HIV/AIDS関連情報

2008年4月3日(日) タイ赤十字、ゲイの献血を拒否

 日本赤十字と同様、タイでもタイ赤十字が献血を集めています。そのタイ赤十字が「今後ゲイ(男性同性愛者)からの献血は受け付けない」、という新しい規約を発表しこれが物議をかもしています。

 タイ赤十字によると、献血として採取した血液のなかにHIVが混入しているケースの多くがゲイによる献血であり、このため献血時の問診で、献血者が男性であれば、同性愛者でないかを確認しています。(女性の場合は、性交渉の相手が外国人でないかを確認するようです)

 タイ赤十字の関係者は、「タイ赤十字はWHO(世界保健機構)のガイドラインに基づいて今回の規約を決めた」、と発表しています。

 今回の発表に対し、タイの人権団体(National Human Rights Commission)は反対の意思を表明しています。憲法裁判所に持ち込むことも検討しているようです。

 この人権団体の委員長は、「タイ赤十字がしていることは性差別に等しい」、とコメントしています。

 しかしながら、タイの政治的な力も持つゲイの団体のある幹部は、ゲイの間でHIV感染が多いことを認め、タイ赤十字が決定したルールに従うことを表明しました。

 この幹部は、最近おこなわれた調査でバンコクの同性愛者の28%がHIV陽性であることを引き合いに出しています。

*************

 なかなかむつかしい問題だと思われます。

 ゲイのすべてがハイリスクであるわけではもちろんありませんが、全体としてみたときにはゲイの間でのHIV陽性率が高いのも事実です。

 この傾向は日本でも同じです。現時点では、日本赤十字は献血の際、協力者に「異性愛者か同性愛者か」などの質問はしていませんが、日本の献血された血液のなかにもHIV陽性のものが発見されていますから、いずれ同じ議論がおこなわれるようになるかもしれません。

(谷口恭)