HIV/AIDS関連情報
2006年6月26日(月) 厚生労働省がエイズ急増自治体を支援
2005年に新規報告されたHIV感染者とエイズ発症者の合計は1199人となり、過去最高を記録しました。累計では1万1千人を超え、日本は感染者総数は少ないもの、韓国とともに感染者が増え続けている先進国として注目されています。
このため厚生労働省は26日に、エイズの状況悪化が著しい16の自治体の担当者を集め、連絡協議会を開きました。
問題の16の自治体とは、10個の都道府県(茨城、埼玉、千葉、東京、神奈川、山梨、長野、愛知、大阪、沖縄)と、6つの政令都市(さいたま、千葉、横浜、川崎、名古屋、大阪)です。
連絡協議会では、特に感染が増加している若い世代が行きやすい夜間・休日検査や、すぐに結果が分かる迅速検査の導入、若い世代や同性愛者向けの予防啓発イベントの実施、などを検討するそうです。
GINAでも、抗体検査の受診を訴えていきたいと考えています。近いうちに、当websiteで案内をしていく予定です。
(谷口 恭)
このため厚生労働省は26日に、エイズの状況悪化が著しい16の自治体の担当者を集め、連絡協議会を開きました。
問題の16の自治体とは、10個の都道府県(茨城、埼玉、千葉、東京、神奈川、山梨、長野、愛知、大阪、沖縄)と、6つの政令都市(さいたま、千葉、横浜、川崎、名古屋、大阪)です。
連絡協議会では、特に感染が増加している若い世代が行きやすい夜間・休日検査や、すぐに結果が分かる迅速検査の導入、若い世代や同性愛者向けの予防啓発イベントの実施、などを検討するそうです。
GINAでも、抗体検査の受診を訴えていきたいと考えています。近いうちに、当websiteで案内をしていく予定です。
(谷口 恭)
2006年6月23日(金) 恋人にHIVをうつした女性が禁固刑に
The Independent(online edition) 6月22日号によりますと、UKの43歳の女性が、自分の恋人(31歳)に故意にHIVを感染させた罪で、32ヶ月間の禁固刑を科せられました。
ヘアーサロンの受付をしているこの女性は、これまでに4人の男性に対して自分がHIV陽性であることを隠して、コンドームを用いない性交渉(unprotected sex)をおこなったそうです。
そのうちのひとりの31歳の男性がHIVに感染したわけですが、これが発覚したのは、その4人の男性のうちのひとりである36歳の別の男性が、コンドームを用いない性交渉をした後に、彼女がHIV陽性であることを告げたために、警察に事情を話したことがきっかけとなりました。
警察がこの女性の家宅捜査をおこない、そこから4人の男性と付き合いがあったことが発覚し、4人のうち1人の男性がHIVに感染していることが分かりました。この男性はこの女性と2001年から2年間の付き合いをしていたそうです。自身がHIVを彼女からうつされたことを知った直後は、精神的に不安定になり、自殺まで試みたそうです。
UKでは昨年(2005年)にも似たような事件がありました。15歳のときにHIVに感染した女性が、20歳のときに自分の恋人に故意にHIVをうつし、その結果2年間の禁固刑が科せられています。
この事件はいくつかの問題を孕んでいます。
まず、自分の恋人に、自身がHIV陽性であることを告知できない現状があるということです。B型肝炎ウイルスやC型肝炎ウイルスを所有していることを恋人に告げるのも勇気のいることですが、それ以上にHIVに感染していることを恋人に告げるのは、社会的な差別やスティグマがあるが故に困難なのでしょう。
次に、自分の恋人からHIVをうつされたこの男性は、元恋人を「pure evil(真性の悪魔)」と呼び、自殺未遂にまで至ったということです。我々のように、日頃からたくさんのHIV陽性の方、あるいはエイズを発症している患者さんをみていると、HIV/AIDSが「悪魔」とか「自殺」とかいったものにつながることが理解しがたいのですが、まだまだ世間ではそのようなものとみられていることを示しています。
さらに、自分の恋人にHIVを感染させたことが2~3年の禁固刑に相当するのかという問題があります。HIV感染は死に至る病ではもちろんありません。このような重い(と私は感じます)刑を科すことによって、世間のHIVに対するスティグマが助長されないか、私は危惧しています。
HIV陽性であることを背負いながら生きている、その女性の苦悩を理解することができなかった4人の元恋人には、反省すべき点がないのでしょうか。
自分の恋人にHIVを感染させたことは罪であるかもしれませんが、名前を公表して(ここでは被告の名前はあえて伏せておきます)、禁固刑が当然であるかのような発表をおこなうことには違和感を覚えます。
HIV陽性者を「犯人」扱いするのではなく、HIV陽性であることを、少なくとも自分の恋人には告げられるような、差別・スティグマのない社会があるべき姿のはずです。
『今そこにあるタイのエイズ日本のエイズ』でも述べましたが、HIV陽性であることの苦悩をもっとも受け止めることができるのはその恋人なのですから・・・。
(谷口 恭)
ヘアーサロンの受付をしているこの女性は、これまでに4人の男性に対して自分がHIV陽性であることを隠して、コンドームを用いない性交渉(unprotected sex)をおこなったそうです。
そのうちのひとりの31歳の男性がHIVに感染したわけですが、これが発覚したのは、その4人の男性のうちのひとりである36歳の別の男性が、コンドームを用いない性交渉をした後に、彼女がHIV陽性であることを告げたために、警察に事情を話したことがきっかけとなりました。
警察がこの女性の家宅捜査をおこない、そこから4人の男性と付き合いがあったことが発覚し、4人のうち1人の男性がHIVに感染していることが分かりました。この男性はこの女性と2001年から2年間の付き合いをしていたそうです。自身がHIVを彼女からうつされたことを知った直後は、精神的に不安定になり、自殺まで試みたそうです。
UKでは昨年(2005年)にも似たような事件がありました。15歳のときにHIVに感染した女性が、20歳のときに自分の恋人に故意にHIVをうつし、その結果2年間の禁固刑が科せられています。
この事件はいくつかの問題を孕んでいます。
まず、自分の恋人に、自身がHIV陽性であることを告知できない現状があるということです。B型肝炎ウイルスやC型肝炎ウイルスを所有していることを恋人に告げるのも勇気のいることですが、それ以上にHIVに感染していることを恋人に告げるのは、社会的な差別やスティグマがあるが故に困難なのでしょう。
次に、自分の恋人からHIVをうつされたこの男性は、元恋人を「pure evil(真性の悪魔)」と呼び、自殺未遂にまで至ったということです。我々のように、日頃からたくさんのHIV陽性の方、あるいはエイズを発症している患者さんをみていると、HIV/AIDSが「悪魔」とか「自殺」とかいったものにつながることが理解しがたいのですが、まだまだ世間ではそのようなものとみられていることを示しています。
さらに、自分の恋人にHIVを感染させたことが2~3年の禁固刑に相当するのかという問題があります。HIV感染は死に至る病ではもちろんありません。このような重い(と私は感じます)刑を科すことによって、世間のHIVに対するスティグマが助長されないか、私は危惧しています。
HIV陽性であることを背負いながら生きている、その女性の苦悩を理解することができなかった4人の元恋人には、反省すべき点がないのでしょうか。
自分の恋人にHIVを感染させたことは罪であるかもしれませんが、名前を公表して(ここでは被告の名前はあえて伏せておきます)、禁固刑が当然であるかのような発表をおこなうことには違和感を覚えます。
HIV陽性者を「犯人」扱いするのではなく、HIV陽性であることを、少なくとも自分の恋人には告げられるような、差別・スティグマのない社会があるべき姿のはずです。
『今そこにあるタイのエイズ日本のエイズ』でも述べましたが、HIV陽性であることの苦悩をもっとも受け止めることができるのはその恋人なのですから・・・。
(谷口 恭)
2006年6月21日(水) 仕事も恋人もなくした日本人の自殺
タイの大衆新聞タイラット紙2006年6月5日号によりますと、バンコク在住の44歳の日本人男性が、6月4日にアパートで首をつって自殺しているのが、家賃の取立てのために部屋を訪れたアパート管理人によって発見されたそうです。
報道によりますと、この日本人男性(新聞には実名が報道されていますがここでは伏せておきます)は、数ヶ月前から失業しており、貯金が底をつき、付き合っていたタイ人の恋人にも逃げられた末の自殺だったとのことです。
現場には遺書とともに、その恋人の写真が置かれていたそうです。
私がこのニュースを知り合いのタイ人(女性)に話すと、この日本人から逃げたタイの女性というのは(元)売春婦であるに違いないと言います。
「どうしてそんなことが分かるの?」という私の質問に対し、「タイの女は情が厚いから、仕事をなくしてお金がないくらいのことで男から離れることはない。この女は初めから金目当てで付き合ってるから、金が尽きた男から去って行ったに違いない。」という答えが返ってきました。
タイラット紙には、日本人や西洋人の男性が自殺をしたという記事が頻繁に掲載されますが、その多くがタイ人の恋人に逃げられた挙句の自殺であると報道されています。
私の知り合いが言うように、男が自殺する直前に逃亡したタイ女性は(元)売春婦なのでしょうか。
事実はそうであったとしても、自殺した男性にとっては、売春婦ではなく「恋人」であったに違いありません。
逝く直前まで写真のなかのその女性を見つめていたのですから・・・。
(谷口 恭)
報道によりますと、この日本人男性(新聞には実名が報道されていますがここでは伏せておきます)は、数ヶ月前から失業しており、貯金が底をつき、付き合っていたタイ人の恋人にも逃げられた末の自殺だったとのことです。
現場には遺書とともに、その恋人の写真が置かれていたそうです。
私がこのニュースを知り合いのタイ人(女性)に話すと、この日本人から逃げたタイの女性というのは(元)売春婦であるに違いないと言います。
「どうしてそんなことが分かるの?」という私の質問に対し、「タイの女は情が厚いから、仕事をなくしてお金がないくらいのことで男から離れることはない。この女は初めから金目当てで付き合ってるから、金が尽きた男から去って行ったに違いない。」という答えが返ってきました。
タイラット紙には、日本人や西洋人の男性が自殺をしたという記事が頻繁に掲載されますが、その多くがタイ人の恋人に逃げられた挙句の自殺であると報道されています。
私の知り合いが言うように、男が自殺する直前に逃亡したタイ女性は(元)売春婦なのでしょうか。
事実はそうであったとしても、自殺した男性にとっては、売春婦ではなく「恋人」であったに違いありません。
逝く直前まで写真のなかのその女性を見つめていたのですから・・・。
(谷口 恭)
2006年6月19日(月) タイの売春婦が観光客に睡眠薬強盗
「バンコク週報」2006年6月19日号によりますと、6月13日午後1時ごろ、タイのリゾート地パタヤにあるホテルの客室内で、インド人男性観光客3人(22歳、30歳、32歳)が意識不明になって倒れ、近くの病院の医師が手当てにあたったそうです。
警察の調べでは、被害者たちは、12日深夜に歓楽街近くの海岸通りでタイ人女性3人から、1人500バーツ(約1500円)で売春を持ちかけられ、ホテルの部屋に女性と一緒に戻った後、睡眠薬入りのビールを飲まされたとみられるそうです。
ホテルの従業員が、部屋から慌てて飛び出してくる女性たちを目撃して、不審に思ったことから発覚し、被害者たちは、合わせて、3万バーツ(約9万円)の現金、クレジットカード、携帯電話などを盗られたそうです。
パタヤの海岸通は私も歩いたことがありますが、数メートルおきに、派手な衣装を身にまとったセックスワーカーとみられる(美しい)女性が立っており、観光客に英語や日本語で声をかけてきます。
パタヤには、マッサージパーラー(ソープランド)、置屋、ゴーゴーバー、カラオケなど、ありとあらゆる種類の売春施設がありますが、海岸通りで客をとる、いわゆるストリートガールも少なくありません。
そして、日本を含めて世界各国から売春目的でパタヤを訪れる男性はかなりの数に昇ります。
この事件を聞いてヒヤっとした日本人男性は少なくないのではないでしょうか。
(谷口 恭)
警察の調べでは、被害者たちは、12日深夜に歓楽街近くの海岸通りでタイ人女性3人から、1人500バーツ(約1500円)で売春を持ちかけられ、ホテルの部屋に女性と一緒に戻った後、睡眠薬入りのビールを飲まされたとみられるそうです。
ホテルの従業員が、部屋から慌てて飛び出してくる女性たちを目撃して、不審に思ったことから発覚し、被害者たちは、合わせて、3万バーツ(約9万円)の現金、クレジットカード、携帯電話などを盗られたそうです。
パタヤの海岸通は私も歩いたことがありますが、数メートルおきに、派手な衣装を身にまとったセックスワーカーとみられる(美しい)女性が立っており、観光客に英語や日本語で声をかけてきます。
パタヤには、マッサージパーラー(ソープランド)、置屋、ゴーゴーバー、カラオケなど、ありとあらゆる種類の売春施設がありますが、海岸通りで客をとる、いわゆるストリートガールも少なくありません。
そして、日本を含めて世界各国から売春目的でパタヤを訪れる男性はかなりの数に昇ります。
この事件を聞いてヒヤっとした日本人男性は少なくないのではないでしょうか。
(谷口 恭)
2006年6月3日(土) 「誰もが治療を」 国連エイズ総会閉幕
国連のエイズ総会がニューヨークで閉幕しました。
産経新聞によりますと、「2010年までに、だれもが必要な予防・治療・ケアとサポートを受けられるように目指す」(ユニバーサル・アクセス)との目標を盛り込んだ新たな政治宣言を採択して閉幕しました。今後、この精神に基づいてエイズ対策が進められていきますが、資金や専門家らの人員確保など課題は山積みです。
HIV感染者に対する治療や支援体制は先進国と途上国、国内でも都市と地方で大きな差があり、この差を解消し、必要な人が必要な各種支援を住んでいる地域にかかわらず受けられるようにすることがユニバーサル・アクセスの目標です。
ユニバーサル・アクセスの実現については、10年までに「最大限努力する」との表現で合意に達しましたが、とりわけ資金面で難問が残っています。
今回の宣言では、HIV感染者の増大で昨年の2倍以上にあたる年間200億ドル以上のエイズ対策が必要になるとしましたが、具体的な拠出方法や目標時期は示されておらず、「十分な資金がドナー国や国の予算から得られる措置をとる」との表現にとどまっており、ドナー国の具体的な拠出額などや期限には踏み込みませんでした。日米欧などのドナー国が負担の増加を懸念したためとみられます。
また、予防計画などの対象になる「社会的弱者」の定義についても意見の対立がみられました。先進国の一部やNGOは同性愛者、薬物中毒者なども対象に含むよう求めたのですが、イスラム諸国や保守的なカトリック諸国の反対で、直接の言及は避けられました。
NGO関係者らは「強い決意の感じられない漠然とした内容」「具体的な資金源への言及や目標達成に向けた締め切りもない」と失望感をあらわにし、宣言に盛られた対策の実効性に疑問符をつけました。
「01年の特別総会後、旧ソ連や東欧を中心に薬物中毒者のHIV感染が爆発的に増えた。宣言はこうした現実を反映していない」との指摘もありました。
エリアソン総会議長は閉幕の演説で「宣言を採択するのはやさしいが、これらを各国がすみやかに、目的意識をもって実行に移せるかどうかが問われている」と努力を促しました。
(浅居 雅彦)
産経新聞によりますと、「2010年までに、だれもが必要な予防・治療・ケアとサポートを受けられるように目指す」(ユニバーサル・アクセス)との目標を盛り込んだ新たな政治宣言を採択して閉幕しました。今後、この精神に基づいてエイズ対策が進められていきますが、資金や専門家らの人員確保など課題は山積みです。
HIV感染者に対する治療や支援体制は先進国と途上国、国内でも都市と地方で大きな差があり、この差を解消し、必要な人が必要な各種支援を住んでいる地域にかかわらず受けられるようにすることがユニバーサル・アクセスの目標です。
ユニバーサル・アクセスの実現については、10年までに「最大限努力する」との表現で合意に達しましたが、とりわけ資金面で難問が残っています。
今回の宣言では、HIV感染者の増大で昨年の2倍以上にあたる年間200億ドル以上のエイズ対策が必要になるとしましたが、具体的な拠出方法や目標時期は示されておらず、「十分な資金がドナー国や国の予算から得られる措置をとる」との表現にとどまっており、ドナー国の具体的な拠出額などや期限には踏み込みませんでした。日米欧などのドナー国が負担の増加を懸念したためとみられます。
また、予防計画などの対象になる「社会的弱者」の定義についても意見の対立がみられました。先進国の一部やNGOは同性愛者、薬物中毒者なども対象に含むよう求めたのですが、イスラム諸国や保守的なカトリック諸国の反対で、直接の言及は避けられました。
NGO関係者らは「強い決意の感じられない漠然とした内容」「具体的な資金源への言及や目標達成に向けた締め切りもない」と失望感をあらわにし、宣言に盛られた対策の実効性に疑問符をつけました。
「01年の特別総会後、旧ソ連や東欧を中心に薬物中毒者のHIV感染が爆発的に増えた。宣言はこうした現実を反映していない」との指摘もありました。
エリアソン総会議長は閉幕の演説で「宣言を採択するのはやさしいが、これらを各国がすみやかに、目的意識をもって実行に移せるかどうかが問われている」と努力を促しました。
(浅居 雅彦)