTwitterの全文を紹介しましょう。

'People who menstruate.' I'm sure there used to be a word for those people. Someone help me out. Wumben? Wimpund? Woomud? (「月経のある人」? そういう人たちを指す単語が昔はあったんじゃなかったっけ? 誰か私が思い出すの助けて。たしか、Wumben? Wimpund? Woomud?)

 私の解釈が正しければ、ローリングは「月経のある人」などとまどろっこしい言い方をするメディアを皮肉っています。つまり、「初めから『女性(=woman)』と言えばいいものを、なんでそんな言い方をするのだ。最近はポリコレだらけでみんながwomanと言わないから、womanという言葉を忘れてしまったよ」と厭味を言っているわけです。

 このローリングのTweetに非難が殺到しました。「womanという言葉にはトランス女性も含めなければならないのは当然だ。にもかかわらず、ローリングは『月経のある人=woman』と言っている。ローリングは月経のないトランス女性を女性と認めない発言をした!」という批判が世界中で巻き起こったのです。

 最近では批判されるとすぐに謝罪文を出す者が多いなか、ローリングは今もこのTweetの文章を撤回していません。そして、自身への批判に対する反論をブログで公開しました。このブログには、自身がDVの被害で辛酸を舐めなければならない時期があったこと、自身のトランスジェンダーとの関わりなどが細かく述べられています。さらに、「トランスジェンダーの人たちは生物学的な性別を変えることができない」と表明して解雇された研究者を支持していることも述べました。

 ローリングはまた別のTweetもしています。ここで一部を紹介します。

I know and love trans people, but erasing the concept of sex removes the ability of many to meaningfully discuss their lives. It isn't hate to speak the truth.(私はトランスの人たち知っていて愛しています。けど、セックス(性別)の概念を取り払ってしまえば、大勢の人たちが自分の人生について有意義に話し合うことができなくなるのではないでしょうか。真実を話すことはヘイトスピーチではありません」

 しかしローリングがいかに反論しようが、「ローリングはトランスフォビア(トランスジェンダーを嫌う人)」という烙印がすでに押されてしまっています。さらに、ハリー・ポッターの出演者からも批判されています。

 「ハリー・ポッター」シリーズでHermione Granger役を演じたEmma Watsonは、上述のBBCの記事で「トランスジェンダーの人たちは、その人たちがそうだと言ったままの人たちであって、彼(女)らのアイデンティティーに対して疑問を持たれたり、違うと言われたりすることなく生きる権利がある」とローリングを批判するコメントを表明しています。

 また、「ハリー・ポッター」で主役を演じたDaniel Radcliffeは、BBCの別の記事で、「トランスジェンダーの女性は女性であり、これに反する発言はすべてトランスジェンダーの人たちのアイデンティティーや尊厳を奪うものだ」と述べ、ローリングの意見に反対を表明しています。

 BBCのこの記事のタイトルは「エディ・レッドメイン、J・K・ローリングのトランスジェンダーに関するツイートに反対(Eddie Redmayne speaks out against JK Rowling's trans tweets)」です。エディ・レッドメインはこのサイトでも過去に少し紹介した映画『リリーのすべて』の主演を演じた俳優で、『リリー......』は世界初の性別適合手術を受けたトランス女性の実話に基づいた映画です。

 そのエディ・レッドメインはローリングのTweetに対し、「トランスジェンダーのコミュニティを代弁するつもりはないが、自分にとって大切なトランスジェンダーの友人や仲間たちは、アイデンティティーを疑問視されることにくたびれている。そういう疑問はえてして暴力や虐待につながるんだ」と反論しています。尚、エディ・レッドメインの実際の性自認・性的指向について断言することはできませんが、英国の女優Hannah Bagshaweと結婚して二人の子供がいるそうです。

 ここからは私見を述べます。Emma Watson、Daniel Radcliffe、エディ・レッドメインの3名のコメントをよく読むと、いずれも話を短絡化しすぎていないでしょうか。つまり、「自分の性自認は自分で決めるべきものであって、他人からとやかく言われる筋合いはない」という単純な主張をしているだけです。

 これは「性自認の認識は個人の自由」という観点からみれば一見正しそうですが、しかしそれは「真実を話している」ことが条件となります。もしも、「自分の性自認は女性だ」と言っている「トランス女性に見える人」が、虚偽を述べており、本当は「単に女装癖があるだけで性自認は男性、性的指向は女性」であったとすれば誰が見抜けるでしょう。あるいは、実際に性自認が女性のトランス女性であっても、性的指向が女性(つまりレズビアンのトランス女性)であったとき、世間はこのトランス女性が女子トイレを使うことを手放しで歓迎するでしょうか。

 TERF(ターフ)と呼ばれるフェミニストの人たちがいます。「Transgender Exclusionary Radical Feminist」の略で、和訳すると「トランスジェンダーを排他する急進的なフェミニスト」となるでしょうか。要するに、「生物学的な男性として生まれた人は男性であり、性別適合術を受けようがトランス女性は<女性>ではない」と考える人たちのことです。

 TERFに対し、TRAと呼ばれるグループもあります。こちらは「Transgender Rights Activist」の略で、TERFを批判しトランスジェンダーの人たちを擁護するグループです。

 前回述べたように、私自身は2004年にタイの施設でトランス女性の人たちと仲良くなってから、彼女らの性自認が女性であることを疑わず、常に彼女たちの味方でいるつもりでいました。ですが、「女装癖のあるストレートの男性」「レズビアンで暴力的なトランス女性」の話を聞くにつれ、TERFに同意することはないにせよ、無条件で「トランス女性(と主張する女性)は女性」という考えに疑問を持つようになってきました。

 トランス女性(と主張する女性)が女子トイレを使ってもいいか、という問いに答えるのは簡単ではありません。

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第201回(2023年3月) トランス女性を巡る複雑な事情~前編~

 私がトランスジェンダーの人たちの世界に本格的に関わり始めたのは2004年、タイのエイズ施設でした。2年前の2002年にその施設を訪問したときには、タイでは抗HIV薬がまだ使われておらず、HIV感染は「死へのモラトリウム 」を意味していましたが、2004年には抗HIV薬が広く普及し始めていて、比較的元気な患者さんも少なくありませんでした。

 そのなかに、個人的に仲良くなったトランス女性の人たちが何人かいました。"彼女"たちと話せば話すほど、"彼女"たちが「女性」であることがよく分かりました。性別適合手術(gender-affirming surgery)(当時はまだ性転換手術「sex-change operation」と呼ばれていました)を実施している「女性」も、していない「女性」もいました。

 当時の私は、「"彼女"たちの性自認(gender identity)は「女性」なのだから当然それを尊重しなければならない」と考えていました。"彼女"らには(希望すれば)女性トイレを使う権利があり、誰も"彼女"らを男性のように扱うべきではないと考えました。

 しかし、現在はその考えに少し「疑問」を持っています。そのような疑問を持つようになった事例を紹介しましょう。ただし、この事例は数年前に太融寺町谷口医院(以下、谷口医院)で経験した実例ですが、極めてプライベートな内容を含んでいることもあり、事実にやや変更を加えています。ただし、本質は何ら変わっていません。

 2010年代後半のある日、「離婚を考えている」という40代のある女性患者から相談を受けました(その女性の病気については伏せておきます)。離婚を考える理由は「夫が警察に逮捕されたから」というものでした。長い人生のなかで配偶者が逮捕(誤認逮捕も含めて)されるという経験はそう珍しくはないでしょう。それだけで離婚を考えると言うにはそれなりの理由があるはずです。40代のその夫が逮捕された理由は「建造物侵入の疑い」だそうです。問題はここからでした。

 夫が侵入したのは「映画館の女子トイレ」で、そのトイレを利用していた女性に見つかり映画館の職員が警察に通報したそうです。こういうケース、「誤って入ってしまった」という言い訳ができますし、実際にその可能性もなくはないでしょうから、逮捕には確実な「物証」が必要です。てっきり私は盗撮していたところを現行犯で抑えられたのかと思ったのですが、事実はそうではありませんでした。逮捕されたこの男性、「女装」していたというのです。

 しかし、女装自体は罪とは言えません。では、なぜこの男性が逮捕されたのか。本来男性は女子トイレに入ってはいけないという規則があります(これを文章にした法律は知りませんが)。その規則を破り、建物に入ったのだから「建造物侵入」という罪が適用されるのだそうです。

 しかし、その男性が「男性」だと誰が決めたのだ、という問題があります。この男性の性自認は「女性」という可能性は充分にあるでしょう。しかし、このケースは戸籍が男性であるだけではなく、日常生活は男性として社会人をしており、さらに結婚して妻がいるわけですから「自分は女性です」と言っても通じないでしょう。

 結局、この男性は警察署まで連行されたものの、誰にも直接的な危害は加えていないこと、反省の意思を見せていること、速やかに妻が身元引受人として署にやって来たことなどから罪には問われなかったそうです。ですが、妻の立場からすれば自身の夫に女装趣味があったことを知り、ショックを隠しきれません。私のところに相談に来た時点で、すでに「夫とはその後別居している」と話されていました。

 さて、逮捕されたこの男性の「罪」はどう考えればいいのでしょうか。私自身はその男性と面識がなく尋ねたわけではありませんが、「自分は女性だから女性トイレを使う権利がある」と訴えるかもしれません。

 2021年5月27日、東京高裁は「トランス女性の職員に女子トイレ使用の制限を課した職場の対応は違法ではない」との判決を下しました。

 この職員は、生物学的性は男性、性自認が女性、つまりトランス女性で、女性として日常生活を営んでいました。それを職場(経済産業省)にカミングアウトし、一部のトイレ(職場から近いトイレ)の女子トイレ使用の許可を職場から得ていました。しかし、他の場所のトイレではそれが認められず、これが争点となっていました。

 この判例、高裁ではたしかに「職場の対応は違法ではない(件の職員は女子トイレを使ってはいけない)」という判決が出ましたが、一審では職員の主張が認められています。この事件は大きく報道され、世論も二分しました。

 セクシャルマイノリティ当事者及びそれを支持するいわゆる「アライ」と呼ばれる人たちの多くは、トランス女性の職員を擁護し「女子トイレを使うのは当然の権利」と主張します。一方、いわゆる保守的な男女は「トランス女性が女子トイレを使うと、そのトイレを利用するストレートの女子が安心できない」という理由で、トランス女性の女子トイレ利用に反対します。

 ここで再び、私に相談してきた女性の夫に話を戻しましょう。もしも経産省の職員の女子トイレの使用を認めるなら女装癖のある男性の使用も認めなけれなならない、ということにならないでしょうか。

 もちろん二人にはいくつもの「違い」があります。経産省の職員は事前に職場に自身の性自認について説明し、性別適合手術を受ける予定があることも伝えています。日常生活は「女性」として過ごしています。他方、女装癖の男性は日頃は男性として過ごし、家庭では「夫」の役割をこなし実際妻も子供もいます。

 したがって、「日頃女性として生活しているトランス女性は女子トイレを用いることができて、普段は男性として過ごし、一時的に女性用の化粧を施し女性のファッションを身にまとっている女装癖のある男性は女子トイレを使えない」という理論は一見成り立つように見えます。

 ですが、両者とも生物学的にはペニスが付いています。もしかするとトランス女性は日頃から女性ホルモンの注射をしているのかもしれませんが、それは見た目には分かりません。両者をよく知っている人がいたとすれば区別はできるのかもしれませんが、では、この両者を知らない人がいきなり対面したとして二人を区別できるでしょうか。そもそも区別することに意味があるのか、という問題もあります。

 例えば、あなたがストレートの女性だとして、映画館のトイレを利用しようとすると、背丈も格好も同じような2人のトランス女性(と主張する女性)がいたとしましょう。1人は日頃から「女性」として日常を過ごしていて、もう一人はそうでなかったとしても、そんなこと瞬間的に分かるはずがありません。さて、そのときあなたは「あなたは日頃女性として過ごしているからここ(女子トイレ)を使ってOK。でもあなたは単なる女装癖だから出て行って!」と言えるでしょうか。そもそも見ず知らずの2人をあなたに裁く権利があるのでしょうか。

 問題はまだあります。例えばあなたが女子トイレに入って、その直後にトランス女性が入って来たとしましょう。身体は大きいですが、振舞や仕草は女性そのもので特に違和感はありません。そのトランス女性はあなたが入った個室の横の個室に入りました。さて、もしもこのトランス女性の性的指向(sex orientation)が「女性」だったなら、つまりこのトランス女性がレズビアンであったとすればどうでしょう。一応補足しておくと、レズビアンの女性によるストレートの女性に対する性暴力(レイプ)というのはそう珍しいことではありません。では、見ず知らずのそのトランス女性を「レズビアンかもしれない」と考えることが正しいのでしょうか......。

 次回に続きます。

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第200回(2023年2月) HIV陽性者が海外で働くことは可能か

 私が院長を務める太融寺町谷口医院(以下「谷口医院」)は都心部に位置しており、若い患者さんが多く、そのため「海外で働きたいのですが......」という質問をしばしば受けます。短期間の海外旅行とは異なり、長期間海外で働くとなると、言語、文化の問題の他、「日本と同等の治療を受けられるか」という点を考えなければなりません。今回は、「日本人が海外でHIV治療を受けられるか」について述べたいと思います。

 まず押さえておかなければならないのは、その海外勤務は「駐在員」か「現地採用」かによって変わってきます。まずは、この「前提」について確認しておきましょう。

 「駐在員」というのは、日本の商社やメーカーに勤務している人が、その企業から海外勤務の辞令が発令されて現地の支社や現地法人、あるいは関連会社で勤務する被雇用者を指します。他方、「現地採用」は日本の企業に所属するのではなく、現地の企業と直接雇用を結ぶ契約です。ここでいう現地の企業とは、その国の会社のこともあれば、日本の会社のこともあります。

 現地採用で仕事を見つけるには、自身でその企業に直接問い合わせて申し込む込む方法もありますが、たいていの国では「紹介会社」に自身のプロフィールや希望を登録しておいて、候補となる企業を紹介してもらうことになります。多くの人は、現地に旅行に行ったときなどに探しますが、日本にいながらウェブサイトで情報を収集し申し込むこともできます。なかには、その国に一度も訪れたことがなくても応募する人もいるようです。

 駐在員と現地採用の違いはいくつもあります。国にもよりますが、一般に現地採用の給料は駐在員に比べて低く、福利厚生にも差があります。海外にある日本の会社に就職した場合、駐在員とまったく同じ仕事をしていても、給料は駐在員の半分、あるいは3分の1ということもあります。

 実際、現地採用者の"身分"あるいは"ヒエラルキー"は駐在員より低く、現地採用者は自分たちのことを自虐的に「ゲンサイ」などと呼び、「どうせゲンサイは......」「ゲンサイだから......」といった表現を好む人もいます。

 ただし、ではそのゲンサイが自身の立場に満足していないかというと、そういうわけでもなく、「駐在員より現地採用の方がいい」と本音では思っている人も少なくありません。その最大の理由は「その国にずっと滞在できる」からです。駐在員の場合、現地採用よりも高い給与を受け取り、"身分"も上なのかもしれませんが、いずれ辞令によりその国を去らねばならなくなります。したがって、「その国が好きだから現地採用を希望した」という人は、自虐的なことを言っていたとしても本音では満足していることが多いのです。

 ここで中国駐在の辞令が出て、HIV陽性のせいで左遷に甘んじた人の話を紹介しましょう。

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【事例1】40代男性

ある日本の大手商社勤務。特に希望をしていたわけではないが中国駐在を命じられた。中国は就労ビザを取得する場合、HIV抗体検査が必要なため谷口医院で実施すると「陽性」だった。HIV陽性であれば就労ビザが取得できないために中国駐在の辞令を断らざるを得ない。しかし会社の辞令を拒否すれば左遷されることになる。「退職か左遷か」で悩んだ結果、左遷を選択し、現在は日本のある辺鄙な地方で勤務している。自身がHIV陽性である旨は今も会社に伝えていない。
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 HIV陽性者には就労ビザが下りないなどというルールは我々の視点からは非常識ですが、このような国は中国だけではありません。日本人に比較的馴染みのある国でいえば、中国以外にはシンガポールとロシアが該当します。また、中東の国々ではほとんど絶望的です。中東のなかで最もリベラルなイスラエルでさえ外国人のHIV陽性者は勤務できないと聞きます。

 では、中国に駐在員としてではなく現地採用で勤務することは可能なのでしょうか。これについて現地の情報を入手すると「不可能」という説も多いのですが、「可能な方法もある」という情報もあります。業種や仕事の内容にもよるでしょうが、可能性がないわけではなさそうです。

 次に実際に海外で働いているHIV陽性の日本人の事例を紹介します。

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【事例2】30代男性

タイが大好きでタイに長期間住みたいと考えていた。日本の企業に就職しタイ駐在を希望することも考えたが、いつ日本帰国の辞令が出るか分からない状況では働きたくないと考え自身で現地採用を募集しているタイの企業を探すことにした。タイの会社や外資系の会社で働くには語学に自信がないために、日本の企業を選択した。福利厚生は充実した会社で、外国人用の豪華な病院を無料で受診できるという。しかし、会社にHIV陽性であることを知られたくない。GINAに相談し「自費診療」でHIVの治療を受けることにした。
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 解説しましょう。まず、この会社の待遇は格別であり、タイに進出している日系企業で現地採用者に駐在員と同様の医療サービスを供給することは稀です。この男性はタイに渡航後、他の疾患で受診が必要な場合は外国人用の大きな病院を無料で利用しているそうです。しかし、その内容は会社に通知がいきます。

 よってHIVの治療についてはこういった病院で受けないことにしました。他の選択として、タイの保険を使って病院を受診するという方法があります。この場合、指定された公立病院を受診することになります(参考:第146回(2018年8月)「タイの医療機関~ワクチン・HIVのPEPを中心に~」)。ただし、この場合、当局から保険の使用状況の詳細が会社に連絡される可能性があり、そのリスクを避けるためにこの男性はこの方法も選択しませんでした。

 公立病院で治療を受けた場合、本当にその詳細が勤務先に知らされるのかについては、はっきりしないのですが、何人かのタイ滞在歴が長い日本人によれば「その可能性がある」そうです。GINAに相談があったとき、私がそれを伝えると男性は「自費診療」を選択しました。

 HIVの治療薬は日本では1日あたり1万円近くします。こんな薬を自費で購入することはできないわけですが、タイでは安価な後発品を購入することができるために、自費であっても1日あたりの薬代は安いものを選べば100円程度です。これなら現地採用の給料でも充分にやっていけます。

 尚、タイの安定した供給とこの安さは日本人以外にも魅力的ですから、アジア周辺の国に住むその国の保険が使えない外国人は定期的にタイに処方を求めてやってきます。先日、台湾の関係者から聞いた情報によると、台湾在住の外国人もこの方法を使うことがあるそうです。ちなみに、台湾は中国とは異なり、HIV陽性で就職できないなどということはありません。というより、入国時にもビザ取得時にも検査を求められません。ただし、2年間居住していなければHIVの治療費は安くならないそうです。

 日頃は米国、豪州、欧州などに住んでいるHIV陽性の患者さんが帰国時に谷口医院を受診したとき、私の個人的興味から抗HIV薬の入手で苦労しないかを聞いています。彼(女)らは「特に苦労もない」と言います。国と保険の種類によってはほとんど無料で処方してもらえるそうです。もちろん、勤務先にHIV陽性が知られることはありません。また、私自身は該当者を一人も知りませんが、関係者によると韓国でも問題なく治療は受けられるそうです。

 HIV陽性者の海外勤務についてまとめてみましょう。まず大まかな情報は「The Global Database on HIV-specific Travel & Residence Restrictions」が有用です。ただし、必ずしもアップデイトできているとは限りませんので、最新のルールを知るには自身で領事館などに問い合わせることが必要です。

 いわゆる先進国の場合は(イスラエルなど例外となる国もありますが)、HIV陽性を理由に就労ビザを取得できないなどということはなく、治療は公的保険でまかなえ、さらに治療の情報を職場に知られることは(まず)ありません。タイ、フィリピン、ベトナム、インドネシアなどのアジア諸国の場合、就労ビザ取得時に検査は求められませんが、先述したタイの事例のように治療内容が会社に連絡されるリスクがあります。このリスクがどの程度のものなのかは様々な噂が飛び交っています。また、台湾のように、国によっては直ちに治療費が安くならない場合もあります。

 ただし、アジア諸国在住者の場合、上述した台湾在住の外国人のように、安い抗HIV薬を求めて定期的にタイに渡航するという方法があります。もちろん、事例2の男性のように居住先にタイを選ぶのであれば何の問題もありません。

 NPO法人GINAを立ち上げて17年になります。この間、大勢のHIV陽性者の人から相談を受けました。GINAがタイのHIV陽性者を支援しているわけですから当然といえば当然なのですが、それでも私の率直な印象は「HIV陽性者は老若男女問わずタイ好きが多い」というものです。日本に閉塞感を感じているHIV陽性の方に「タイで働く」という選択はお勧めです。

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第199回(2023年1月) 薬物で堕ちていく米国

 米国のどちらの政党を支持するかと問われたとして、私の周囲ではほとんどが民主党なのですが、なかには共和党と答える日本人も少なくないでしょう。実際、トランプ元大統領の熱心な"信者"も少なくないと聞きます。

 では「米国のように(事実上)誰もが銃を所持できる社会が望ましい」と考える日本人はどれだけいるでしょう。ゼロではないでしょうが、共和党の熱狂的な支持者であったとしても誰もが銃を持てる社会を歓迎するという人はそう多くないでしょう。なにしろ2022年のマスシューティング(こんな言葉が存在するのがおかしいと私は思いますが、定義は「4人以上(自分を含まない)をその場で銃殺した事件」です)の件数はなんと735件、平均すると毎日2件以上起こっている計算となります。今年(2023年)になってからは、1月6日、バージニア州の小学校で6歳の男児が銃を発砲し、25歳の女性教師が重症を負いました。

 かつては大勢の日本人が米国を「憧れの国」と考えていました。いえ、今もかなり多くの日本人は米国が大好きなのではないでしょうか。しかし、こんなにも命が軽視されている国を我々は目標としてきたのでしょうか......。

 さて、今回は「大麻」の話。大麻は過去に何度も取り上げています。医療用大麻はもちろん、娯楽用大麻も世界的に解禁されてきているという話を繰り返ししました。最後に大麻をメインに取り上げたのは2021年4月「これからの「大麻」の話をしよう~その4~」でしたから、およそ2年ぶりになります。冒頭で銃の話題を取り上げたのは「米国では銃と同じように大麻が社会に浸透しすぎていて取り返しのつかないところにまで来ている」と指摘したいからです。

 6歳の小学生男児が25歳の女性教師を銃で撃つのも明らかに狂っていますが、では、小児が大麻を摂取するような社会はどうでしょうか。米国ではすでにそんな社会になってしまっています。もちろん、小児が水パイプを使ったり、ジョイント(タバコのように巻いたもの)を吸ったりするわけではありません。ほとんどが大麻入りの食品を口にしてしまう偶発的な"事故"です。

 医学誌「Pediatrics」によると、2017年から2021年の間に、小児が大麻入りの食品を誤って摂取したと報告されたケースは合計7,043件です。注目すべきはその増加ぶりで、2017年には207件だったところ、2021年には3,054件と1375%も増加しています。ほとんど(97.7%)は住宅内で起こっています。22.7%は入院治療を必要としました。

 GINAと共に第97回「これからの「大麻」の話をしよう」でお伝えしたように、米国で娯楽用大麻が最初に解禁となったのは、2012年のコロラド州とワシントン州でした。その後次々と多くの州で合法化されるようになり、2022年11月にはメリーランド州とミズーリ州で合法化が決まりました。現在は合計21の州(*1)とワシントンDC、それにグアムでも合法化されています。

 すでに半数近くの州で娯楽用大麻が認められているのです(医療用大麻は50州中38州で合法です)。これからも認可される州が増えるのは間違いないでしょう。いえ、居住している州では違法であったとしても、ほとんどの人が隣の州に出れば合法となるわけですから、合法化される州が増えなくても米国に住んでいて大麻を摂取できないなんてことはすでにないわけです。

 先に少し述べたように、"従来の"大麻吸入法としては水パイプとジョイントが一般的です。それ以外にも「食品に入れる」という方法も以前からありましたが、この場合大量の大麻が必要となりますから、余程供給量が豊富な地域でなければ困難です。一方、安くて供給量の多い地域ではこういう摂取法が以前から普及していました。たとえばプノンペンには「ハッピーピザ」と呼ばれる大麻が大量に入った名物(?)ピザがありますし、インドのバラナシで通称「バングラッシー」と呼ばれているラッシーにも大量の大麻が含まれています。

 他方、違法である国では当然仕入れ値が高くなるわけですから、効率の悪い経口摂取ではなく、効果的に摂取できる「吸入」が好まれるわけです。もしも日本で大麻を食品に混ぜて摂取すれば、それは非常に"もったいない"わけです。

 米国ではすでに多くの州で合法化されているのですから、すでに大麻は立派な「商品」です。販売して利益が出れば税金を払わねばなりませんし、大麻販売会社としてはたくさん売って利益を出さねば倒産してしまいますから、マーケティングに力をいれ、ライバル会社に勝たねばなりません。このような状態になると何が起こるか。各社はコストパフォーマンスを競い、また味覚でも勝負します。すると、値段はどんどん安くなり、吸入のような面倒くさい製品よりも、大麻を含んだ食品の販売に力を注ぐようになります。

 これが加速するとどうなるか。味をよくします。報道によると、パイナップル、グレープフルーツ、シリアルミルク、さらにはストロベリーチーズケーキ、マンゴー、クッキー・アンド・クリームといったフレーバーの大麻もすでに商品化されています。

 興味深いことに、娯楽用大麻が早くから合法化されていたカリフォルニア州、マサチューセッツ州、ニュージャージー州、ニューヨーク州、ロードアイランド州などでは、フレーバー付きタバコ製品は禁止されています。 にもかかわらず米国は(おそらくすべての州で)大麻のフレーバーは禁止されていないのです。

 先に紹介した医学誌「Pediatrics」の別の論文には、米国の小児の電子タバコや液体ニコチンの誤嚥事故について報告されています。論文によると、小児がこれらタバコ製品を誤嚥するのは年間2,000~2,500件程度です。ということは、(大麻は2021年に3,054件ですから)小児の大麻誤嚥事故はタバコのそれを凌いでいることになります。

 これには驚かされますが、当然といえば当然かもしれません。GALLUPの2022年8月26日の報告によると、現在米国人の11%が喫煙しているのに対し、大麻を使用しているのは16%、すでにタバコを上回っているのです。過去の摂取状況を比べてみても、調査によればタバコは3分の1に喫煙歴があるのに対し、大麻は48%とほぼ2人に1人です。成人がすでにタバコよりも大麻に馴染みがあるわけですから、自宅に置いてあるこれらを小児が誤嚥する事故もタバコよりも大麻が多いのは当然と言えます。しかも甘くておいしい味がついているのですから。

 尚、このような悲劇はカナダでも起こっています。報道によると、2022年10月ハロウィンのパーティで大麻入りキャンディを誤って食べた11歳の女子が救急搬送されました。尚、カナダは2018年に全国で娯楽用大麻が合法化されています。

 大麻以外の依存性のある薬物の米国の状況をみてみましょう。2019年5月にデンバーでマジックマッシュルームが合法化されたことは過去のコラム「デンバーでマジックマッシュルームが合法化」で述べました。さらに、カリフォルニア州の一部やオレゴン州全域でも合法化されたことも別のコラム「マジックマッシュルームは精神疾患の治療薬となるか」で紹介しました。

 麻酔薬としても使われるケタミンは幻覚をみることに加え強い抗うつ作用があります。2019年からはEsketamineという製品名の鼻スプレータイプが米国とカナダで処方されています。現在は錠剤タイプもあります。米国では処方されるのに医師と対面する必要はなく、オンライン処方で入手可能です。Washington Postの取材に答えたある医師はすでに3千人に処方しているそうです。安全性についても問題がないようで、この医師は「乱用しそうなのは(3千人中)2人のみ」と述べています。
 
 The Economistによると、米国では今年(2023年)中にMDMAがFDAに承認される可能性があります。また、New York TimesによるとLSDも精神症状の治療薬として登場する可能性があります。過去に散々述べたように(例えば「本当に危険な麻薬(オピオイド)」)、米国では麻薬汚染が深刻で、CDCによると、2021年に米国で薬物の過剰摂取による死亡者は推定107,622人で、2020年の推定93,655人から約15%増加しています。

 かつて大勢の日本人にとって憧れの国だった米国はこんなにも変わり果ててしまったのです......。

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*1 21の州は次の通りです。合法化された順です。
コロラド州、ワシントン州、アラスカ州、オレゴン州、(ワシントンDC)、カリフォルニア州、メイン州、マサチューセッツ州、ネバダ州、ミシガン州、バーモント州、(グアム)、イリノイ州、アリゾナ州、モンタナ州、ニュージャージー州、ニューヨーク州、バージニア州、ニューメキシコ州、コネチカット州、ロードアイランド州、メリーランド州、ミズーリ州

ちなみに、医療用大麻はほとんどの州で合法化されていて、現時点(2023年1月)で認められていないのは次の12州だけです。
アイダホ州、ワイオミング州、ウィスコンシン州、アイオワ州、ネブラスカ州、インディアナ州、ケンタッキー州、テネシー州、ノースカロライナ州、サウスカロライナ州、アラバマ州、ジョージア州、

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第198回(2022年12月) インドの性暴力被害、10年たってもまるで改善せず......


 2017年に公開した「GINAと共に」「インド女性の2つの「惨状」」で、インドの女性の悲惨な実情を紹介しました。同国では性暴力(レイプ)の被害が絶えず、"日常化"していると言えるほどです。

 そのコラムでは執筆直前に報道された3つの性被害事件を紹介しました。

Case#1:2017年5月、インド北部グルグラムで、9か月の赤ちゃんと一緒にバスに乗った女性が、同乗していた3人の男性にレイプされ、赤ちゃんが走行中にバスの外に放り出されて死亡

Case#2:2017年6月、インド北東部のビハール州で16歳の少女が電車のなかで集団レイプされ、さらに電車から捨てられて重体を負った(その後の経過は不明)

Case#3:2017年6月、35歳の女性がグルグラム発(Greater Noida行き)のバス中で3人の男に8時間にわたりレイプされた

 このコラムを書いた2017年7月、世界中のサイトを検索して「インドのレイプ事情」を調べてみました。私が知らないだけで世界には同様か、あるいはそれ以上に悲惨な地域もあるのかもしれませんが、世界第2位の人口を有し先進国に加えられることが増えてきたこの国が、これだけひどい問題を放置していることに強い違和感を覚えます。

 今回はそのインドの性暴力事情の続編となります。

 インドの性暴力問題が全国規模で取り上げられ、海外からも注目されるようになったのは、2012年の「ニルバーヤ事件(Nirbhaya case)」がきっかけと言われています。この事件、Wikipediaで紹介されているだけでなく、日本のウィキペディアにもページがありました。しかもよくまとまった文章が載せられています。
ニルバーヤ事件のあらましをWikipediaから抜粋すると以下のようになります。

 2012年12月16日、デリーで理学療法士の実習生の23歳女性が友人の男性と(おそらく小さな)バスに乗車しました。そのバスには運転手を含めて6人が乗っていました。2人が乗り込むと、バスはルートをそれました。友人の男性は暴力をふるわれ、女性は6人全員からレイプの被害に遭いました。レイプの内容は凄まじいもので、女性は全身に傷を負いました。バスから放り出された二人は通行人に発見され病院に運ばれました。女性は極度の重症で、高度な医療を受けるためにシンガポールの病院に搬送されましたが数日後に死亡しました。

 Wikipediaによると、2015年3月4日に英国BBCがニルバーヤ事件を取材したドキュメンタリー番組を放映しました。また、インド系カナダ人の映画監督Deepa Mehtaは『Anatomy of Violence(暴力の解剖学)』というニルバーヤ事件に基づいた作品を2016年に公開しました。

 さて、2022年12月16日でニルバーヤ事件から10年が経過したことになります。この10年でインドの女性の窮状は改善されたのでしょうか。

 法律は変えられました。ニルバーヤ事件から数か月後、インド政府は性暴力に関する法律を全面的に見直し、レイプに対する懲役刑が大幅に延長されました。しかし、The Telegraphによると、実態はほとんど変わっていません。

 2016年の「The National Family Health Survey(全国家族健康調査)」で、インド国内のレイプの99%以上が報告されず、インドの少女の47%が幼少期に何らかの性的虐待を受けていることが分かりました。「India's National Crime Records Bureau(インド国家犯罪記録局)」に報告されている2021年の全国のレイプ事件の件数は31,677件です。しかも、これは氷山の一角(the tip of an iceberg)だと考えられています。

 同紙が報じている最近の4つのレイプ事件を紹介しましょう。

・ムンバイの42歳の女性が、男性グループに自宅でナイフを突きつけられ集団レイプされ、タバコを性器に押し付けられ重症化し入院

・テランガナ州の留学生が、大学教授に誘拐されレイプされた

・行方不明の13歳の少女の遺体がハリヤーナ州北部のヒサール市の水道タンクで発見された。遺体にはレイプされた痕跡があった

・グジャラートの有名なレスリングチャンピオンが100人以上の女性をレイプしたことを認めた

 大学教授が教え子を誘拐して強姦というような事件は他国でもあるのかもしれませんが、やはり現代の先進国の視点からみれば異常だと言わざるをえません。

 では、なぜこのように女性が蔑視されているのでしょうか。インドの階級社会に問題があるのは間違いありません。インドはカースト制が有名ですが、男女間も厳密に"区別"されています。女性は「不浄」な存在とされ、料理を作ったり運んだりすることが宗教上禁止されています。女性は男性の「所有物」とみなされ、そのため男性は誘いを断った女性の顔面に硫酸をかけても(アシッド・アタック)、たいした罪に問われず社会から糾弾されることもないのです(冒頭の過去のコラム参照)。

 では、この国の政治家たちは何をしているのでしょうか。インドの政治家は大半が男性であり、現在の与党の議員の90%以上が男性です。

 日本でも政治家のセクハラ発言がときおり報道されていますが、インドではそんな日本のセクハラオヤジ達も真っ青の発言があります。2021年、野党のある国会議員が女性に対し「レイプが避けられないときは、横になって楽しんでください」と発言したのです。また、現在4人の国会議員は女性への暴力で起訴されています。

 「夫婦間レイプ(Marital rape)」という言葉があります。文字通りの意味です。The Telegraphによると、現在夫婦間レイプが合法な国が世界で32か国あり、インドはその筆頭になります。「ニルバーヤ事件の後、レイプに対する法改正がおこなわれた」のは事実ですが、そもそも根本がまったく解決していないわけです。

 ちなみに、日本はその32か国には入っていませんが、夫婦間のレイプは加害者には(ときには被害者にも)「罪」の意識がないことがしばしばあります。内閣府の男女共同参画局によると、2021年の総選挙での当選者に占める女性の割合は9.7%です。偶然にもインドとほぼ同じです。

 世界経済フォーラムの「Global Gender Gap Report 2022(男女格差指数2022)」によると、男女平等の国のランキングで、インドは135位(0.629)、日本は116位(0.650)と、日本はなんとかインドよりは上位にいます。ちなみに、韓国99位、中国102位、フィリピン19位、タイは79位です。

 HIVを含む性感染症の予防には「正確な知識」が必要ですが、暴力が支配する世界ではその知識を声に出しても空しく響くだけです。女性蔑視の考え方を変えねばなりません。2020年の時点で、インドのHIV陽性者は230万人、南アフリカ共和国に次いで世界第2位です。

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