HIV/AIDS関連情報
2007年7月17日(火) 中年男性のHIV陽性者が売春女子大生に"復讐"
遺跡で有名なタイのアユタヤ県といえば、17世紀には日本人街があったこともあり、現在も日本人に人気のある観光地ですが、このアユタヤ県の警察のホームページに書き込まれたひとつの情報が物議を醸しています。
7月15日のバンコク週報によりますと、アユタヤ県警のホームページに、「アユタヤ県在住のHIV陽性の50歳の男性が、穴のあいたコンドームを使って売春女子大生に"復讐"をしている」との書き込みがあったそうです。書き込みにはこの男性の名前も入っており、その男性は実在する人物だそうです。
アユタヤ県警はこれを重要事件ととらえ、この書き込みをおこなった人物に対する事情聴取を検討しているそうです。
一方、この男性の医療記録が存在するアユタヤ県の保健所は、「個人データを公表することはできない」として、マスコミの取材を拒否しているようです。
********
この事件の詳細を探ろうと、Bangkok PostとThe Nationの双方をくまなく調べましたが見つかりませんでした。おそらくタイ・ラットあたりの大衆紙が出所だと思いますが、こういう"復讐"はまんざらあり得ない話でもないと思われます。
コンドームは自分で用意する・・・
これがとりあえずの対処法でしょう。
(谷口 恭)
7月15日のバンコク週報によりますと、アユタヤ県警のホームページに、「アユタヤ県在住のHIV陽性の50歳の男性が、穴のあいたコンドームを使って売春女子大生に"復讐"をしている」との書き込みがあったそうです。書き込みにはこの男性の名前も入っており、その男性は実在する人物だそうです。
アユタヤ県警はこれを重要事件ととらえ、この書き込みをおこなった人物に対する事情聴取を検討しているそうです。
一方、この男性の医療記録が存在するアユタヤ県の保健所は、「個人データを公表することはできない」として、マスコミの取材を拒否しているようです。
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この事件の詳細を探ろうと、Bangkok PostとThe Nationの双方をくまなく調べましたが見つかりませんでした。おそらくタイ・ラットあたりの大衆紙が出所だと思いますが、こういう"復讐"はまんざらあり得ない話でもないと思われます。
コンドームは自分で用意する・・・
これがとりあえずの対処法でしょう。
(谷口 恭)
2007年7月17日(火) オーストラリアのコメディアンがC型肝炎について失言
オーストラリアには「Rove」というタイトルのコメディ番組があります。(私は見たことがありませんが・・・)
その「Rove」に出演しているピーター・ヘリアー(Peter Helliar)というコメディアンが、C型肝炎ウイルスに関する失言をして正式に謝罪をおこなったようです(報道は7月3日のNEWS.COM.AU)
このコメディアンは、番組のなかで、ゲストとして参加していたアメリカの女優パメラ・アンダーソンに対して、「40回目の誕生日プレゼントに何がほしい?」と尋ねた次に、「去年はC型肝炎ウイルスをもらったんだよね・・・」というジョークを言いました。
これに対し、肝炎の患者会がこのコメディアンに対して抗議をおこない、これを受けたコメディアンが謝罪をしたというわけです。
肝炎の患者会の代表者は次のようにコメントしています。
「C型肝炎ウイルス保有者は日頃からいわれのない差別を受けています。今回のコメディアンの失言に大変傷つけられました」
オーストラリアには、現在約26万人のC型肝炎ウイルス陽性者がいます。毎年およそ1万人が新たにこのウイルスに感染しています。
*********
肝炎の患者会は、次のようにもコメントしています。
「これがHIVであっても同じようなジョークとなるのかしら・・・」
このコメントの真意は、世間はHIVについては敏感になっているけれどもC型肝炎ウイルス陽性者も同じような社会の偏見にさらされている、というものでしょう。
たしかに、HIVとC型肝炎ウイルスは感染経路も同じですし(性感染と血液感染)、ときに治療が困難である点も共通しています。HIVにはすぐれた薬がありますが、C型肝炎ウイルスは特効薬として使われているインターフェロンも無効例が多く、HIVとC型肝炎ウイルスに重複感染した例では、エイズの発症は防げたけれどもC型肝炎が進行して命を落とすようなケースも少なくありません。
参考までに、日本のC型肝炎ウイルスの保有者は最大で200万人と言われています。
(谷口 恭)
その「Rove」に出演しているピーター・ヘリアー(Peter Helliar)というコメディアンが、C型肝炎ウイルスに関する失言をして正式に謝罪をおこなったようです(報道は7月3日のNEWS.COM.AU)
このコメディアンは、番組のなかで、ゲストとして参加していたアメリカの女優パメラ・アンダーソンに対して、「40回目の誕生日プレゼントに何がほしい?」と尋ねた次に、「去年はC型肝炎ウイルスをもらったんだよね・・・」というジョークを言いました。
これに対し、肝炎の患者会がこのコメディアンに対して抗議をおこない、これを受けたコメディアンが謝罪をしたというわけです。
肝炎の患者会の代表者は次のようにコメントしています。
「C型肝炎ウイルス保有者は日頃からいわれのない差別を受けています。今回のコメディアンの失言に大変傷つけられました」
オーストラリアには、現在約26万人のC型肝炎ウイルス陽性者がいます。毎年およそ1万人が新たにこのウイルスに感染しています。
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肝炎の患者会は、次のようにもコメントしています。
「これがHIVであっても同じようなジョークとなるのかしら・・・」
このコメントの真意は、世間はHIVについては敏感になっているけれどもC型肝炎ウイルス陽性者も同じような社会の偏見にさらされている、というものでしょう。
たしかに、HIVとC型肝炎ウイルスは感染経路も同じですし(性感染と血液感染)、ときに治療が困難である点も共通しています。HIVにはすぐれた薬がありますが、C型肝炎ウイルスは特効薬として使われているインターフェロンも無効例が多く、HIVとC型肝炎ウイルスに重複感染した例では、エイズの発症は防げたけれどもC型肝炎が進行して命を落とすようなケースも少なくありません。
参考までに、日本のC型肝炎ウイルスの保有者は最大で200万人と言われています。
(谷口 恭)
2007年7月17日(火) インドのHIV陽性者は本当は少ない?
インドのHIV陽性者は2005年末に570万人に達し世界一位になった・・・
これが昨年5月30日のUNAIDS(国連合同エイズ計画)の報告です。
ところが、UNAIDSはこれをくつがえす報告を7月6日におこない議論を呼んでいます。
新しい報告では、インドのHIV陽性者は247万人で、昨年の発表の半分以下の数字となっています。これにより、南アフリカとナイジェリアに次ぐ世界第3位となります。
また、成人の感染率は、昨年の報告では1.1%でしたが、新しい試算では0.36%となります。
なぜこれほどの違いが生じているか、と疑問が出てきますが、これは調査方法が異なることによるものです。
前回の国連が採用していた調査方法は、妊婦及びドラッグ・ユーザーや売春婦などのハイリスクグループの陽性率から算定するというものです。今回の調査では、102,000人の一般人の血液検査から試算しています。
*********
今回の新たな数字の方に信憑性があると見られているようですが、つい最近、インドの財務大臣は570万人という数字が「過少報告」されていると発言したばかりです。
いずれにしても、今回の発表でエイズ対策の予算が削られないとの報道に一安心です。
(谷口 恭)
参考:2007年6月4日「過少報告されているインドの感染者数」
これが昨年5月30日のUNAIDS(国連合同エイズ計画)の報告です。
ところが、UNAIDSはこれをくつがえす報告を7月6日におこない議論を呼んでいます。
新しい報告では、インドのHIV陽性者は247万人で、昨年の発表の半分以下の数字となっています。これにより、南アフリカとナイジェリアに次ぐ世界第3位となります。
また、成人の感染率は、昨年の報告では1.1%でしたが、新しい試算では0.36%となります。
なぜこれほどの違いが生じているか、と疑問が出てきますが、これは調査方法が異なることによるものです。
前回の国連が採用していた調査方法は、妊婦及びドラッグ・ユーザーや売春婦などのハイリスクグループの陽性率から算定するというものです。今回の調査では、102,000人の一般人の血液検査から試算しています。
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今回の新たな数字の方に信憑性があると見られているようですが、つい最近、インドの財務大臣は570万人という数字が「過少報告」されていると発言したばかりです。
いずれにしても、今回の発表でエイズ対策の予算が削られないとの報道に一安心です。
(谷口 恭)
参考:2007年6月4日「過少報告されているインドの感染者数」
2007年7月17日(火) ノボテルがレディボーイに謝罪
ノボテルと言えば、世界中で事業を展開しているフランスに本社を置くAccor社の所有する高級ホテルです。貧乏な私は、利用することを考えたことすらありませんが、タイに観光やビジネスに来るお金持ちにとっては、サイアムスクエアにあるノボテル・バンコクはかなり有名なホテルです。
そのノボテル・バンコクに「CM2」という名のナイトクラブがあるのですが、事件はそのクラブで起こりました。
7月5日のバンコクポストによりますと、6月22日、ひとりのレディボーイ(transvestite、タイ語ではカトゥーイ、日本風に言えばニューハーフ)がCM2への入店を拒否されたことが問題となり、いくつかの団体がノボテル・バンコクに抗議をおこないました。
さらに、抗議運動は世界中に広まり、100以上の同性愛関連の団体が世界中のノボテルやAccor社の所有する施設の利用をボイコットするに至りました。
これらの抗議に対し、ノボテル・バンコクは記者会見をおこない、正式に入店を断られたこのレディボーイに謝罪をおこないました。
被害者のレディボーイのスチラット(Suttirat)さんは、同ホテルの謝罪を受け入れ、ボイコット運動をおこなっている世界中の団体に対して抗議を中止するよう求めています。彼女は次のようにコメントしています。
「あたしは謝罪を受け入れることにしたの。過去は過去だもの。そのうちノボテルに遊びにいくわよ・・・」
タイは同性愛者に世界一寛容だと言われており、実際、最近改正された憲法では、「3番目の性」として新しい章がもうけられています。これにより、同性愛者たちは憲法で人権が保障されたことになります。
Bangkok Rainbow Organizationという同性愛者擁護団体があり、この団体もノボテル・バンコクの事件に対して、ウエブサイトを使って同ホテルのボイコット運動を展開していました。この団体の代表者のナットエー(Natee)さんはバンコクポストの取材に対し、次のように答えています。
「明日、私は100人の同性愛者の友達をつれて憲法改正委員会に伺う予定なの。プレゼントの花束も準備しているのよ」
***********
同性愛者の差別に対して社会運動が起こり、ホテル側は2週間後に謝罪をおこない、憲法では同性愛者の人権がしっかりと規定されている・・・。
こう考えると、タイとはなんと進んだ魅力的な国なのでしょう。ストレートの私でさえ拍手喝采を贈りたくなってきます。
しかし、その世界一進んだタイでさえも、現実にはまだまだ差別が存在することは忘れてはいけません。
(谷口 恭)
参考:GINAと共に 2007年6月号「レディボーイの苦悩」
そのノボテル・バンコクに「CM2」という名のナイトクラブがあるのですが、事件はそのクラブで起こりました。
7月5日のバンコクポストによりますと、6月22日、ひとりのレディボーイ(transvestite、タイ語ではカトゥーイ、日本風に言えばニューハーフ)がCM2への入店を拒否されたことが問題となり、いくつかの団体がノボテル・バンコクに抗議をおこないました。
さらに、抗議運動は世界中に広まり、100以上の同性愛関連の団体が世界中のノボテルやAccor社の所有する施設の利用をボイコットするに至りました。
これらの抗議に対し、ノボテル・バンコクは記者会見をおこない、正式に入店を断られたこのレディボーイに謝罪をおこないました。
被害者のレディボーイのスチラット(Suttirat)さんは、同ホテルの謝罪を受け入れ、ボイコット運動をおこなっている世界中の団体に対して抗議を中止するよう求めています。彼女は次のようにコメントしています。
「あたしは謝罪を受け入れることにしたの。過去は過去だもの。そのうちノボテルに遊びにいくわよ・・・」
タイは同性愛者に世界一寛容だと言われており、実際、最近改正された憲法では、「3番目の性」として新しい章がもうけられています。これにより、同性愛者たちは憲法で人権が保障されたことになります。
Bangkok Rainbow Organizationという同性愛者擁護団体があり、この団体もノボテル・バンコクの事件に対して、ウエブサイトを使って同ホテルのボイコット運動を展開していました。この団体の代表者のナットエー(Natee)さんはバンコクポストの取材に対し、次のように答えています。
「明日、私は100人の同性愛者の友達をつれて憲法改正委員会に伺う予定なの。プレゼントの花束も準備しているのよ」
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同性愛者の差別に対して社会運動が起こり、ホテル側は2週間後に謝罪をおこない、憲法では同性愛者の人権がしっかりと規定されている・・・。
こう考えると、タイとはなんと進んだ魅力的な国なのでしょう。ストレートの私でさえ拍手喝采を贈りたくなってきます。
しかし、その世界一進んだタイでさえも、現実にはまだまだ差別が存在することは忘れてはいけません。
(谷口 恭)
参考:GINAと共に 2007年6月号「レディボーイの苦悩」
2007年7月7日(土) タイ、HIV新規感染の4割が主婦
夫からHIVを感染させられるケースが増加していることは深刻な問題である・・・
タイ国内で開催された第11回エイズ学会で、モンコル保健大臣がこのような発言をおこないました。(報道は7月5日のバンコクポスト)
タイでは、過去2年間で、若い夫婦の間で夫から妻にHIVが感染するケースが増加しています。実際、HIVに新たに感染した人の約4割が主婦です。夫たちが、他の女性と気軽に性関係を持つことが原因であるとみられています。
他のハイリスクグループをみてみると、MSM(男性同性愛者)が28%、売春婦が10%ですから、タイでは主婦が最たるハイリスクグループということになります。
この事態に対し、モンコル保健大臣は、ファミリー・コンドーム・キャンペーンを展開することを検討しています。これは夫婦間でもコンドームの使用を促すもので、同時に、浮気をしないよう(一夫一妻制を守るよう)奨励していくようです。
「コンドームの使用は互いに相手を尊重する行為であり、夫婦間のHIV感染を予防することができる」、モンコル保健大臣はこのようにコメントしています。
また、エイズ国民委員会は、ホテルの客室にコンドームの常備を義務付ける計画を立てています。これは、Mr.コンドームとして有名なミーチャイ・ウィラワタイヤ(Mechai Veravaidya)氏の意向によるものだそうです。ミーチャイ氏は、90年代初頭にコンドームの使用を訴えた「100%コンドーム・キャンペーン」を実施したことで有名です。
最近のタイのエイズ関連の話題は、強制実施権(compulsory licenses)の発動(特許に従わず安価な抗HIV薬を製造・販売すること)についてのものが多いのですが、これに対して、ミーチャイ氏は次のようにコメントしています。
「強制実施権の発動はエイズの根本的な解決方法ではない。強制実施権の発動は国のHIV予防対策が上手くいかなかったことを反映していると考えるべきである」
タイでは、18歳から19歳の約6千人を対象とした最近の調査で、「コンドームを用いない」と答えた割合が67%にもなるとの結果が出ています。
************
夫が他の女性と性関係をもつことが原因でHIVに感染し、さらに自身の妻に感染させるということはたしかに大きな問題です。今後は日本でも同じことがおこると考えるべきでしょう。
しかしながら、夫婦間の間でのコンドームの使用というのは限界があるのではないでしょうか。
モンコル保健大臣は「コンドームの使用は相手を尊重する行為」と言いますが、本当に相手を尊重する行為は、絶対的な忠誠を誓うことであるはずです。これは現実的には理想論であったとしても、忘れてはならないことだと私は思います。
(谷口 恭)
参考:GINAニュース2006年9月11日 タイの主婦へのHIV対策
タイ国内で開催された第11回エイズ学会で、モンコル保健大臣がこのような発言をおこないました。(報道は7月5日のバンコクポスト)
タイでは、過去2年間で、若い夫婦の間で夫から妻にHIVが感染するケースが増加しています。実際、HIVに新たに感染した人の約4割が主婦です。夫たちが、他の女性と気軽に性関係を持つことが原因であるとみられています。
他のハイリスクグループをみてみると、MSM(男性同性愛者)が28%、売春婦が10%ですから、タイでは主婦が最たるハイリスクグループということになります。
この事態に対し、モンコル保健大臣は、ファミリー・コンドーム・キャンペーンを展開することを検討しています。これは夫婦間でもコンドームの使用を促すもので、同時に、浮気をしないよう(一夫一妻制を守るよう)奨励していくようです。
「コンドームの使用は互いに相手を尊重する行為であり、夫婦間のHIV感染を予防することができる」、モンコル保健大臣はこのようにコメントしています。
また、エイズ国民委員会は、ホテルの客室にコンドームの常備を義務付ける計画を立てています。これは、Mr.コンドームとして有名なミーチャイ・ウィラワタイヤ(Mechai Veravaidya)氏の意向によるものだそうです。ミーチャイ氏は、90年代初頭にコンドームの使用を訴えた「100%コンドーム・キャンペーン」を実施したことで有名です。
最近のタイのエイズ関連の話題は、強制実施権(compulsory licenses)の発動(特許に従わず安価な抗HIV薬を製造・販売すること)についてのものが多いのですが、これに対して、ミーチャイ氏は次のようにコメントしています。
「強制実施権の発動はエイズの根本的な解決方法ではない。強制実施権の発動は国のHIV予防対策が上手くいかなかったことを反映していると考えるべきである」
タイでは、18歳から19歳の約6千人を対象とした最近の調査で、「コンドームを用いない」と答えた割合が67%にもなるとの結果が出ています。
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夫が他の女性と性関係をもつことが原因でHIVに感染し、さらに自身の妻に感染させるということはたしかに大きな問題です。今後は日本でも同じことがおこると考えるべきでしょう。
しかしながら、夫婦間の間でのコンドームの使用というのは限界があるのではないでしょうか。
モンコル保健大臣は「コンドームの使用は相手を尊重する行為」と言いますが、本当に相手を尊重する行為は、絶対的な忠誠を誓うことであるはずです。これは現実的には理想論であったとしても、忘れてはならないことだと私は思います。
(谷口 恭)
参考:GINAニュース2006年9月11日 タイの主婦へのHIV対策