HIV/AIDS関連情報

2008年1月31日(木) ドバイでレイプされた14歳の仏少年

 HIV陽性者がHIVを隠して性交渉をおこなったニュースを過去に何度かお伝えしてきましたが、それがレイプであれば問題は大きくなります。そして、それが同性愛者による同性愛者のレイプであれば・・・。さらにそのレイプがイスラム圏であったとすれば・・・。

 1月18日のCNNによりますと、昨年7月、ドバイを旅行中のフランスの14歳の少年が男性同性愛者に誘拐されレイプされるという事件がおこり、評決が下されました。

 この少年の母親はフランスのジャーナリストであり、メディアの前でこれまでの経緯を報告しています。

 逮捕されたふたりの男性(年齢・名前は公表されていません)のうちひとりがHIV陽性であることが分かっています。レイプにより少年にHIVが感染したかどうかが注目されていましたが、結果は"陰性"、少年にHIVは感染していませんでした。

 母親は、少年には精神的な治療が必要としながらも、この結果には喜びを表明し、「息子は人生を前向きに歩んでいけるだろう」とコメントしています。

 しかしながら、ジャーナリストでもあるこの母親はドバイの裁判に対して問題点を指摘しています。

 裁判の最初に証人として法廷で証言をおこなった医師が、少年が同性愛者であることを述べています。

 イスラム圏であるドバイでは、同性愛は罪であり、起訴されれば最長1年の懲役が課せられます。(フランス国籍のこの少年が有罪となるかどうかは報道されていません)

 母親は、被害者の少年が同性愛者であるということが評決に影響を与えている可能性があることを指摘し、懲役15年という判決は適切でないとコメントしています。

 ただ、この評決を受けて、ドバイ政府はレイプ被害者のためのクリニックを設立することを決めて、これは「この母親の小さな勝利である」と現地メディアは報じているようです。

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 なぜ同性愛が罪になるのでしょう・・・。世界中に12億から15億人もの信者がいると言われているイスラム教が同性愛を禁じているということが、非常に奇異に感じられるのは私だけでしょうか・・・。

(谷口恭)

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2007年12月6日(木) ピアエデュケーションプログラムVOl.1開催 @大阪市内中学校

 大阪市内の中学校にGINAサイトでおなじみ陽性遍歴のちょふが出向き、中学生3年生にHIV/AIDSについて話をしてきました。 海外ではよく耳にするこのピア・エデュケーション。新規感染者数が増加し続けているこの日本にも必要と考えるGINAは今後も陽性者のちょふをあちこちに派遣して行く予定です。今回の中学生を対象としたプログラムは、12月7日付毎日新聞の朝刊の一面に掲載されました。

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2007年11月28/29/30日(水~金) 第21回日本エイズ学会学術集会・総会 参加

 広島で行われた第21回日本エイズ学会学術集会・総会にGINAとして参加、ブースの展示を行ってきました。また会期中、GINA代表の谷口もタイのセックスワーカーについての発表を行いました。
GINAブースです。とても目立ってましたよ!

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2007年9月25日(火) タイの子宮けい癌のキャンペーン

 タイではHIVと並んで子宮けい癌が深刻な状況となっています。

 毎年6千人以上の女性が子宮けい癌と診断され、約3千人がこの癌によって死亡しています。タイでは45歳から50歳が好発年齢となっています。

 子宮けい癌はPAPと呼ばれる簡単な方法(子宮の入り口を綿棒で軽くこするだけ)で検査をすることができます。そして、35歳以上の女性は5年ごとにこの検査を受けることが推奨されています。(日本では一般的に年に一度は受けるよう推奨されています。しかし、実際に検査を受けている人はタイと同様それほど多くなく、日本でもこの癌に罹患する女性は年々増えているというデータもあります)

 タイ保健省は75県で、このPAP検査を促すようなキャンペーンを考案しており、80万人の女性に検査を受けてもらうことを目標としています。昨年は、目標にはほど遠く、実際に検査を受けたのは、435,995人と全体の54%に過ぎませんでした。

 昨年検査を受けた女性のうち、6,276人が子宮けい部に異常細胞が見つかり、5,892人が癌の早期の段階で(この状態までに見つかれば子宮を摘出することなく治せます)、384人が進行癌の状態でした。

 タイでは2004年に子宮けい癌対策が開始され、5年後にこの癌の罹患者を半分にするという目標が掲げられています。

 タイでは、子宮けい癌の原因が世間一般に認知されておらず、またPAP検査を不快に感じている女性が多いと言われています。

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 子宮けい癌の原因は、もちろんヒトパピローマウイルス(HPV)による性感染ですから、コンドーム使用によってある程度の減少は見込めるはずです。

 PAPについては、内診台で腟内に腟鏡を入れられることにたしかに抵抗があるでしょうが、慣れてしまえばそれほど恐れることはありません。

 タイでは今年からHPVのワクチンが認可されましたが、価格が高いために広く浸透するまでに何年もの時間がかかるでしょう。

 一方、日本では、そのワクチンは認可すらされていない状態です。(他のワクチンと同様、日本はワクチン後進国なのです)

 であるなら、タイでも日本でも定期的なPAPが最も有効であることがもっと認知されなければならないでしょう。

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2007年9月25日(火) タイ、来月から大規模エイズキャンペーン

 9月24日のThe Nation(タイの英字新聞)によりますと、タイでは来月から大規模のエイズキャンペーンが展開されるようです。このキャンペーンは、"Mr.コンドーム"として有名なミーチャイ・ウィラワタイヤ(Mechai Veravaidya)氏が中心になっておこなわれます。(ミーチャイ氏は、90年代初頭にコンドームの無料配布をおこないHIV感染の上昇を阻止したことで有名です)

 ミーチャイ氏は、The Nationの取材に以下のようにコメントしています。

 「タイ健康促進基金(Thai Health Promotion Foundation)は、3千万バーツ(約1億円)の予算で予防啓発をおこなうことに同意した。さらに、来年は4億7千万バーツの予算が割り当てられることになっている。キャンペーンでは単にパンフレットをつくるだけでなく、テレビやラジオを通しての啓蒙もおこなっていくつもりだ」

 ミーチャイ氏は、これまでも同基金が予算の計上に同意していたのにもかかわらず、政府が有効な対策をとってこなかったことを指摘しています。

 氏は続けます。

 「政府のせいで、最近のタイのHIV新規感染率は上昇している。我々は以前、コンドームを無料で配布することで感染の拡大を阻止できた。けれども今、若者たちはコンドームを買わなくてはならない。多くの若者は、コンビニや薬局の棚からコンドームを取ることに恥ずかしさを感じている。それが結果としてコンドームを用いないセックスをおこなうことにつながっている」

 ミーチャイ氏は、若者や地方の行政に働きかけることによって、今後、タイでのHIV新規感染が劇的に減少することを確信しているといいます。

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 パンフレット、テレビのCM、などと言われると、「ありきたりだな・・・」と思ってしまいますが、実績のあるミーチャイ氏が言えば説得力があります。

 以前タイのテレビで、ミーチャイ氏が小学生と一緒に風船のようにコンドームを膨らませている姿を見たことがあります。

 いったん、減少しかけたHIV感染者が(特に若い世代で)再び増加に転じているタイを正しい方向に導くのはミーチャイ氏を置いて他にはいないのかもしれません。

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