HIV/AIDS関連情報

2006年11月11日(土) インドでニセHIV検査キット出回る

 10月30日のBBC NEWSによりますと、インドの検査キット販売会社のモノザイム・インディア社が、HIV検査キットとして、誤って妊娠検査キットを出荷したことが問題となっています。この会社は、これまでに20万個のキットを西ベンガルの血液バンクや病院に出荷したとみられています。
 
 西ベンガル地方の警察によりますと、このキットのせいで、実際はHIV陽性なのに陰性と診断された人が献血をし、また性行為などで他人に感染させている可能性が強いそうです。

 当局によりますと、これまでに少なくとも117人がこういった検査キットのせいで誤診をされていることが判っていますが、実際の人数はもっと多いと見られています。

 この事件で、この会社の幹部ふたりが裁判所で証言を求められましたが、罪を認めていないそうです。証言台に立ったふたりの男は、妊娠用のキットが委託販売され中国からインドに誤って出荷されてしまい、これは自分たちの責任ではないと主張しているようです。

 BBCのレポーターは、今回の誤出荷は、HIV検査の信頼を大きく損なうものとしています。今回の事件のせいで、多くの人々が検査にいくのをためらうようになることが懸念されています。

 西ベンガル地方の血液バンクでは、この事件のせいで多くの輸血用の血液が使えなくなり血液不足に直面しています。この地方の22歳のサラセミア(血液疾患の一種)の患者さんは定期的な輸血が必要であるのにもかかわらず今回の事件で輸血を受けられなくなっています。しかも、彼女はすでに輸血が原因でHIVに感染してしまっているそうです。

 モノザイム・インディアはアンドラプラデシ州に本社を置き、インド全国にカルカッタ内の12の拠点を含む256の支店を持っています。

(谷口 恭)