HIV/AIDS関連情報
2007年6月19日(火) 10代の飲酒が性感染症を増加
未成年のアルコールや薬物乱用、性感染症の増加というのは、どこの国でも問題になっていますが、イギリスのタブロイド紙のThe Independentがおこなった国内の調査で、飲酒と性感染症が関連しているという結果が報告されました。(報道は6月15日のThe Independent)
報告によりますと、13歳から14歳の少年少女の10人に4人が初めて性交渉をもつときに飲酒をしていたことがわかりました。
イギリスでは20年前までは、女性は男性と同じような飲酒習慣はなかったそうです。しかし、2002年までに飲酒の習慣が男性と同じになった、とこの報告では述べられています。
また、ユニセフの調査では15歳未満の飲酒率がイギリスは世界で最も高いそうです。ユニセフは、イギリスの少年少女の飲酒が増加していることに加え、大麻の消費量が世界で3番目に多いことも指摘しています。
性感染症については、過去12年間で、クラミジアとHIVが300%の増加、淋病は200%、梅毒は2,000%も増加しています。
***********
このイギリスの調査結果は、そのまま日本にも当てはまると考えるべきでしょう。イギリスと同様、日本でも違法薬物が氾濫し、アルコールについては罪の意識すらもたない未成年があまりにも多いように思われます。
この報告では未成年の飲酒を問題にしていますが、違法薬物の使用や性感染症の増加はなにも未成年に限ったことではなく、日本では20代はもちろん、中年男性や女性の間でも大きくなるばかりのように思われます。
(谷口 恭)
報告によりますと、13歳から14歳の少年少女の10人に4人が初めて性交渉をもつときに飲酒をしていたことがわかりました。
イギリスでは20年前までは、女性は男性と同じような飲酒習慣はなかったそうです。しかし、2002年までに飲酒の習慣が男性と同じになった、とこの報告では述べられています。
また、ユニセフの調査では15歳未満の飲酒率がイギリスは世界で最も高いそうです。ユニセフは、イギリスの少年少女の飲酒が増加していることに加え、大麻の消費量が世界で3番目に多いことも指摘しています。
性感染症については、過去12年間で、クラミジアとHIVが300%の増加、淋病は200%、梅毒は2,000%も増加しています。
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このイギリスの調査結果は、そのまま日本にも当てはまると考えるべきでしょう。イギリスと同様、日本でも違法薬物が氾濫し、アルコールについては罪の意識すらもたない未成年があまりにも多いように思われます。
この報告では未成年の飲酒を問題にしていますが、違法薬物の使用や性感染症の増加はなにも未成年に限ったことではなく、日本では20代はもちろん、中年男性や女性の間でも大きくなるばかりのように思われます。
(谷口 恭)
2007年6月19日(火) 少女にHIVを感染させた男性が逮捕
HIV陽性のスウェーデン在住の32歳の男が、チャットルームで知り合った130人もの少女と性関係をもち、このうち少なくとも2人の少女がHIVに感染していたことが分かりました。
この男はスウェーデン警察に逮捕され、現在ストックホルムの裁判所で審議がおこなわれています。(報道は6月9日のBBC NEWS)
この男が住むアパートの管理人が、未成年の少女と性行為をおこなっているこの男の写真を発見し、さらに抗HIV薬が部屋の中に置かれていたことから逮捕へとつながったようです。
スウェーデン警察は、この男と関係をもった130人の少女の行方を追い、HIVの検査をすすめています。尚、男は2003年から2006年の4年にわたり犯行を繰り返していたようです。
************
スウェーデンという遠い国の話ですが、日本でも、「出会い系サイトで知り合った相手から性感染症をうつされた」、と言ってクリニックを受診する人は少なくありません。また、性感染症以外にもレイプの被害者もいます。
いつか同じような事件が日本でも報道されるようになるのでしょうか・・・
(谷口 恭)
この男はスウェーデン警察に逮捕され、現在ストックホルムの裁判所で審議がおこなわれています。(報道は6月9日のBBC NEWS)
この男が住むアパートの管理人が、未成年の少女と性行為をおこなっているこの男の写真を発見し、さらに抗HIV薬が部屋の中に置かれていたことから逮捕へとつながったようです。
スウェーデン警察は、この男と関係をもった130人の少女の行方を追い、HIVの検査をすすめています。尚、男は2003年から2006年の4年にわたり犯行を繰り返していたようです。
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スウェーデンという遠い国の話ですが、日本でも、「出会い系サイトで知り合った相手から性感染症をうつされた」、と言ってクリニックを受診する人は少なくありません。また、性感染症以外にもレイプの被害者もいます。
いつか同じような事件が日本でも報道されるようになるのでしょうか・・・
(谷口 恭)
2007年6月4日(月) 注射針を刺されたノッティンガムの少女
イギリスのノッティンガムで16歳の女子が見知らぬ女子に突然注射針を刺され、現在HIV感染が懸念されています。(報道は5月29日のBBC NEWS)
この少女は、5月30日に友達とマーケットに出かけていました。その日は人気DJによるイベントも開催されていたようです。そのイベントで、風変わりな(erratic注1)踊り方をしている見知らぬ女性が彼女に近づいてきて、突然彼女の右の太ももに注射針を刺しそのまま逃亡したようです。
この少女はその後すぐに病院に運ばれ、B型肝炎とC型肝炎の予防処置がおこなわれました(注2)。
現在、HIVの結果を待っているところだそうです。
尚、彼女に注射針を刺した容疑者は、14-15歳の黒人少女で体格や髪型の特徴が公開され捜索がおこなわれていますが、現時点では見つかっていないようです。
************
すてらめいとクリニックにも、ときどきこのような患者さんが来られます。「突然見知らぬ男性に使用済みと思われる注射針を刺された」、「車から注射針を投げつけられ足に刺さった」、などと言われます。
このようなことでもHIV感染の可能性はありますから、クリニックを受診することにはもちろん意味があるのですが、彼(女)らの多くは受診を決心するまでにかなりの時間がかかっています。
もしも危険性が少なくないなら、できるだけ早急に受診するのが懸命だと言えます。
注1: 原文にerraticとありますが、この単語から推測して、犯人は薬物を使用していた可能性があります。だとすると、やはり危険性は小さくないのかもしれません。
注:BBC NEWSの原文には、「B型肝炎とC型肝炎の予防処置」とあります。B型肝炎に対しては処置方法がありますが、C型肝炎に対してはこの場合何もできることがないために「C型肝炎の予防処置」というのは誤りだと思われます。B型肝炎とHIVに対しては薬の投与で危険性を減らすことができますが、C型肝炎についてはなす術がないというわけです。日本で同様の事件が起こった場合、頻度と感染力を考えたときに、C型肝炎のリスクが最も高いと言えるでしょう。このような事件は予防するにも限界があり、今後社会の問題となるかもしれません。
(谷口 恭)
この少女は、5月30日に友達とマーケットに出かけていました。その日は人気DJによるイベントも開催されていたようです。そのイベントで、風変わりな(erratic注1)踊り方をしている見知らぬ女性が彼女に近づいてきて、突然彼女の右の太ももに注射針を刺しそのまま逃亡したようです。
この少女はその後すぐに病院に運ばれ、B型肝炎とC型肝炎の予防処置がおこなわれました(注2)。
現在、HIVの結果を待っているところだそうです。
尚、彼女に注射針を刺した容疑者は、14-15歳の黒人少女で体格や髪型の特徴が公開され捜索がおこなわれていますが、現時点では見つかっていないようです。
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すてらめいとクリニックにも、ときどきこのような患者さんが来られます。「突然見知らぬ男性に使用済みと思われる注射針を刺された」、「車から注射針を投げつけられ足に刺さった」、などと言われます。
このようなことでもHIV感染の可能性はありますから、クリニックを受診することにはもちろん意味があるのですが、彼(女)らの多くは受診を決心するまでにかなりの時間がかかっています。
もしも危険性が少なくないなら、できるだけ早急に受診するのが懸命だと言えます。
注1: 原文にerraticとありますが、この単語から推測して、犯人は薬物を使用していた可能性があります。だとすると、やはり危険性は小さくないのかもしれません。
注:BBC NEWSの原文には、「B型肝炎とC型肝炎の予防処置」とあります。B型肝炎に対しては処置方法がありますが、C型肝炎に対してはこの場合何もできることがないために「C型肝炎の予防処置」というのは誤りだと思われます。B型肝炎とHIVに対しては薬の投与で危険性を減らすことができますが、C型肝炎についてはなす術がないというわけです。日本で同様の事件が起こった場合、頻度と感染力を考えたときに、C型肝炎のリスクが最も高いと言えるでしょう。このような事件は予防するにも限界があり、今後社会の問題となるかもしれません。
(谷口 恭)
2007年6月4日(月) メルク社がタイの子供たちに抗HIV薬をオファー
アメリカに拠点を置く製薬会社のメルク社が、タイのHIV陽性の子供2,500人分の抗HIV薬を支給するという提案をタイ保健省におこない、同省はこれを受けいれました。(報道は6月2日のバンコクポスト)。
この抗HIV薬はエファビレンツ(Efavirenz)という名前で、今回支給が決まったのは小児用のシロップタイプです。
現在タイは、複数の抗HIV薬に対して強制実施権を行使しており、特許を無視した廉価な薬剤の製造や輸入を検討しています。メルク社のエファビレンツもそのひとつです。
メルク社が販売しているエファビレンツは、現在タイではひとりの患者さんにつき、一月762バーツ(約2,300円)で供給されています。メルク社は以前から、この価格の値下げをタイ政府から要求されており、この申し入れを受けない代わりとして、今回の小児用エファビレンツの無償供与を提案したというわけです。
***********
収拾がつかなくなっていた強制実施権の行使でしたが、このメルク社の申し入れは双方に有益なものであるように思われます。メルク社と同様、アメリカに拠点を置き、強制実施権の対象薬品(カレトラ)を販売しているアボット社の今後の動きに注目したいところです。
(谷口 恭)
この抗HIV薬はエファビレンツ(Efavirenz)という名前で、今回支給が決まったのは小児用のシロップタイプです。
現在タイは、複数の抗HIV薬に対して強制実施権を行使しており、特許を無視した廉価な薬剤の製造や輸入を検討しています。メルク社のエファビレンツもそのひとつです。
メルク社が販売しているエファビレンツは、現在タイではひとりの患者さんにつき、一月762バーツ(約2,300円)で供給されています。メルク社は以前から、この価格の値下げをタイ政府から要求されており、この申し入れを受けない代わりとして、今回の小児用エファビレンツの無償供与を提案したというわけです。
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収拾がつかなくなっていた強制実施権の行使でしたが、このメルク社の申し入れは双方に有益なものであるように思われます。メルク社と同様、アメリカに拠点を置き、強制実施権の対象薬品(カレトラ)を販売しているアボット社の今後の動きに注目したいところです。
(谷口 恭)
2007年6月4日(月) オランダ、乱交パーティでHIVを注射
オランダのフローニンゲンで恐ろしい事件が起こりました。(報道は6月1日のNEWS.COM.AU)
3人のHIV陽性のゲイが乱交パーティを主催し、パーティの参加者に薬物を使い、レイプをおこない、さらに自分たちのHIV陽性の血液を薬物で記憶をなくした被害者に注射していたそうです。
容疑者たちはインターネットで乱交パーティの参加者を募り、やって来た参加者に複数の薬物を使っています。使われた薬剤は、通常のエクスタシー(MDMA)に加え、日本ではかつて合法ドラッグであったGHB(注)も使われています。
そして、薬物で意識が朦朧とした参加者に対し、自分たちのHIVが混入した血液を注射したのです。
逮捕された3人の容疑者のひとりは(男性)看護師だそうです。
被害にあったパーティの参加者は、現在わかっているのが25歳から50歳の4人ですが、地元警察は少なくともさらに8人の被害者がいるとみています。
地元警察は、逮捕された容疑者たちについて次のようにコメントしています。
「HIV陽性者が増えれば増えるほど、コンドームを用いない性交渉(unprotected sex)の機会が増えると彼らは考えていたようだ。彼らにとって、コンドームを用いない性交渉こそが"純粋な関係"だそうだ」
*************
私が以前診察した患者さん(日本人男性)は、カナダの乱交パーティに参加してHIVに感染したと話していました。その男性はゲイではなく、女性と男性が参加する乱交パーティに参加したそうです。
乱交パーティの良し悪しは別にして(もちろん良いことではないでしょうが)、薬物やレイプといったリスクがあることは覚悟しておくべきでしょう。さらに、この事件のように「意識が朦朧とした状態でHIVを注射される」という危険性にも注意を払わなければなりません。
注 GHBとは、γヒドロキシ酪酸(γ hydroxybutyric acid)のことで、日本でもかつては合法ドラッグとして比較的簡単に入手できていました。2000年9月には、インターネットで手に入れたGHBを大量摂取した女子高生が死亡するという事件があり、翌年から麻薬取締法の指定薬物に加えられ現在では違法となっています。オランダでも、現在では違法薬物に指定されていると思われます。90年代にはいわゆるレイブ・パーティ(ダンスパーティの一種)に世界中で頻繁に使用されており、「リキッド・エクスタシー」「リキッド・E」「イージー・レイ(Easy Lay)」「ゲイ・ホーム・ボーイ」などの通称名で呼ばれていました。
(谷口 恭)
3人のHIV陽性のゲイが乱交パーティを主催し、パーティの参加者に薬物を使い、レイプをおこない、さらに自分たちのHIV陽性の血液を薬物で記憶をなくした被害者に注射していたそうです。
容疑者たちはインターネットで乱交パーティの参加者を募り、やって来た参加者に複数の薬物を使っています。使われた薬剤は、通常のエクスタシー(MDMA)に加え、日本ではかつて合法ドラッグであったGHB(注)も使われています。
そして、薬物で意識が朦朧とした参加者に対し、自分たちのHIVが混入した血液を注射したのです。
逮捕された3人の容疑者のひとりは(男性)看護師だそうです。
被害にあったパーティの参加者は、現在わかっているのが25歳から50歳の4人ですが、地元警察は少なくともさらに8人の被害者がいるとみています。
地元警察は、逮捕された容疑者たちについて次のようにコメントしています。
「HIV陽性者が増えれば増えるほど、コンドームを用いない性交渉(unprotected sex)の機会が増えると彼らは考えていたようだ。彼らにとって、コンドームを用いない性交渉こそが"純粋な関係"だそうだ」
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私が以前診察した患者さん(日本人男性)は、カナダの乱交パーティに参加してHIVに感染したと話していました。その男性はゲイではなく、女性と男性が参加する乱交パーティに参加したそうです。
乱交パーティの良し悪しは別にして(もちろん良いことではないでしょうが)、薬物やレイプといったリスクがあることは覚悟しておくべきでしょう。さらに、この事件のように「意識が朦朧とした状態でHIVを注射される」という危険性にも注意を払わなければなりません。
注 GHBとは、γヒドロキシ酪酸(γ hydroxybutyric acid)のことで、日本でもかつては合法ドラッグとして比較的簡単に入手できていました。2000年9月には、インターネットで手に入れたGHBを大量摂取した女子高生が死亡するという事件があり、翌年から麻薬取締法の指定薬物に加えられ現在では違法となっています。オランダでも、現在では違法薬物に指定されていると思われます。90年代にはいわゆるレイブ・パーティ(ダンスパーティの一種)に世界中で頻繁に使用されており、「リキッド・エクスタシー」「リキッド・E」「イージー・レイ(Easy Lay)」「ゲイ・ホーム・ボーイ」などの通称名で呼ばれていました。
(谷口 恭)