HIV/AIDS関連情報
2006年9月22日(金) アンジェリーナ・ジョリー、2百万ドルを寄附
9月20日のAP通信によりますと、ハリウッド女優のアンジェリーナ・ジョリーとその夫で同じくハリウッドスターのブラッド・ピットが、それぞれ百万ドルの合計2百万ドル(約2億3千2百万円)を非政府組織に寄附したことが話題を呼んでいます。
寄附金を受け取るのは、Global Action for Childrenと、国境なき医師団(Medecins sans Frontieres / Doctors Without Borders)です。
アンジェリーナ・ジョリーはUNHCR(国連難民問題高等弁務官)の親善大使を務めていることでも有名です。そういった関係もあってなのか、2002年3月にはカンボジア人の男児を、2005年7月にはエチオピア人の女児をそれぞれ養子として引き取っています。また今年の5月にブラッド・ピットとの間の実娘を出産したのはナミビアで、これも大きな話題になりました。
Global Action for Childrenアメリカ本部長のJennifer Delaney氏は言います。
「アンジェリーナ・ジョリーとブラッド・ピットの素晴らしいところは、単に寄附をするだけでなく、2010年までにエイズ孤児が2千万人にもなり、結核、マラリア、紛争などが原因の孤児も世界中に大勢いるという事実を訴える具体的な活動をしているということです」
アンジェリーナ・ジョリーがカンボジア人の男児を引き取ったことがきっかけとなり、途上国の養子がより一般的になったと言われています。(日本ではほとんど聞きませんが・・・) ちなみに、私はアンジェリーナ・ジョリーがUNHCRの親善大使になったことがきっかけとなり、同機関への寄附を始めるようになりました。(ハリウッド女優のパワーが大きいからなのか、私がミーハーだからなのか分かりませんが・・・)
(谷口 恭)
寄附金を受け取るのは、Global Action for Childrenと、国境なき医師団(Medecins sans Frontieres / Doctors Without Borders)です。
アンジェリーナ・ジョリーはUNHCR(国連難民問題高等弁務官)の親善大使を務めていることでも有名です。そういった関係もあってなのか、2002年3月にはカンボジア人の男児を、2005年7月にはエチオピア人の女児をそれぞれ養子として引き取っています。また今年の5月にブラッド・ピットとの間の実娘を出産したのはナミビアで、これも大きな話題になりました。
Global Action for Childrenアメリカ本部長のJennifer Delaney氏は言います。
「アンジェリーナ・ジョリーとブラッド・ピットの素晴らしいところは、単に寄附をするだけでなく、2010年までにエイズ孤児が2千万人にもなり、結核、マラリア、紛争などが原因の孤児も世界中に大勢いるという事実を訴える具体的な活動をしているということです」
アンジェリーナ・ジョリーがカンボジア人の男児を引き取ったことがきっかけとなり、途上国の養子がより一般的になったと言われています。(日本ではほとんど聞きませんが・・・) ちなみに、私はアンジェリーナ・ジョリーがUNHCRの親善大使になったことがきっかけとなり、同機関への寄附を始めるようになりました。(ハリウッド女優のパワーが大きいからなのか、私がミーハーだからなのか分かりませんが・・・)
(谷口 恭)
2006年9月22日(金) HPV感染が妊娠を妨げる可能性
いわゆる"イボ"の原因ウイルスと子宮頚癌をきたすウイルスは同じ仲間でHPV(ヒトパピローマウイルス)と呼ばれています。性感染症のひとつである尖圭コンジローマもHPVが原因です。(HPVワクチンの記事については2006年8月30日「オーストラリア、子宮頚癌のワクチン無料接種」参照)
「HPVが妊娠を妨げる可能性がある」
そんな発表をアメリカの研究者が9月19日におこないました。
同日のロイター通信にこのニュースが報道されていますのでお伝えします。
研究者によりますと、体外受精で妊娠を試みた女性のうち、HPVに感染していない場合の妊娠成功率が57%だったのに対し、HPV陽性者の成功率はわずか23%しかなかったそうです。このデータは「Fertility and Sterility」という医学誌に発表される予定です。
研究者のひとりでもある、アメリカ生殖医療学会(American Society for Reproductive Medicine)会長のJoseph Sanfilippo医師は、「HPVは妊娠を希望する世代の女性の多くが有している。今後、人工授精を希望する女性全員に対してHPVの検査をおこない、妊娠の可能性について医師が話をすることになるだろう」、とコメントしています。すでに現在も施設によっては人工授精の希望者全員に、HIV、クラミジア、淋病に加え、HPVの検査をおこなっているそうです。
米国CDC(疾病対策局)によれば、アメリカだけでおよそ2千万人がHPVに感染しています。性行為をおこなうすべての人の少なくとも50%は生涯どこかで感染しているとみられています。これは毎年新たに620万人が感染しているということになります。
HPVは子宮頚癌の原因ウイルスです。世界中で毎年およそ30万人がこの癌で命を失っています。アメリカだけでみても毎年4千人が亡くなっています。
現在の日本では人工授精希望の女性がおこなう検査は、HIV、クラミジア、淋病といったものだけであり、HPVまで全員におこなっている施設は(私の知る限り)ありません。今後日本も同じような動きになるかもしれません。
(谷口 恭)
「HPVが妊娠を妨げる可能性がある」
そんな発表をアメリカの研究者が9月19日におこないました。
同日のロイター通信にこのニュースが報道されていますのでお伝えします。
研究者によりますと、体外受精で妊娠を試みた女性のうち、HPVに感染していない場合の妊娠成功率が57%だったのに対し、HPV陽性者の成功率はわずか23%しかなかったそうです。このデータは「Fertility and Sterility」という医学誌に発表される予定です。
研究者のひとりでもある、アメリカ生殖医療学会(American Society for Reproductive Medicine)会長のJoseph Sanfilippo医師は、「HPVは妊娠を希望する世代の女性の多くが有している。今後、人工授精を希望する女性全員に対してHPVの検査をおこない、妊娠の可能性について医師が話をすることになるだろう」、とコメントしています。すでに現在も施設によっては人工授精の希望者全員に、HIV、クラミジア、淋病に加え、HPVの検査をおこなっているそうです。
米国CDC(疾病対策局)によれば、アメリカだけでおよそ2千万人がHPVに感染しています。性行為をおこなうすべての人の少なくとも50%は生涯どこかで感染しているとみられています。これは毎年新たに620万人が感染しているということになります。
HPVは子宮頚癌の原因ウイルスです。世界中で毎年およそ30万人がこの癌で命を失っています。アメリカだけでみても毎年4千人が亡くなっています。
現在の日本では人工授精希望の女性がおこなう検査は、HIV、クラミジア、淋病といったものだけであり、HPVまで全員におこなっている施設は(私の知る限り)ありません。今後日本も同じような動きになるかもしれません。
(谷口 恭)
2006年9月22日(金) カザフスタンの新しいプロジェクトに期待
2006年9月9日の「カザフスタンの子供たちが輸血でHIVに感染」で、大勢の子供たちが院内でHIVに感染した事件をお伝えしましたが、この原因が、病院側が輸血に伴う適切な処置を怠ったことであることが判明いたしました。HIVが混在している可能性のある血液を検査しないまま輸血に用いたということです。9月18日の時点では、少なくとも55人の子供とひとりの成人がこの汚染された血液によりHIVに感染したことが分かっています。
9月20日のIRINの情報によりますと、現在カザフスタン警察は、HIVに汚染された血液を献血した可能性のある17人の行方を追っています。検察はこれら容疑者を起訴できるかどうかを検討しているようです。
尚、この病院の不手際でHIVに感染した可能性のある3歳以下の子供はおよそ1万人にものぼり、現在のところその半数にHIV検査がおこなわれています。
この事件の責任をとるため、厚生大臣のErbolat Dosavev氏と地域の保健所職員が解雇されるもようです。
また、この事件がきっかけとなり、カザフスタン政府は5千万ドル(約58億円)の予算をとって、新たにHIV/AIDS問題に取り組むプログラムを開始することになりました。このプラグラムは4年でおこなわれる予定で、約2千2百億ドル(約26億円)を政府が拠出し、残りについては、「エイズ・結核・マラリア世界基金(Global Fund to Fight AIDS, Tuberculosis, Malaria))や「中央アジアプロジェクト(Central Asian projects)」といった団体に協力を要請するようです。
このプログラムの目標は、15歳から49歳の全国民のHIV罹患率を0.5%以下にするというものです。またカザフスタンでは、現在HIV陽性者1000人のうちエイズ関連の死亡が約50人ですが、これを2010年までに半分の25人にすることも目標としています。
UNAIDSによれば、現在カザフスタンでHIV陽性と登録されているのは約5,500人です。しかし2005年におこなわれた調査では、実際のHIV陽性者は10,500人から12,000人にのぼるものとみられています。
(谷口 恭)
9月20日のIRINの情報によりますと、現在カザフスタン警察は、HIVに汚染された血液を献血した可能性のある17人の行方を追っています。検察はこれら容疑者を起訴できるかどうかを検討しているようです。
尚、この病院の不手際でHIVに感染した可能性のある3歳以下の子供はおよそ1万人にものぼり、現在のところその半数にHIV検査がおこなわれています。
この事件の責任をとるため、厚生大臣のErbolat Dosavev氏と地域の保健所職員が解雇されるもようです。
また、この事件がきっかけとなり、カザフスタン政府は5千万ドル(約58億円)の予算をとって、新たにHIV/AIDS問題に取り組むプログラムを開始することになりました。このプラグラムは4年でおこなわれる予定で、約2千2百億ドル(約26億円)を政府が拠出し、残りについては、「エイズ・結核・マラリア世界基金(Global Fund to Fight AIDS, Tuberculosis, Malaria))や「中央アジアプロジェクト(Central Asian projects)」といった団体に協力を要請するようです。
このプログラムの目標は、15歳から49歳の全国民のHIV罹患率を0.5%以下にするというものです。またカザフスタンでは、現在HIV陽性者1000人のうちエイズ関連の死亡が約50人ですが、これを2010年までに半分の25人にすることも目標としています。
UNAIDSによれば、現在カザフスタンでHIV陽性と登録されているのは約5,500人です。しかし2005年におこなわれた調査では、実際のHIV陽性者は10,500人から12,000人にのぼるものとみられています。
(谷口 恭)
2006年9月22日(金) 全米でHIV検査が義務付けられる可能性
一度も"デート"したことのない10代、30年間夫にだけ貞操を守ってきた女性、性交渉を持たない聖職者、などに該当しない13歳から64歳のアメリカに居住する人は、HIV検査を定期的に受けなければならない・・・。
9月21日に米国CDC(疾病対策局)が発表したこの通達が、世界中のメディアで報道されています。
CDCによると、HIVに感染していることに気付いていない人は全米でおよそ25万人もいるそうです。
現在米国では、薬物常用者や売春婦といった「ハイリスク・グループ」に属する人のみにHIV検査をすすめています。自身の感染に気付いていない人があまりにも大勢いる現状を考慮して今回の通達が決定されたというわけです。
現在米国にはおよそ100万人のHIV陽性者がいて、毎年4万人の新規感染が報告されています。
9月21日のロイター通信に、モンテフィオーリ医療センター(Montefiore Medical Center)の青少年エイズプログラム(Adolescent AIDS Program)の幹部であるDonna Futterman医師のコメントが載せられています。
「男性と性交渉を持つ若い男性のおよそ80%が、いつHIVに感染したのかわかっていない、というデータがある」
同日のAP通信では、この通達に対する問題点が指摘されています。問題点は主に3つあります。ひとつはお金がかかるということ、ふたつめは検査の前に必要なカウンセリングをどのようにおこなうかという問題です。時間がかかりますし、人材の問題もあるでしょう。
そして3つめが、すべての医師がこの通達に従うわけではない、ということです。実際、ハイリスク・グループ以外にまでHIV検査をすることの効果を疑問視する医師もいるそうです。
この通達は米国医師会の承認を得ていますが、どれくらいの医師がこの通達に従うかは予想できない、とCDCはコメントしています。
日本にはこのような動きはありませんが、今後の動向に注目したいところです。
最後に、ロイター通信に掲載された、CDC幹部のBernard Branson医師のコメントを紹介しておきましょう。
「どの患者さんがHIVに感染している可能性があるかを医師が察するのは必ずしも容易ではない。ときに患者さんは、自分の薬物使用やアナルセックスなどを医師に話すのに躊躇する。そして若者が若者から感染しているケースが増えている」
私は日本の医師としてまったく同じことを感じています。
(谷口 恭)
9月21日に米国CDC(疾病対策局)が発表したこの通達が、世界中のメディアで報道されています。
CDCによると、HIVに感染していることに気付いていない人は全米でおよそ25万人もいるそうです。
現在米国では、薬物常用者や売春婦といった「ハイリスク・グループ」に属する人のみにHIV検査をすすめています。自身の感染に気付いていない人があまりにも大勢いる現状を考慮して今回の通達が決定されたというわけです。
現在米国にはおよそ100万人のHIV陽性者がいて、毎年4万人の新規感染が報告されています。
9月21日のロイター通信に、モンテフィオーリ医療センター(Montefiore Medical Center)の青少年エイズプログラム(Adolescent AIDS Program)の幹部であるDonna Futterman医師のコメントが載せられています。
「男性と性交渉を持つ若い男性のおよそ80%が、いつHIVに感染したのかわかっていない、というデータがある」
同日のAP通信では、この通達に対する問題点が指摘されています。問題点は主に3つあります。ひとつはお金がかかるということ、ふたつめは検査の前に必要なカウンセリングをどのようにおこなうかという問題です。時間がかかりますし、人材の問題もあるでしょう。
そして3つめが、すべての医師がこの通達に従うわけではない、ということです。実際、ハイリスク・グループ以外にまでHIV検査をすることの効果を疑問視する医師もいるそうです。
この通達は米国医師会の承認を得ていますが、どれくらいの医師がこの通達に従うかは予想できない、とCDCはコメントしています。
日本にはこのような動きはありませんが、今後の動向に注目したいところです。
最後に、ロイター通信に掲載された、CDC幹部のBernard Branson医師のコメントを紹介しておきましょう。
「どの患者さんがHIVに感染している可能性があるかを医師が察するのは必ずしも容易ではない。ときに患者さんは、自分の薬物使用やアナルセックスなどを医師に話すのに躊躇する。そして若者が若者から感染しているケースが増えている」
私は日本の医師としてまったく同じことを感じています。
(谷口 恭)
2006年9月22日(金) リビアの院内感染、真実の行方は・・・(続編)
2006年8月10日の「リビアのHIV院内感染、真実の行方は・・・」でお伝えしましたように、現在リビアでは、故意にHIVを大勢の子供たちに感染させたとして、ひとりのパレスチナ人の医師と5人のブルガリアの看護婦が投獄されています。いったん死刑判決が出たものの、最高裁で判決がくつがえったことから審理が再度おこなわれています。
裁判は何度も延期されていますが、今回被告側の弁護士が体調不良で裁判に出席できないとの理由で、次回の裁判は10月31日まで再延期となりました。
法廷で真実が明らかとなることを期待したいと思います。GINAは今後もこの事件を追っていきたいと考えています。
(谷口 恭)
裁判は何度も延期されていますが、今回被告側の弁護士が体調不良で裁判に出席できないとの理由で、次回の裁判は10月31日まで再延期となりました。
法廷で真実が明らかとなることを期待したいと思います。GINAは今後もこの事件を追っていきたいと考えています。
(谷口 恭)