HIV/AIDS関連情報
2008年5月26日(月) クリニックで注射針の使いまわし
島根県内のクリニックで、糖尿病患者に対する注射針の使いまわしが37人におこなわれていたがことが発覚し、5月21日に島根県が発表しました。(報道は5月22日、23日の共同通信)
注射針を使いまわしされた37人のうち、B型肝炎ウイルスとC型肝炎ウイルスを保有している人がそれぞれ1人ずつ見つかっています。
このクリニックで使い回しをしていた器具には「複数患者使用不可」のシールが張られていましたが、院長も2人の看護師も「自動的に針が切り替わると思い込み、複数に使っても大丈夫と思っていた」と話しています。
さらにこのクリニックでは、患者ごとに取替えなければならない別の注射器具でも使いまわしをしていたことが新たに発覚しています。(何人の患者に使われたかは不明)
島根県は当初クリニックの名称を公開していませんでしたが、院長が記者会見をおこない、使いまわしの経緯を説明しました。
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医療機関を受診する患者さんのなかには、院内での針の使いまわしを危惧されるような方もいますが、我々医療従事者からすると、針の使いまわしなど「あってはならないこと」というよりも、「考えられないこと」です。
しかし、実際にこのような事件が報道されるのですから、患者さんが使いまわしを心配するのも無理もないことなのでしょう。
(谷口恭)
参考:GINAと共に 第21回 「院内感染のリスク」(2008年3月)
注射針を使いまわしされた37人のうち、B型肝炎ウイルスとC型肝炎ウイルスを保有している人がそれぞれ1人ずつ見つかっています。
このクリニックで使い回しをしていた器具には「複数患者使用不可」のシールが張られていましたが、院長も2人の看護師も「自動的に針が切り替わると思い込み、複数に使っても大丈夫と思っていた」と話しています。
さらにこのクリニックでは、患者ごとに取替えなければならない別の注射器具でも使いまわしをしていたことが新たに発覚しています。(何人の患者に使われたかは不明)
島根県は当初クリニックの名称を公開していませんでしたが、院長が記者会見をおこない、使いまわしの経緯を説明しました。
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医療機関を受診する患者さんのなかには、院内での針の使いまわしを危惧されるような方もいますが、我々医療従事者からすると、針の使いまわしなど「あってはならないこと」というよりも、「考えられないこと」です。
しかし、実際にこのような事件が報道されるのですから、患者さんが使いまわしを心配するのも無理もないことなのでしょう。
(谷口恭)
参考:GINAと共に 第21回 「院内感染のリスク」(2008年3月)
2008年5月25日(日) 福田首相、3大感染症に582億円を拠出
5月23日に東京で開かれた国際シンポジウムで、福田康夫首相は、「世界エイズ・結核・マラリア対策基金」に今後数年間で5億6千万ドル(約582億円)を拠出することを表明しました。(報道は5月23日の毎日新聞)
福田首相は、挨拶で、「3大感染症は世界全体で毎年500万人の命を奪っている。地球規模での取り組みが不可欠だ」と述べました。これは、5月28日に横浜市で開催される「第4回アフリカ開発会議(TICAD4)」を前に、主催国として感染症の問題に率先して取り組むことを強調する狙いがあると見られています。
「世界エイズ・結核・マラリア対策基金」は、2000年の九州・沖縄サミットで感染症が議題になったのを契機に設立されたという背景があります。日本の拠出金の合計は、今回の分を含めて14億1千万ドルとなり、米・仏に次いで世界3位となります。
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世界第3位の拠出金を出していても、年々HIV感染が増えている国・・・。それが現在の日本です。
(谷口恭)
福田首相は、挨拶で、「3大感染症は世界全体で毎年500万人の命を奪っている。地球規模での取り組みが不可欠だ」と述べました。これは、5月28日に横浜市で開催される「第4回アフリカ開発会議(TICAD4)」を前に、主催国として感染症の問題に率先して取り組むことを強調する狙いがあると見られています。
「世界エイズ・結核・マラリア対策基金」は、2000年の九州・沖縄サミットで感染症が議題になったのを契機に設立されたという背景があります。日本の拠出金の合計は、今回の分を含めて14億1千万ドルとなり、米・仏に次いで世界3位となります。
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世界第3位の拠出金を出していても、年々HIV感染が増えている国・・・。それが現在の日本です。
(谷口恭)
2008年5月25日(日) 日本、HIV感染が過去最多を更新
厚生労働省のエイズ動向委員会は5月20日、2007年の新規HIV感染者が1,082人、新規エイズ患者(HIV感染がわかった時点でエイズを発症していた人)が418人で、ともに年間過去最多を更新したことを発表しました。
感染者と患者の合計は1,500人になり、前年比142人の増加となります。2月発表の速報値では1,448人でしたから、これより52人が増えたことになります。
1日当たりの発生数は4.1人で、初めて4人台になっています。
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まったく珍しくなくなったHIV・・・。気になる方は早めに受診しましょう。
(谷口恭)
感染者と患者の合計は1,500人になり、前年比142人の増加となります。2月発表の速報値では1,448人でしたから、これより52人が増えたことになります。
1日当たりの発生数は4.1人で、初めて4人台になっています。
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まったく珍しくなくなったHIV・・・。気になる方は早めに受診しましょう。
(谷口恭)
2008年5月6日(火) バンコク、少年2人がレイプされ抗HIV薬を投与
4月25日のBangkok Postによりますと、今月初め、少年2人が17歳の同性愛者の青年にレイプされるという事件が起こりました。
襲われたのは7歳と8歳の少年です。犯人の青年はバンコク都内プラナコン区のインターネットカフェのトイレで8歳の少年をレイプしました。さらに数日後、今度は同区内の寺院のトイレで7歳の少年をレイプしました。これを目撃した人々が犯人を取り押させ警察に通報しました。
被害者の少年2人を診察した医師によれば、2人の少年には肛門性交の痕跡があり、犯人がHIV陽性の可能性のあることから、抗HIV薬の投与がおこなわれました。
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抗HIV薬は、HIV陽性者だけでなく、レイプや医療従事者の針刺し事故などで「HIVに感染したかもしれない」症例に投与されます。
報道されないケースも含めると、レイプは決して少なくありません。これは日本でも同様です。現在の日本では、レイプが発生すると、妊娠の有無や性感染症のチェックはおこないますが、抗HIV薬の予防的投与はおこなわれないのが通常です。
今後はこの事件のように、日本でも抗HIV薬の処方がおこなわれるようになるかもしれません。
(谷口恭)
襲われたのは7歳と8歳の少年です。犯人の青年はバンコク都内プラナコン区のインターネットカフェのトイレで8歳の少年をレイプしました。さらに数日後、今度は同区内の寺院のトイレで7歳の少年をレイプしました。これを目撃した人々が犯人を取り押させ警察に通報しました。
被害者の少年2人を診察した医師によれば、2人の少年には肛門性交の痕跡があり、犯人がHIV陽性の可能性のあることから、抗HIV薬の投与がおこなわれました。
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抗HIV薬は、HIV陽性者だけでなく、レイプや医療従事者の針刺し事故などで「HIVに感染したかもしれない」症例に投与されます。
報道されないケースも含めると、レイプは決して少なくありません。これは日本でも同様です。現在の日本では、レイプが発生すると、妊娠の有無や性感染症のチェックはおこないますが、抗HIV薬の予防的投与はおこなわれないのが通常です。
今後はこの事件のように、日本でも抗HIV薬の処方がおこなわれるようになるかもしれません。
(谷口恭)
2008年4月3日(日) タイ赤十字、ゲイの献血を拒否
日本赤十字と同様、タイでもタイ赤十字が献血を集めています。そのタイ赤十字が「今後ゲイ(男性同性愛者)からの献血は受け付けない」、という新しい規約を発表しこれが物議をかもしています。
タイ赤十字によると、献血として採取した血液のなかにHIVが混入しているケースの多くがゲイによる献血であり、このため献血時の問診で、献血者が男性であれば、同性愛者でないかを確認しています。(女性の場合は、性交渉の相手が外国人でないかを確認するようです)
タイ赤十字の関係者は、「タイ赤十字はWHO(世界保健機構)のガイドラインに基づいて今回の規約を決めた」、と発表しています。
今回の発表に対し、タイの人権団体(National Human Rights Commission)は反対の意思を表明しています。憲法裁判所に持ち込むことも検討しているようです。
この人権団体の委員長は、「タイ赤十字がしていることは性差別に等しい」、とコメントしています。
しかしながら、タイの政治的な力も持つゲイの団体のある幹部は、ゲイの間でHIV感染が多いことを認め、タイ赤十字が決定したルールに従うことを表明しました。
この幹部は、最近おこなわれた調査でバンコクの同性愛者の28%がHIV陽性であることを引き合いに出しています。
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なかなかむつかしい問題だと思われます。
ゲイのすべてがハイリスクであるわけではもちろんありませんが、全体としてみたときにはゲイの間でのHIV陽性率が高いのも事実です。
この傾向は日本でも同じです。現時点では、日本赤十字は献血の際、協力者に「異性愛者か同性愛者か」などの質問はしていませんが、日本の献血された血液のなかにもHIV陽性のものが発見されていますから、いずれ同じ議論がおこなわれるようになるかもしれません。
(谷口恭)
タイ赤十字によると、献血として採取した血液のなかにHIVが混入しているケースの多くがゲイによる献血であり、このため献血時の問診で、献血者が男性であれば、同性愛者でないかを確認しています。(女性の場合は、性交渉の相手が外国人でないかを確認するようです)
タイ赤十字の関係者は、「タイ赤十字はWHO(世界保健機構)のガイドラインに基づいて今回の規約を決めた」、と発表しています。
今回の発表に対し、タイの人権団体(National Human Rights Commission)は反対の意思を表明しています。憲法裁判所に持ち込むことも検討しているようです。
この人権団体の委員長は、「タイ赤十字がしていることは性差別に等しい」、とコメントしています。
しかしながら、タイの政治的な力も持つゲイの団体のある幹部は、ゲイの間でHIV感染が多いことを認め、タイ赤十字が決定したルールに従うことを表明しました。
この幹部は、最近おこなわれた調査でバンコクの同性愛者の28%がHIV陽性であることを引き合いに出しています。
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なかなかむつかしい問題だと思われます。
ゲイのすべてがハイリスクであるわけではもちろんありませんが、全体としてみたときにはゲイの間でのHIV陽性率が高いのも事実です。
この傾向は日本でも同じです。現時点では、日本赤十字は献血の際、協力者に「異性愛者か同性愛者か」などの質問はしていませんが、日本の献血された血液のなかにもHIV陽性のものが発見されていますから、いずれ同じ議論がおこなわれるようになるかもしれません。
(谷口恭)