HIV/AIDS関連情報

2007年5月9日(水) インド初の"コンドーム・ディスコ"

 インドのチャンディガールに、インド初となるコンドームを無料配布するディスコが誕生しました。(報道は5月2日のBBC NEWS)

 このディスコは、HIV陽性者に対するカウンセリングをおこなっている民間のグループによって設立されていますが、構想には政府が運営するベンチャー組織のCitco(Chandigarh Industrial & Tourism Corporation)も関与しています。ただし、難色を示している地域住民も少なくないようです。

 店内にはコンドームでつくられた装飾品がおかれ、客に出されるタンブラーやスタッフの制服、さらに土産用のマグカップ、Tシャツなどにもオリジナルのコンドームのロゴがデザインされているそうです。

 客はおつりをコンドームでもらうこともできますし、店内には無料のコンドームや、女性用の新しいコンドームも置かれています。

 また、店のイベントとして、HIV陽性の男女だけが参加できるような企画もあるそうです。

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 店でコンドームを配布、と聞くと1990年代初頭に誕生した、タイのCabbage & Condomを思い出します。タイの自由な文化で、そのような店が誕生したことは理解できますが、性に保守的なインドでコンドーム・ディスコがオープンしたということに驚かされます。しかも、民間の組織単独でではなく、行政も関与しているわけですから、インドの文化史からみると画期的な出来事だと思われます。

 ただ、裏を返せばそれだけインドのエイズ事情が深刻であるということなのでしょう・・・

(谷口 恭)

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2007年5月8日(火) タイ、患者会が米国大使館前で抗議

 強制実施権(製薬会社の特許に従わず独自に薬剤を製造・輸入する権利)を撤回しないタイに対し、米国通商代表は、タイを貿易国として格下げすることを発表しました。

 これに対し、HIV陽性者のネットワーク(Thai Network of People Living with HIV/AIDS)が、バンコクの米国大使館の前で抗議デモをおこなうことを計画しています。(報道は5月2日のThe Nation)。

 このネットワークの議長であるウイラット・プラホン(Wirat Phurahong)氏は次のようにコメントしています。

 「我々はタイ政府に強制実施権の行使を続けてもらいたいと考えている」

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 患者サイドからみれば、薬が高すぎて買えない・・・。製薬会社サイドからみれば、薬が安すぎて損をする・・・。ならば、世界のODAなどの一部をその差額に充てることはできないのでしょうか・・・。

(谷口 恭)

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2007年5月8日(火) タイ、違法薬物流入が減少せず

 違法薬物の海外からの流入、及び国内での流通が一向に減少しないタイでは、頻繁にこの手のニュースが報道されています。ここでは、最近起こった2つの典型的な事件を紹介したいと思います。

 4月16日、チェンマイで2人の薬物所持者が軍に射殺されました。殺された2人はリス族の者で、押収されたのはヘロイン4.55キログラムです。薬物を押収した軍関係者によると、殺害された2人以外にも5人の薬物所持者がいたようですが、薬物を持ったまま国境付近に逃亡し、現在も逮捕されていないそうです。(報道は4月17日のバンコクポスト)

 タイ北部国境付近の高地に住む山岳民族(少数民族)では、かつては産業がほとんどなく麻薬の栽培及び販売に頼らざるを得ませんでした。ところがタイ愛国党(TRT)が政権をとってからは徹底的な薬物撲滅対策が遂行されたため、山岳民族のほとんどが麻薬から手を切ったのは事実です。

 ここにきてこのような事件が起こっているということは、再び山岳民族が麻薬の栽培(あるいはミャンマー産の麻薬の密輸)に携わるようになってきたのかもしれません。

 ちなみに、スラユット暫定政権の支持率はバンコクでさえ低くなる一方ですが、タイ北部ではもともとあまり支持されていません。

 もうひとつのニュースは、昨年完成したばかりのスワナプーム空港からです。

 4月28日、空港の税関で2人のペルー人が薬物所持の容疑で逮捕されました。税関で不審に思われた2人は腹部のレントゲンを撮影され、胃のなかにコカイン2キログラムを隠し持っていたことが判明しました。

 便から取り出されたコカインは約250カプセルで、末端価格にして223,000ドル(約2,700万円)だそうです。

 かつて、タイがドラッグ天国と言われていた頃は、「タイでは入手できない薬物はない」と言われていました。タイ愛国党の政策でいったんクリーンな国になりかけたものの、こういう事件をみていると、すでにタイはドラッグ天国に舞い戻ってしまったのかもしれません。

(谷口 恭)

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2007年5月8日(火) HIV陽性ゲイの3分の1がコンドーム使用せず

 マンチェスター、ブライトン、ロンドンの2,640人のゲイを対象とした調査がおこなわれ、結果が医学誌「Sexually Transmitted Infection」で発表されています。(報道は4月30日のBBC NEWS)

 HIV陽性のゲイの37%が過去1年間にコンドームを用いない性交渉をおこなっています。一方、HIV陰性のゲイでは18%という結果がでています。

 この結果から、HIV陽性者はHIV陽性者とコンドームを用いない性交渉をおこなっていることが考えられます。これは、HIV陽性者が新たなHIV株に再感染することにつながり、こうなると薬が効きにくくなる可能性もあります。

 HIV陽性率が最も高いのはブライトンで14%、最も低いのがマンチェスターで8.6%となっています(ロンドンは中間)。

 HIV陽性の3人に1人が、自身がHIVに感染していることを知りませんでした。しかし、全体の3人に2人以上が過去1年以内に性感染症クリニックを受診していると回答しています。

 HIV陰性の5人に1人、HIV陽性の10人に4人が、過去1年間に何らかの性感染症に罹患していました。

 この研究の代表者であるダニエル・メルシー(Danielle Mercey)医師は、「HIVの検査を促し危険な性交渉をやめるように訴えかけなければならない」と述べています。

 同医師は続けます。

 「危険な性行為は特に若い男性が注意しなければならない。スピードオーバーの運転や違法薬物摂取と同様、危険な性行為も若い世代に多いのである」

 イギリス全域でみると、2005年のHIV新規感染者7,450人のうち、およそ3分の1がゲイです。

(谷口 恭)

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2007年5月8日(火) 北京のNGOがゲイに無料の性感染症検査

 朝陽(Chaoyang)のエイズ関連のNGOが、ゲイを対象とした無料の性感染症(HIVを含む)の検査を北京北部の病院で4月15日におこないました。

 この情報は検査日の1週間前からゲイのためのウェブサイト(www.hivolunt.net)で提供され、当日は200人以上のゲイが検査を受けるために病院に集まりました。

 検査が実施された病院は公表されていませんが、NGOの代表者は私立の病院であることを発表しました。この代表者によりますと、「本当は公立病院でおこないたかったけれど、どこの病院も忙しさを理由に断ってきた」、そうです。

 検査を受けた人には番号とパスワードが渡され、検査結果はウェブサイト上で確認できるそうです。また、ウェブサイト上でカウンセリングを受けることもできるようです。

 2004年の時点で、中国全土のゲイ人口は5百万人から1千万人と言われています。青島大学医学部のZhang Beichuan教授によれば、中国のゲイのHIV陽性率はおよそ1.5%だそうです。

(谷口 恭)

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