HIV/AIDS関連情報
2008年10月6日(月) 米国のHIV感染者が増加、5人に1人は気づかず
CDC(米国疾病管理センター)は、10月2日、米国内のHIV陽性者について発表をおこないました。(報道は10月3日の共同通信)
2006年末時点で米国内のHIV感染者は約110万人で、そのうち5人に1人は感染していることを知らないそうです。
この数字は2003年末と比べると、3年間で約11万2千人が増加していることになります。この理由として、新規感染の増加と治療薬が普及して長期間生存できるようになったことが考えられます。また、検査が普及し早期発見ができるようになったことも理由のひとつと考えられています。
感染者の4分の3は男性で、全感染者のほぼ半数は男性と性行為をする男性。全人口の12%にすぎない黒人が全感染者の46%を占めています。また、米国勢調査局によりますと、米国の最新の人口は約3億530万人で、UNAIDSの報告によりますと、2007年末時点の世界のHIV感染者は3320万人です。
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仮に日本も感染者の5人に1人が気づいていないとすると、判っている日本のHIV陽性者は約1万5千人ですから、この1万5千人以外に約3,750人の自身の感染に気づいていない人がいるということになります。気になる方は一度検査を検討されてはいかがでしょうか・・・
(谷口恭)
2006年末時点で米国内のHIV感染者は約110万人で、そのうち5人に1人は感染していることを知らないそうです。
この数字は2003年末と比べると、3年間で約11万2千人が増加していることになります。この理由として、新規感染の増加と治療薬が普及して長期間生存できるようになったことが考えられます。また、検査が普及し早期発見ができるようになったことも理由のひとつと考えられています。
感染者の4分の3は男性で、全感染者のほぼ半数は男性と性行為をする男性。全人口の12%にすぎない黒人が全感染者の46%を占めています。また、米国勢調査局によりますと、米国の最新の人口は約3億530万人で、UNAIDSの報告によりますと、2007年末時点の世界のHIV感染者は3320万人です。
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仮に日本も感染者の5人に1人が気づいていないとすると、判っている日本のHIV陽性者は約1万5千人ですから、この1万5千人以外に約3,750人の自身の感染に気づいていない人がいるということになります。気になる方は一度検査を検討されてはいかがでしょうか・・・
(谷口恭)
2008年10月6日(月) HIVの起源は1908年?
アフリカで最初のHIVが動物から人間に感染したのは1908年ではないか・・・
米国アリゾナ大学などの国際研究チームがウイルスの遺伝子解析でこのような結果を導き出し、10月2日付けの科学誌「Nature」に発表しました。(報道は10月2日の共同通信)
これまでは、HIVの起源は1930年ごろとされていましたからそれをくつがえす研究となります。
世界初のエイズ患者が米国で報告されたのが1981年ですから、1908年説が正しいとすると、70年以上も人類に潜伏していたことになります。
研究チームによりますと、最も古い感染例として知られる、ザイール(現在のコンゴ)の男性から1959年に採取血液から検出されたHIVと、同じくザイールの女性から1960年に採取したリンパ節から新たに検出されたHIVの遺伝子の配列を比較すると、予想外に変異が大きいことが判りました。
他の100種類以上のHIVの遺伝子とあわせて、時間とともに変異した経過を系統樹にしたところ、前後20年程度の誤差はあるものの、1908年ごろに共通のウイルスから分岐したことが明らかとなりました。
研究チームは「チンパンジーから最初に人に感染して20世紀初頭はあまり広がらなかったが、ザイール(コンゴ)周辺の都市化とともに一気に拡大したのだろう」と指摘しています。
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上に紹介した研究チームのコメント以外にも、「遺伝子の変異によりエイズを発症する期間が短くなったこと」が考えられます。アフリカのような寿命の短い国では、エイズを発症するまでの期間が長ければ、エイズを発症するまでに他の病気で死亡することが考えられます。
もうひとつは、「遺伝子の変異により感染力が強くなったこと」が考えられると思います。HIVは1本鎖のRNA型ウイルスで、同じウイルスでも2本鎖のDNA型のウイルスと比べると遺伝子の複製が"不安定"で容易に変異を起こします。
ということは、今後10~20年くらいの間に、今よりももっと感染力の強いウイルスに変異することも予想されるというわけです。
(谷口恭)
米国アリゾナ大学などの国際研究チームがウイルスの遺伝子解析でこのような結果を導き出し、10月2日付けの科学誌「Nature」に発表しました。(報道は10月2日の共同通信)
これまでは、HIVの起源は1930年ごろとされていましたからそれをくつがえす研究となります。
世界初のエイズ患者が米国で報告されたのが1981年ですから、1908年説が正しいとすると、70年以上も人類に潜伏していたことになります。
研究チームによりますと、最も古い感染例として知られる、ザイール(現在のコンゴ)の男性から1959年に採取血液から検出されたHIVと、同じくザイールの女性から1960年に採取したリンパ節から新たに検出されたHIVの遺伝子の配列を比較すると、予想外に変異が大きいことが判りました。
他の100種類以上のHIVの遺伝子とあわせて、時間とともに変異した経過を系統樹にしたところ、前後20年程度の誤差はあるものの、1908年ごろに共通のウイルスから分岐したことが明らかとなりました。
研究チームは「チンパンジーから最初に人に感染して20世紀初頭はあまり広がらなかったが、ザイール(コンゴ)周辺の都市化とともに一気に拡大したのだろう」と指摘しています。
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上に紹介した研究チームのコメント以外にも、「遺伝子の変異によりエイズを発症する期間が短くなったこと」が考えられます。アフリカのような寿命の短い国では、エイズを発症するまでの期間が長ければ、エイズを発症するまでに他の病気で死亡することが考えられます。
もうひとつは、「遺伝子の変異により感染力が強くなったこと」が考えられると思います。HIVは1本鎖のRNA型ウイルスで、同じウイルスでも2本鎖のDNA型のウイルスと比べると遺伝子の複製が"不安定"で容易に変異を起こします。
ということは、今後10~20年くらいの間に、今よりももっと感染力の強いウイルスに変異することも予想されるというわけです。
(谷口恭)
2008年8月25日(月) 日米でHIV感染が増加
8月19日に厚生労働省が発表したデータによりますと、2008年3月31日~6月29日の3ヶ月間に報告されたHIVの新規感染は276人で、これは1985年の統計開始以来、前々回(2007年10月1日~12月30日)の277人についで過去2位の人数となります。
一方、同日(8月19日)に、米国疾病管理予防センター(CDC)は、米国内のHIV感染状況が予想をはるかに上回り、2006年には5万6,300人が新規に感染したうえ、HIV陽性者は累計123万人に達していると公表しました。
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HIVの新規感染が多いのはアジアやアフリカだけではありません(これらの地域では減少傾向にあります)。今回の報道が示すように日本とアメリカでは感染者は増えていますし、ドイツ、イギリス、オーストラリア、韓国など他の先進諸国でも増加傾向にあります。
数年前に言われた「先進国でHIVが増えているのは日本だけ」というのはとっくに過去の言葉になっています。
(谷口恭)
一方、同日(8月19日)に、米国疾病管理予防センター(CDC)は、米国内のHIV感染状況が予想をはるかに上回り、2006年には5万6,300人が新規に感染したうえ、HIV陽性者は累計123万人に達していると公表しました。
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HIVの新規感染が多いのはアジアやアフリカだけではありません(これらの地域では減少傾向にあります)。今回の報道が示すように日本とアメリカでは感染者は増えていますし、ドイツ、イギリス、オーストラリア、韓国など他の先進諸国でも増加傾向にあります。
数年前に言われた「先進国でHIVが増えているのは日本だけ」というのはとっくに過去の言葉になっています。
(谷口恭)
2008年8月25日(月) 先進国で増え続けるHIV新規感染
2008年7月29日にUNAIDS(国連合同エイズ計画)が発表した2007年の年次報告によりますと、世界全体の2007年のエイズによる死者は約200万人と推定され、これは2005年の約220万人から20万人減少したことになります。
UNAIDSによりますと、2007年にHIV陽性者は世界全体で約3,300万人で、サハラ以南諸国が全感染者の67%、死者の72%を占めます。サハラ以南諸国以外では、薬物使用者、同性愛者、セックスワーカーなどの間で感染が蔓延しているとされています。
エイズの治療を受けている人数は、2003年の約30万人から2007年の約300万人と10倍も増えています。
一方、新たな懸念としては、新規感染は世界全体では数年前の500万人から2007年の270万人と減少傾向にありますが、一部の国で感染者が増加しており、中国、ドイツ、インドネシア、ロシア、イギリスなどでの増加が重要視されています。
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HIVの新規感染が増えているのは上で述べられている国以外にも、日本、韓国、オーストラリアなどがあります。タイは横ばいですが、若年者と主婦に広がっています。
先進国でのHIV新規感染増加について新たな対策が必要になるでしょう。
(谷口恭)
UNAIDSによりますと、2007年にHIV陽性者は世界全体で約3,300万人で、サハラ以南諸国が全感染者の67%、死者の72%を占めます。サハラ以南諸国以外では、薬物使用者、同性愛者、セックスワーカーなどの間で感染が蔓延しているとされています。
エイズの治療を受けている人数は、2003年の約30万人から2007年の約300万人と10倍も増えています。
一方、新たな懸念としては、新規感染は世界全体では数年前の500万人から2007年の270万人と減少傾向にありますが、一部の国で感染者が増加しており、中国、ドイツ、インドネシア、ロシア、イギリスなどでの増加が重要視されています。
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HIVの新規感染が増えているのは上で述べられている国以外にも、日本、韓国、オーストラリアなどがあります。タイは横ばいですが、若年者と主婦に広がっています。
先進国でのHIV新規感染増加について新たな対策が必要になるでしょう。
(谷口恭)
2008年8月11日(月) 日本、大麻検挙が過去最悪
2008年7月号の「GINAと共に」で、タイではドラッグが以前のように大量に流通しているという話をしましたが(「ドラッグ天国に舞い戻ったタイ」)、日本でも同じような問題が起こっています。
まずは、大麻の検挙が過去最悪になったというニュースがあります。
日本経済新聞8月7日夕刊によりますと、今年(2008年)1~6月に大麻に絡んで全国の警察が検挙した事件が前年同期比9.1%増の1,686件と、上半期としては過去最悪になったことが、8月7日の警察庁の発表で明らかとなりました。
大麻での検挙人数も前年同期比12.3%増の1,202人と増加しており、特に若年層で目立っています。
年代別にみると、20代が全体の56.2%となり20代以下で全体の6割以上を占めています。(20歳未満は8.8%、30代23.8%、40代8.2%、50歳以上3%)
薬物事件全体の検挙人数は前年同期比8.9%増の7,648人で、このうち全体の半数近い3,627人が暴力団構成員となっています。
乾燥大麻の押収量は前年同期比150.5%増の94.7キログラムと大きく増加しています。大麻密輸の検挙も108.3%増の50件、63.3%増の49人と増えています。大麻栽培では、検挙数が24.7%増の91件、人数では46.0%増の73人です。
覚醒剤検挙率は8.8%増の6,216人と増加していますが、押収量は55.4%減の42.1キロと減少しています。
また、8月8日の日本経済新聞によりますと、いわゆる合成麻薬の「TFMPP」と「BZP」を所持していたとして、警視庁城東署がニュージーランド国籍の男性を逮捕しています。調べによりますと、この男性は、東京都江東区の路上で、TFMPPとBZPを混ぜ合わせた麻薬14カプセルを所持していました。尚、これら合成麻薬は2003年10月に麻薬取締法の対象薬物に指定されましたが、指定後初の摘発だそうです。
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日本は「世界有数のドラッグ天国」と呼ばれることもあり、違法薬物の流通量が多いことは間違いありませんが、検挙数と実際の使用者数には乖離がある可能性もあります。
つまり、検挙数が増えたからといって使用者が増えているとは限りません。これは、警察が対策に力を入れればそれだけ検挙数が上がるからです。
しかしながら、いずれにしても日本人の多くが、特に若い世代の多くが、容易に違法薬物に手を出しているということは紛れも無い事実です。
薬物に手を出すのがよくないのは自明ですが、ここでは、(大麻や合成麻薬といった)軽い違法薬物→(MDMAなどを経由)→覚醒剤(最初は吸入)→覚醒剤の静脈注射(最初は針を使い捨て→そのうち複数回の使用→ついに他人との使いまわし)→肝炎やHIVの感染、といった「悪魔の方程式」が存在することを確認しておきたいと思います。
(谷口恭)
まずは、大麻の検挙が過去最悪になったというニュースがあります。
日本経済新聞8月7日夕刊によりますと、今年(2008年)1~6月に大麻に絡んで全国の警察が検挙した事件が前年同期比9.1%増の1,686件と、上半期としては過去最悪になったことが、8月7日の警察庁の発表で明らかとなりました。
大麻での検挙人数も前年同期比12.3%増の1,202人と増加しており、特に若年層で目立っています。
年代別にみると、20代が全体の56.2%となり20代以下で全体の6割以上を占めています。(20歳未満は8.8%、30代23.8%、40代8.2%、50歳以上3%)
薬物事件全体の検挙人数は前年同期比8.9%増の7,648人で、このうち全体の半数近い3,627人が暴力団構成員となっています。
乾燥大麻の押収量は前年同期比150.5%増の94.7キログラムと大きく増加しています。大麻密輸の検挙も108.3%増の50件、63.3%増の49人と増えています。大麻栽培では、検挙数が24.7%増の91件、人数では46.0%増の73人です。
覚醒剤検挙率は8.8%増の6,216人と増加していますが、押収量は55.4%減の42.1キロと減少しています。
また、8月8日の日本経済新聞によりますと、いわゆる合成麻薬の「TFMPP」と「BZP」を所持していたとして、警視庁城東署がニュージーランド国籍の男性を逮捕しています。調べによりますと、この男性は、東京都江東区の路上で、TFMPPとBZPを混ぜ合わせた麻薬14カプセルを所持していました。尚、これら合成麻薬は2003年10月に麻薬取締法の対象薬物に指定されましたが、指定後初の摘発だそうです。
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日本は「世界有数のドラッグ天国」と呼ばれることもあり、違法薬物の流通量が多いことは間違いありませんが、検挙数と実際の使用者数には乖離がある可能性もあります。
つまり、検挙数が増えたからといって使用者が増えているとは限りません。これは、警察が対策に力を入れればそれだけ検挙数が上がるからです。
しかしながら、いずれにしても日本人の多くが、特に若い世代の多くが、容易に違法薬物に手を出しているということは紛れも無い事実です。
薬物に手を出すのがよくないのは自明ですが、ここでは、(大麻や合成麻薬といった)軽い違法薬物→(MDMAなどを経由)→覚醒剤(最初は吸入)→覚醒剤の静脈注射(最初は針を使い捨て→そのうち複数回の使用→ついに他人との使いまわし)→肝炎やHIVの感染、といった「悪魔の方程式」が存在することを確認しておきたいと思います。
(谷口恭)