HIV/AIDS関連情報

2007年2月19日(月) 危険なタイのティーンエージャー

 タイの思春期医療の専門医である小児科医スリヤデオ・トリパチ医師(Dr.Suriyadeo Tripathi)が、現在のタイのティーンエージャーの危険性について発表をおこない、2月15日のバンコクポストが報道しています。

 「コンドームを用いない性行為(unprotected sex)は、望まない妊娠だけでなく、子宮けい癌などの危険な性感染症にもつながることを10代の若者は認識しなければならない。10代の少女がボーイフレンドから愛を確かめるためにセックスをしようと誘われたときに"ノー"と言うべき理由はいくつもある」、とスリヤデオ医師は警告しています。

 スリヤデオ医師は、ユニセフの報告を引き合いに出し、タイの15歳から24歳の60%が処女を失ってから1年以内になんらかの性感染症に罹患している可能性があることを述べました。

 この医師の研究によりますと、初めての性行為をおこなってから1年以内に避妊ピルやコンドームを使い始める10代の少女もいますが、コンドームを常に使う少女は20%に過ぎないそうです。

 ユニセフの報告では、タイでは約6万人のティーンエイジャー(15歳から19歳)がHIVに感染しており、HIV関連の死亡は、今や事故についで10代の死因の第2位です。(参考までに、若者の人数が700から800万人と、タイと同規模のカリフォルニア州ではティーンエイジャーのHIV陽性者は約4千人です。カリフォルニアの死因第2位は他殺です)

 現在のタイの10代の少女のあいだで最も流行っている性感染症が淋病とクラミジアです。これらは骨盤内感染症を引き起こし、正常な妊娠ができなくなることもあります。また、子宮けい癌の原因となるヒトパピローマウイルス(HPV)も広く蔓延しています。HPVは感染しても80%は数年以内の間に陰性化しますが、20%は慢性化し子宮けい癌のリスクとなります。

 「少女のなかには、自分が性感染症に罹患していることを恥ずかしいことと感じており、パートナーに言えない者もいる。そして、これが問題をさらに悪化させている」、とスリヤデオ医師は言います。そして、まずはマスコミが刺激的な映像を流していることが問題であることを指摘し、少女たちには4つの"ノー"を言うように提言しています。

 4つの"ノー"とは、「オープンな誘い(open invitation)に対する"ノー"」、「誘惑的な振る舞い(seductive behavior)に対する"ノー"」、「遠くに行くことに対する"ノー"」、そして「アルコールに対する"ノー"」、です。

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 タイに比べるとHIVの罹患率は現時点では少ないものの、日本でも10代の少女の淋病、クラミジア、HPV感染は広く蔓延しています。日本の少女たちも"ノー"と言えるようになるでしょうか・・・

(谷口 恭)