HIV/AIDS関連情報

2008年2月29日(金) HIVで汚染された注射器を使った強盗

 21歳の女性が、HIVで汚染された注射器で脅されて金銭を奪われたという事件が、2月3日、イギリスのエディンバラで起こりました。(報道は2月5日のBBC NEWS)

 報道によりますと、20代前半と思われるブロンドの長い髪の女が、被害者の女性に近づき、針がついた注射器をつきつけ、HIVに感染させると言って脅しました。被害者の女性が現金を渡すと女は逃げていったそうです。

 警察は現在容疑者の行方を追っています。

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 世界ではときどきこのようなニュースが報道されています。注射器さえあればこのような強盗は誰にでもできる可能性があり今後も増えていくかもしれません。

 警察にはなんとしてでも犯人を逮捕してもらいたいと願います。

(谷口恭)

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2008年2月29日(金) タイの薬物対策が加速する見込み

 2月24日のBangkok Postによりますと、サマック首相は、薬物対策を徹底して実施することを繰り返し主張し、タイ政府は密売人を厳しく検挙する方針をとることを発表しました。

 密売人を検挙する方法のひとつとして、「裁判外の死刑(extrajudicial killing)」も辞さないとしています。これは、つまるところ、密売人を見つければ逮捕状をとらなくてもその場で死刑にすることができるという意味です。

 Bangkok Postはサマック首相の次のコメントを報道しています。

「政府の薬物対策を徹底するためには、裁判外の死刑が不可欠であり、この死刑に対しては警察が責任をとり合法であることを世論に理解してもらいたい」

 サマック首相はさらに続けます。

「裁判外の死刑で、事実関係を争うために警官が裁判所に出廷しなければならなかったのはわずか59件しかない」

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 我々日本人の感覚からすると少し理解に苦しみます。

 実際、タイは前政権(タクシン政権)の薬物対策で多くの冤罪を生み出していると言われており、冤罪者の人数は2,500人から5,000人になるとの指摘もあります。

 なかには宝くじで高額を手にした若い夫婦が、薬物売買で不当な金を手に入れたと警察に誤解されその場で射殺されたという事件も報道されています。

 現在、タイではありとあらゆる違法薬物が大量に流通しており、徹底した対策を取らなければならないのは事実ですが、「裁判外の死刑(extrajudicial killing)」と言われると、違和感を覚えます。

(谷口恭)

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2008年2月19日(日) タイ、10万錠の覚醒剤が押収

 2月16日のBangkok Postによりますと、この日、タイ鉄道警察は、チェンマイ発バンコク行きの電車の中で10万錠のメタンフェタミン(覚醒剤、"スピード")を押収しました。尚、逮捕者は出ていません。

 垂れ込みを受けて、鉄道警察はナコンサワン県で乗客シートの上に置かれていたカバンを押収し、その中に覚醒剤が見つかりました。カバンの持ち主は特定できていませんが、残された指紋から容疑者を割り出すことが可能であると、鉄道警察はコメントしています。

 警察によりますと、この覚醒剤はミャンマーの少数民族が製造した可能性が高く、末端価格はおよそ3千万バーツ(約9千万円)だそうです。

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 GINAではしばらく、この手のニュースを報告していませんでしたが、クーデター以降違法薬物の流通が大幅に増えています。最近は、大学生や若い会社員の間にも浸透しており、かつての"ドラッグ天国"に舞い戻ってしまったように思われます。

(谷口恭)

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2008年2月17日(日) 日本のHIV陽性者、またもや最多記録を更新

 厚生労働省のエイズ動向委員会が、2月12日、2007年に新たに報告されたHIV感染者及びエイズ発症者の数を発表しました。

 発表によりますと、2007年に新規にHIV感染がわかった人が1,048人、すでにエイズを発症していた人が400人で、合計1,448人となります。これは過去最多であり、感染者・発症者の合計報告数は2003年以降、5年連続で最多を更新し続けています。

 1,448人の内訳は、男性が1,336人、女性が112人。感染経路は同性間の性的接触が849人、異性間の性的接触が367人、薬物の乱用によるものは6人です。年代は、30代が568人と最多で、20代348人、40代292人と続いています。

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 報告から分かることは、日本のHIVの傾向として、男性同性愛者に多いことと、薬物の乱用が極端に少ないということです。

 しかし、ハイリスクの人すべてが検査を受けているわけではありません。特に薬物乱用がわずか6人というのは少なすぎるように思われます。

 いろんなところで指摘しましたが、日本は世界有数の"ドラッグ天国"です。また、私の印象で言えば、同性愛者に比べて異性愛者は性感染症に対する意識が低いように思えます。

「男性同性愛者に多い」「薬物乱用者が少ない」ということを裏からみれば、「(リスクのある性行為をしている)異性愛者」と「薬物乱用者」の意識が低いという言い方ができるのではないでしょうか・・・。

(谷口恭)

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2008年2月7日(木) 2人の少女にHIVを感染させた男が有罪に

 自らがHIV陽性であることを知りながら、2人の未成年の少女と性交渉をもち、HIVを感染させた男性が懲役14年の判決を受けました。(報道は2月2日のBBCニュース)

 判決を受けた加害者は32歳のイギリス人男性で、幼少時にスウェーデンに移住しており、逮捕され有罪を受けたのはスウェーデン内です。

 この男性はインターネットを通じて知り合った複数の女性と性交渉をもち、すでに16人の女性に合計213,000ポンド(約4千5百万円)の補償金を支払うことが命じられています。

 16人のうち2人は未成年で、不幸なことにこの2人ともHIVに感染していることが判明しています。(尚、スウェーデンでの「未成年」とは15歳未満です)

 スウェーデン当局は、他にもHIVに感染したかもしれない女性が少なくとも130人いるとみており、インターネットのチャットルームを通じて被害者を探しています。

 この男性が逮捕されるきっかけとなったのは、この男性のアパートの管理人が偶然、男性の部屋で抗HIV薬と若い女性と性交渉をもっている写真を見つけたことによります。

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 海外、特にヨーロッパやオーストラリアではこの類の報道がときどきおこなわれていますが、いずれ日本でも問題になるかもしれません。

 今のところ、日本にはHIV陽性であることを隠して性交渉をもった場合に罪が適用される法律はないようです。感染させた場合は傷害罪の適用が議論されることになるようですが、早い段階での法整備が必要になるかもしれません。

(谷口恭)

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