HIV/AIDS関連情報

2007年2月15日(木) オーストラリアの病院でHIV院内感染の疑い?

 2月9日のNEWS.COM.AUによりますと、オーストラリア首都特別地域保健局は97人の子供がB型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、HIVなどに感染している可能性があることを発表しました。

 これらのウイルスに感染している可能性があるのは、1987年の2月から2006年の10月中旬までに、キャンベラ市内のある病院で大腸の生検(大腸の組織を一部取る検査)がおこなわれた子供であると発表されています。昨年10月に院内のスタッフが、生検で使用する鉗子が適切に滅菌されていないことに気づき、ウイルス感染の可能性が否定できないために保健局が公表するにいたりました。

 現在、保健局は、この大腸の検査を受けて感染の可能性があると考えられている97人のうち70人に連絡を取り、これら感染症の検査を受けるように促しました。残りの27人は現時点で連絡がついていないそうです。

 保健局は、「感染している可能性は小さいが倫理的な観点からもこれら患者さんに連絡すべきと考えた」、とコメントしています。

 一方、シドニー大学の法医学に詳しいロガー・マグヌソン(Roger Magnusson)教授は、今回の保健局のとった措置に対して、「リスクが極めて小さいのにもかかわらず保健局は患者と家族に過剰な心配を与えている」、と指摘しました。同教授は続けます。

 「たとえ感染していないことが判っても、不安な気持ちに支配されることがある。感染してなくてもそのような病原体に接触した可能性のあることを心配しすぎて、精神的な障害が出現する可能性もある。また、子供から親に家庭内感染したのではないかと心配させることにもつながる。保健局は詳細をどのように公開するかについて充分に注意しなければならない」

 保健局が今回の対応に踏み切ったのは、この病院の感染予防対策が、1994年に制定された規約に基づいていなかったからです。現在、保健局はホットラインをつくりまだ連絡が取れていない患者さんを探しています。

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 今回対象となっている感染したかもしれない(元)患者さんはいずれも子供です。マグヌソン教授が懸念しているように、子供に過剰な不安を与えないか、異国のことながら心配になります・・・。

(谷口 恭)