HIV/AIDS関連情報

2007年7月17日(火) オーストラリアのコメディアンがC型肝炎について失言

 オーストラリアには「Rove」というタイトルのコメディ番組があります。(私は見たことがありませんが・・・)

 その「Rove」に出演しているピーター・ヘリアー(Peter Helliar)というコメディアンが、C型肝炎ウイルスに関する失言をして正式に謝罪をおこなったようです(報道は7月3日のNEWS.COM.AU)

 このコメディアンは、番組のなかで、ゲストとして参加していたアメリカの女優パメラ・アンダーソンに対して、「40回目の誕生日プレゼントに何がほしい?」と尋ねた次に、「去年はC型肝炎ウイルスをもらったんだよね・・・」というジョークを言いました。

 これに対し、肝炎の患者会がこのコメディアンに対して抗議をおこない、これを受けたコメディアンが謝罪をしたというわけです。

 肝炎の患者会の代表者は次のようにコメントしています。

 「C型肝炎ウイルス保有者は日頃からいわれのない差別を受けています。今回のコメディアンの失言に大変傷つけられました」

 オーストラリアには、現在約26万人のC型肝炎ウイルス陽性者がいます。毎年およそ1万人が新たにこのウイルスに感染しています。

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 肝炎の患者会は、次のようにもコメントしています。

 「これがHIVであっても同じようなジョークとなるのかしら・・・」

 このコメントの真意は、世間はHIVについては敏感になっているけれどもC型肝炎ウイルス陽性者も同じような社会の偏見にさらされている、というものでしょう。
 
 たしかに、HIVとC型肝炎ウイルスは感染経路も同じですし(性感染と血液感染)、ときに治療が困難である点も共通しています。HIVにはすぐれた薬がありますが、C型肝炎ウイルスは特効薬として使われているインターフェロンも無効例が多く、HIVとC型肝炎ウイルスに重複感染した例では、エイズの発症は防げたけれどもC型肝炎が進行して命を落とすようなケースも少なくありません。

 参考までに、日本のC型肝炎ウイルスの保有者は最大で200万人と言われています。

(谷口 恭)