HIV/AIDS関連情報
2006年11月13日(月) パプアニューギニア、警察のレイプと拷問が横行
パプアニューギニアは一夫多妻制の国で、女性が性的に搾取されており、それがHIVの蔓延につながっているという情報を以前お伝えしましたが(「パプアニューギニアのHIV蔓延」2006年10月1日)、女性を(そして男性も)性的に虐待しているのは一般の男性だけではないようです。この国では、警察もが性的虐待を繰り返しているようです。
最近、ニューヨークを本拠地とする団体 Human Rights Watch(以下HRW)が、パプアニューギニアの警察の痴態についての報告書を作成し、概要を10月30日のロイター通信が報道しています。
この報告書には次のような実例が紹介されています。
・2005年に、複数の警官が武器を持っていない少年に発砲し、ふたりの警官が告発されたが検察には起訴されなかった。
・2006年に、警察署内で6歳の女の子が警官にレイプされるという事件があった。
・2006年に、看守が拘留されている少年たちにアナルセックスを強要するという事件があった。
パプアニューギニアでは子供(の犯罪者)を大人と同じ部屋に収容するそうです。そのなかではレイプなどの犯罪が日常化しているといいます。
またHRWの取材に対し次のようにコメントした女性もいます。
「私は警察が嫌い・・・。助けを求めて警察に行ったのにあんなこと(レイプ)をされるなんて・・・」
HRWは以下のように述べています。
「このような残虐な行為が警察に対する世間の信用をなくしている」
「現在のパプアニューギニアでは、警察がこのようなことをしても罪にはならないし、止めさせることもできない。なぜならこの国では暴力というものが文化的に許容されているからだ」
HRWのこのレポートでは、警察が続けている性的虐待がHIV蔓延につながっていることを指摘しています。
(谷口 恭)
最近、ニューヨークを本拠地とする団体 Human Rights Watch(以下HRW)が、パプアニューギニアの警察の痴態についての報告書を作成し、概要を10月30日のロイター通信が報道しています。
この報告書には次のような実例が紹介されています。
・2005年に、複数の警官が武器を持っていない少年に発砲し、ふたりの警官が告発されたが検察には起訴されなかった。
・2006年に、警察署内で6歳の女の子が警官にレイプされるという事件があった。
・2006年に、看守が拘留されている少年たちにアナルセックスを強要するという事件があった。
パプアニューギニアでは子供(の犯罪者)を大人と同じ部屋に収容するそうです。そのなかではレイプなどの犯罪が日常化しているといいます。
またHRWの取材に対し次のようにコメントした女性もいます。
「私は警察が嫌い・・・。助けを求めて警察に行ったのにあんなこと(レイプ)をされるなんて・・・」
HRWは以下のように述べています。
「このような残虐な行為が警察に対する世間の信用をなくしている」
「現在のパプアニューギニアでは、警察がこのようなことをしても罪にはならないし、止めさせることもできない。なぜならこの国では暴力というものが文化的に許容されているからだ」
HRWのこのレポートでは、警察が続けている性的虐待がHIV蔓延につながっていることを指摘しています。
(谷口 恭)
2006年11月12日(日) 脱法ドラッグ33種を指定 厚労省、ラッシュ成分など
厚生労働省は9日、麻薬に似た幻覚症状や性的興奮をもたらし、若者の間で乱用が問題化している「脱法ドラッグ」の輸入や販売を禁止するため、「ラッシュ」などに含まれる33種類の薬物を規制対象とすることを決定しました。同日開かれた専門家による部会で了承されたことを11月10日の共同通信は伝えています。
来年4月に施行予定の改正薬事法で「指定薬物」として扱い、治療や研究目的以外で輸入、製造、販売した場合には、5年以下の懲役か500万円以下の罰金が科せられる事になります。
今回指定されたのは、亜硝酸イソブチル(「ラッシュ」の主成分)、PMMA、サルビノリンA、5-MeO-MIPTなどです。
5-MeO-MIPTは、7月に大阪府内で大学生が服用後にマンションから転落死した事件がありました。
これら薬物は、インターネットやアダルトショップで芳香剤、ビデオクリーナーと偽って売られ、現行の薬事法では取り締まりが困難だった経緯があります。
厚労省は「今後も脱法ドラッグ販売者は、摘発を逃れるために化学構造をわずかに変えた薬物を販売する可能性が高い」(監視指導・麻薬対策課)として、今後も新たな薬物が見つかれば指定薬物に追加する考えを表明しています。
ラッシュ(亜硝酸イソブチル)は射精の寸前に吸い込むと動悸、紅潮を起こし快感を増す作用がありますが、一瞬しか続きません。ですから、ついつい大量に摂取してしまうのですが、副作用として急激な血圧低下と呼吸障害を起こすことがあり、最悪の場合、致死性があります。
「ラッシュや他の脱法ドラッグなど、試すほどの価値もない」
と、当Webサイトで「元ハードドラッグユーザーのため息」を連載中の風魔小次郎氏は述べています。
(浅居 雅彦)
来年4月に施行予定の改正薬事法で「指定薬物」として扱い、治療や研究目的以外で輸入、製造、販売した場合には、5年以下の懲役か500万円以下の罰金が科せられる事になります。
今回指定されたのは、亜硝酸イソブチル(「ラッシュ」の主成分)、PMMA、サルビノリンA、5-MeO-MIPTなどです。
5-MeO-MIPTは、7月に大阪府内で大学生が服用後にマンションから転落死した事件がありました。
これら薬物は、インターネットやアダルトショップで芳香剤、ビデオクリーナーと偽って売られ、現行の薬事法では取り締まりが困難だった経緯があります。
厚労省は「今後も脱法ドラッグ販売者は、摘発を逃れるために化学構造をわずかに変えた薬物を販売する可能性が高い」(監視指導・麻薬対策課)として、今後も新たな薬物が見つかれば指定薬物に追加する考えを表明しています。
ラッシュ(亜硝酸イソブチル)は射精の寸前に吸い込むと動悸、紅潮を起こし快感を増す作用がありますが、一瞬しか続きません。ですから、ついつい大量に摂取してしまうのですが、副作用として急激な血圧低下と呼吸障害を起こすことがあり、最悪の場合、致死性があります。
「ラッシュや他の脱法ドラッグなど、試すほどの価値もない」
と、当Webサイトで「元ハードドラッグユーザーのため息」を連載中の風魔小次郎氏は述べています。
(浅居 雅彦)
2006年11月11日(土) インドでニセHIV検査キット出回る
10月30日のBBC NEWSによりますと、インドの検査キット販売会社のモノザイム・インディア社が、HIV検査キットとして、誤って妊娠検査キットを出荷したことが問題となっています。この会社は、これまでに20万個のキットを西ベンガルの血液バンクや病院に出荷したとみられています。
西ベンガル地方の警察によりますと、このキットのせいで、実際はHIV陽性なのに陰性と診断された人が献血をし、また性行為などで他人に感染させている可能性が強いそうです。
当局によりますと、これまでに少なくとも117人がこういった検査キットのせいで誤診をされていることが判っていますが、実際の人数はもっと多いと見られています。
この事件で、この会社の幹部ふたりが裁判所で証言を求められましたが、罪を認めていないそうです。証言台に立ったふたりの男は、妊娠用のキットが委託販売され中国からインドに誤って出荷されてしまい、これは自分たちの責任ではないと主張しているようです。
BBCのレポーターは、今回の誤出荷は、HIV検査の信頼を大きく損なうものとしています。今回の事件のせいで、多くの人々が検査にいくのをためらうようになることが懸念されています。
西ベンガル地方の血液バンクでは、この事件のせいで多くの輸血用の血液が使えなくなり血液不足に直面しています。この地方の22歳のサラセミア(血液疾患の一種)の患者さんは定期的な輸血が必要であるのにもかかわらず今回の事件で輸血を受けられなくなっています。しかも、彼女はすでに輸血が原因でHIVに感染してしまっているそうです。
モノザイム・インディアはアンドラプラデシ州に本社を置き、インド全国にカルカッタ内の12の拠点を含む256の支店を持っています。
(谷口 恭)
西ベンガル地方の警察によりますと、このキットのせいで、実際はHIV陽性なのに陰性と診断された人が献血をし、また性行為などで他人に感染させている可能性が強いそうです。
当局によりますと、これまでに少なくとも117人がこういった検査キットのせいで誤診をされていることが判っていますが、実際の人数はもっと多いと見られています。
この事件で、この会社の幹部ふたりが裁判所で証言を求められましたが、罪を認めていないそうです。証言台に立ったふたりの男は、妊娠用のキットが委託販売され中国からインドに誤って出荷されてしまい、これは自分たちの責任ではないと主張しているようです。
BBCのレポーターは、今回の誤出荷は、HIV検査の信頼を大きく損なうものとしています。今回の事件のせいで、多くの人々が検査にいくのをためらうようになることが懸念されています。
西ベンガル地方の血液バンクでは、この事件のせいで多くの輸血用の血液が使えなくなり血液不足に直面しています。この地方の22歳のサラセミア(血液疾患の一種)の患者さんは定期的な輸血が必要であるのにもかかわらず今回の事件で輸血を受けられなくなっています。しかも、彼女はすでに輸血が原因でHIVに感染してしまっているそうです。
モノザイム・インディアはアンドラプラデシ州に本社を置き、インド全国にカルカッタ内の12の拠点を含む256の支店を持っています。
(谷口 恭)
2006年11月10日(金) エイズ対策、行政が困惑?
11月4日の朝日新聞夕刊が、「エイズ対策 任されて困惑」というタイトルで、エイズ対策の自治体の遅れを指摘しています。
朝日新聞によりますと、厚生労働省は今年の4月、自治体の役割を明確にする予防指針を新たに打ち出しましたが、自治体は「急に地方任せにされても・・・」と困惑しているそうです。
以前このコーナーでお伝えしましたように(「厚生労働省がエイズ急増自治体を支援」2006年6月26日)、厚生省はエイズの状況悪化が著しい16の自治体と連絡を取り、対策強化を図ることを求めています。
ところが16の自治体のほとんどで予算が大幅に減らされており(参考「都市部自治体は財政難のためエイズ対策予算を大幅に削減」2006年9月26日)、国の予算も減少しています。
朝日新聞に掲載された予算削減に関する各自治体のコメントをみてみると、「予防や啓発事業は効果が見えにくく予算要望しづらい(愛知県)」、「財政が厳しく、国の補助があっても負担は大きい(大阪府)」、「知恵を絞るのも限界(千葉県)」、などとなっています。
8月の時点で対策計画を作っていたのは16自治体のうち、わずか4つだそうです。5つの自治体は着手すらしていないといいます。エイズの中核拠点病院も8割の自治体で、設置時期すら決めていなかったそうです。
******
HIV/AIDSの蔓延を阻止するのに行政の役割は小さくはないでしょうが、行政だけに任せるべきではありません。この記事を報道した朝日新聞をはじめとするマスコミも、HIV/AIDSに関する正しい知識を社会に対し積極的に報道していれば、現在のようにHIV感染が増え続けたり、あるいは感染者がいわれのない差別に苦しめられたりといった事態を防ぐことがある程度はできたのではないかと私は考えています。
マスコミだけではなくNPOにも責任はあります。GINAはようやく今月中旬に登記が完了し、NPO法人として承認される見込みです。これまで支援活動はタイのみでおこなっていましたが、今後少しずつ日本でも予防啓発事業を開始したいと考えています。
(谷口 恭)
朝日新聞によりますと、厚生労働省は今年の4月、自治体の役割を明確にする予防指針を新たに打ち出しましたが、自治体は「急に地方任せにされても・・・」と困惑しているそうです。
以前このコーナーでお伝えしましたように(「厚生労働省がエイズ急増自治体を支援」2006年6月26日)、厚生省はエイズの状況悪化が著しい16の自治体と連絡を取り、対策強化を図ることを求めています。
ところが16の自治体のほとんどで予算が大幅に減らされており(参考「都市部自治体は財政難のためエイズ対策予算を大幅に削減」2006年9月26日)、国の予算も減少しています。
朝日新聞に掲載された予算削減に関する各自治体のコメントをみてみると、「予防や啓発事業は効果が見えにくく予算要望しづらい(愛知県)」、「財政が厳しく、国の補助があっても負担は大きい(大阪府)」、「知恵を絞るのも限界(千葉県)」、などとなっています。
8月の時点で対策計画を作っていたのは16自治体のうち、わずか4つだそうです。5つの自治体は着手すらしていないといいます。エイズの中核拠点病院も8割の自治体で、設置時期すら決めていなかったそうです。
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HIV/AIDSの蔓延を阻止するのに行政の役割は小さくはないでしょうが、行政だけに任せるべきではありません。この記事を報道した朝日新聞をはじめとするマスコミも、HIV/AIDSに関する正しい知識を社会に対し積極的に報道していれば、現在のようにHIV感染が増え続けたり、あるいは感染者がいわれのない差別に苦しめられたりといった事態を防ぐことがある程度はできたのではないかと私は考えています。
マスコミだけではなくNPOにも責任はあります。GINAはようやく今月中旬に登記が完了し、NPO法人として承認される見込みです。これまで支援活動はタイのみでおこなっていましたが、今後少しずつ日本でも予防啓発事業を開始したいと考えています。
(谷口 恭)
2006年11月9日(木) バンコク、休暇中の少女売春急増
GINAがおこなったタイのフリーの売春婦に対する意識調査では、売春婦の大半がイサーン地方や北部の貧困地域の出身であり、売春の最大の原因が「貧困」であるとの結論がでました。しかし、首都バンコクの10代の少女たちは貧困とは別の理由で売春をおこなっているようです。先月の長期休暇の間に少女たちの売春が急増したことを11月3日のBangkok Postがまとめていますのでご紹介いたします。
少女たちの売春目的は、オンラインゲームに参加したり、新型の携帯電話などの贅沢品を購入したりするためであることが研究者の調査で明らかとなりました。
「児童・未成年・女性犯罪制圧室」(CCSD, Crimes against Children, Juvenile and Women Suppression Division)によりますと、先月の長期休暇中、12歳の少女までもが売春をしていたことが分かりました。少女たちは主にバイクタクシーのドライバーに顧客を斡旋してもらっています。友達と共に顧客を探す少女もいれば、なかには自分のボーイフレンドと結託して顧客を見つける少女もいるそうです。少女たちの両親のなかには、娘が失踪したと思い警察に捜査願いを出し、警察に保護される少女もいるとのことです。
CCSDの調査では、少女たちは1,500バーツから3,000バーツ(約4,500円から9,000円)で身体を売っています。逮捕された13歳のひとりの少女は、最新型の携帯電話が欲しくて売春をおこなった、と供述しているそうです。
タイが、売春が盛んな国であることは事実でしょうが、タイは売春を禁じている国です。売春行為で起訴されると、3年から15年の禁固刑、もしくは6,000バーツから30,000バーツの罰金(約18,000円から90,000円)、あるいはその両方が科せられることもあります。これは自由売春であっても、です。
CCSDは他の関連機関と協力して、この問題への対策を講じ、次の長期休暇までに解決を図りたいとコメントしています。
タイの携帯電話は安いものは1,500バーツ(約4,500円)程度で購入できますが、高価なものは20,000バーツ(約6万円)以上もします。タイの大卒の初任給はおよそ1万バーツ(約3万円)前後です。にもかかわらず、街を歩いている女子中学生や女子高生の多くが最新型の携帯電話を持っていることに驚きます。疑いたくはありませんが、彼女たちも売春をしているのでしょうか・・・。
(谷口 恭)
少女たちの売春目的は、オンラインゲームに参加したり、新型の携帯電話などの贅沢品を購入したりするためであることが研究者の調査で明らかとなりました。
「児童・未成年・女性犯罪制圧室」(CCSD, Crimes against Children, Juvenile and Women Suppression Division)によりますと、先月の長期休暇中、12歳の少女までもが売春をしていたことが分かりました。少女たちは主にバイクタクシーのドライバーに顧客を斡旋してもらっています。友達と共に顧客を探す少女もいれば、なかには自分のボーイフレンドと結託して顧客を見つける少女もいるそうです。少女たちの両親のなかには、娘が失踪したと思い警察に捜査願いを出し、警察に保護される少女もいるとのことです。
CCSDの調査では、少女たちは1,500バーツから3,000バーツ(約4,500円から9,000円)で身体を売っています。逮捕された13歳のひとりの少女は、最新型の携帯電話が欲しくて売春をおこなった、と供述しているそうです。
タイが、売春が盛んな国であることは事実でしょうが、タイは売春を禁じている国です。売春行為で起訴されると、3年から15年の禁固刑、もしくは6,000バーツから30,000バーツの罰金(約18,000円から90,000円)、あるいはその両方が科せられることもあります。これは自由売春であっても、です。
CCSDは他の関連機関と協力して、この問題への対策を講じ、次の長期休暇までに解決を図りたいとコメントしています。
タイの携帯電話は安いものは1,500バーツ(約4,500円)程度で購入できますが、高価なものは20,000バーツ(約6万円)以上もします。タイの大卒の初任給はおよそ1万バーツ(約3万円)前後です。にもかかわらず、街を歩いている女子中学生や女子高生の多くが最新型の携帯電話を持っていることに驚きます。疑いたくはありませんが、彼女たちも売春をしているのでしょうか・・・。
(谷口 恭)