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2007年5月8日(火) タイ、違法薬物流入が減少せず

 違法薬物の海外からの流入、及び国内での流通が一向に減少しないタイでは、頻繁にこの手のニュースが報道されています。ここでは、最近起こった2つの典型的な事件を紹介したいと思います。

 4月16日、チェンマイで2人の薬物所持者が軍に射殺されました。殺された2人はリス族の者で、押収されたのはヘロイン4.55キログラムです。薬物を押収した軍関係者によると、殺害された2人以外にも5人の薬物所持者がいたようですが、薬物を持ったまま国境付近に逃亡し、現在も逮捕されていないそうです。(報道は4月17日のバンコクポスト)

 タイ北部国境付近の高地に住む山岳民族(少数民族)では、かつては産業がほとんどなく麻薬の栽培及び販売に頼らざるを得ませんでした。ところがタイ愛国党(TRT)が政権をとってからは徹底的な薬物撲滅対策が遂行されたため、山岳民族のほとんどが麻薬から手を切ったのは事実です。

 ここにきてこのような事件が起こっているということは、再び山岳民族が麻薬の栽培(あるいはミャンマー産の麻薬の密輸)に携わるようになってきたのかもしれません。

 ちなみに、スラユット暫定政権の支持率はバンコクでさえ低くなる一方ですが、タイ北部ではもともとあまり支持されていません。

 もうひとつのニュースは、昨年完成したばかりのスワナプーム空港からです。

 4月28日、空港の税関で2人のペルー人が薬物所持の容疑で逮捕されました。税関で不審に思われた2人は腹部のレントゲンを撮影され、胃のなかにコカイン2キログラムを隠し持っていたことが判明しました。

 便から取り出されたコカインは約250カプセルで、末端価格にして223,000ドル(約2,700万円)だそうです。

 かつて、タイがドラッグ天国と言われていた頃は、「タイでは入手できない薬物はない」と言われていました。タイ愛国党の政策でいったんクリーンな国になりかけたものの、こういう事件をみていると、すでにタイはドラッグ天国に舞い戻ってしまったのかもしれません。

(谷口 恭)