HIV/AIDS関連情報

2006年9月22日(金) カザフスタンの新しいプロジェクトに期待

 2006年9月9日の「カザフスタンの子供たちが輸血でHIVに感染」で、大勢の子供たちが院内でHIVに感染した事件をお伝えしましたが、この原因が、病院側が輸血に伴う適切な処置を怠ったことであることが判明いたしました。HIVが混在している可能性のある血液を検査しないまま輸血に用いたということです。9月18日の時点では、少なくとも55人の子供とひとりの成人がこの汚染された血液によりHIVに感染したことが分かっています。

 9月20日のIRINの情報によりますと、現在カザフスタン警察は、HIVに汚染された血液を献血した可能性のある17人の行方を追っています。検察はこれら容疑者を起訴できるかどうかを検討しているようです。

 尚、この病院の不手際でHIVに感染した可能性のある3歳以下の子供はおよそ1万人にものぼり、現在のところその半数にHIV検査がおこなわれています。

 この事件の責任をとるため、厚生大臣のErbolat Dosavev氏と地域の保健所職員が解雇されるもようです。

 また、この事件がきっかけとなり、カザフスタン政府は5千万ドル(約58億円)の予算をとって、新たにHIV/AIDS問題に取り組むプログラムを開始することになりました。このプラグラムは4年でおこなわれる予定で、約2千2百億ドル(約26億円)を政府が拠出し、残りについては、「エイズ・結核・マラリア世界基金(Global Fund to Fight AIDS, Tuberculosis, Malaria))や「中央アジアプロジェクト(Central Asian projects)」といった団体に協力を要請するようです。

 このプログラムの目標は、15歳から49歳の全国民のHIV罹患率を0.5%以下にするというものです。またカザフスタンでは、現在HIV陽性者1000人のうちエイズ関連の死亡が約50人ですが、これを2010年までに半分の25人にすることも目標としています。

 UNAIDSによれば、現在カザフスタンでHIV陽性と登録されているのは約5,500人です。しかし2005年におこなわれた調査では、実際のHIV陽性者は10,500人から12,000人にのぼるものとみられています。

(谷口 恭)