HIV/AIDS関連情報

2007年5月7日(月) 北京のエイズ事情

 現在の北京のHIV陽性者はおよそ12,000人と言われています。北京当局によりますと、この地域のHIV事情は新たな局面に入り、今後急速に感染が蔓延することが予想されます。(報道は4月20日のCHINA DAILY)

 北京当局のデータでは、北京内で正式に登録されているHIV陽性者は3,462人ですが、その3倍にあたる人数が、自身の感染に気付いていないか、あるいは気付いてはいるものの病院を受診していないそうです。

 4月19日に北京当局が発表したデータでは、登録されている3,462人のうち、686人が北京出身者、2,634人が他の省からの移住者、142人が外国人となっています。

 また、3,462人のうち1,357人が薬物の静脈注射による感染、924人が性感染、535人が輸血、46人が母子感染で、600人が不明となっています。

 北京当局は、今年中にHIVモニタリングネットワークを設立し、すべてのグループの同行を詳しく調査する予定です。

 さらに、北京内の18の地域すべてにエイズ予防クリニックを2008年までに設立する予定です。

 中国は2006年の時点で183,733人のHIV陽性者が正式に登録されていますが、保健省の担当者は65万人とみています。

**********

 保健省の担当者は65万人とみているそうですが、実際はその数倍になるとみている専門家は少なくありません。雲南省だけで軽く100万人を超えるとする関係者もいます。

(谷口 恭)

記事URL

2007年4月30日(月) リビアのHIV院内感染、真実の行方は(第6報)

 過去5回にわたりお伝えしてきましたリビアのHIV院内感染の事件ですが、ここにきて状況が変わりつつあります。

 まずはこれまでの経緯をまとめておきましょう。

・1990年代、リビア内の病院で426人の子供たちがHIVに院内感染するという事件が起こった。
・5人のブルガリア人の看護師と1人のパレスチナ人の医師が、故意にHIVを院内感染させたとして逮捕され1999年から拘留されている。
・しかし、その根拠はまったくデタラメなもので、世界各地の政治家、科学者や科学誌などが、リビア政府の不当な拘留に抗議をおこなっている。
・リビア政府はこれを聞き入れず、感染した子供の家庭への補償金として、1家族あたり約15億円の補償金をブルガリア政府に求めている。
・ブルガリア政府は、補償金には応じられないが感染した子供たちを救済する基金の設立をすることを提案している。また、今年に入りEUの各国が感染者の養育や基金の援助を申し出ている。(ブルガリアは今年からEUのメンバーとなった)
・しかしリビア政府はこれを受け入れず、あくまでも1家族あたり15億円の補償、もしくは拘留者の死刑を求めている。

 その他では、政治的な背景として、リビアは長年の孤立から欧米に歩みよろうとしていたところ、この事件が起こり友好関係の構築が滞っている、という問題があります。

 4月26日のロイターヘルスによりますと、拘留されている5人のブルガリア人看護師と1人のパレスチナ人医師が、早ければ6月中に釈放される可能性がでてきました。

 これはブルガリア在住のドイツ大使が地元のマスコミに伝えたもので、EUとトリポリ(院内感染のあった病院のあるリビアの都市)との話し合いでその可能性が濃厚になってきているようです。

 しかし手放しで喜ぶわけにもいかないようです。ドイツの関係者は次のように話しています。

 「彼女たちが釈放される可能性が大きくなったが、釈放の条件については現在も話し合いがおこなわれている」

***********

 感染した子供をもつ両親の立場に立てば院内感染に対して許しがたい憤りを感じます。しかし、明らかに不当逮捕されている外国人の母国の政府に15億円もの大金を要求するのは筋が通りません。

 まずは真実を明らかにすることが先決です。その上で被害者に対してみんなが支援をするのが最善の方法です。感染した子供たちの支援を申し出ているのはEU諸国だけではありません。アメリカも名乗りを上げています。

 日本政府は何のコメントも発していませんが・・・

(谷口 恭)

記事URL

2007年4月30日(月) リチャード・ギアの"キス"が大ヒンシュク

 リチャード・ギアがインドの女優シルパ・シェティ(Shilpa Shetty)を公衆の面前で抱擁しキスしたことが各方面からヒンシュクをかい、逮捕状まで出る騒ぎになっています。(報道は4月27日のAP通信)

 この事件はおよそ4000人のトラック運転手が集まったエイズ撲滅のためのイベント会場で起こりました。リチャード・ギアとしては、映画「Shall We Dance?」の一場面を再現するパロディのつもりで抱擁とキスをおこなったようですが、これがヒンドゥー教徒たちからは「インド文化を侮辱するものだ」とみなされました。

 北部ジャイプルの裁判官らは、リチャード・ギアのこの行為がインドの法律に触れるものであると判断し逮捕命令を出しています。

 リチャード・ギアは、現在インドを離れていますが、再入国したときに拘束される可能性があるようです。

**********

 欧米の文化からみると抱擁やキスは侮辱にならないのでしょうが、敬虔なヒンドゥー教徒の前でおこなうということにリチャード・ギアは何も考えていなかったのでしょうか。まして会場は、エイズ撲滅運動のイベントの場だったのです。これでは、エイズ撲滅を訴えたところでまったく説得力はありません。

(谷口 恭)

記事URL

2007年4月30日(月) 2人の小児愛者が少年を性奴隷にし殺人未遂

 2人の小児愛者が14歳の少年を誘拐し、性奴隷とし、あげくのはてに林に捨てて酸をかけて殺そうとした、というおぞましい事件がオーストラリアで起こりました。(4月19日のNEWS.COM.AUが報道)

 容疑者は43歳と46歳のゲイどうしのカップルで、このうちひとりはHIV陽性です。ふたりは2005年の8月30日、街でみかけた少年にマリファナとテレビゲームがあるからと言って自宅に連れ込み、9月19日まで20日間にわたり監禁しました。少年に手錠をかけ、口をテープでふさぎ、そしてコンドームを用いずにレイプを繰り返しました。

 また、容疑者のふたりは少年にポルノビデオを見せ、少年の前でふたりの性行為を見せ、少年にはバケツに排便させ、監禁していた20日間の間、シャワーはわずか2回しかあびさせませんでした。

 現在裁判が西オーストラリア地方裁判所でおこなわれていますが、容疑者のふたりは、「監禁はとても丁寧におこなったし、少年自身も楽しんでいた。セックスを求めたのは少年の方であって我々ではない」、と証言しているそうです。

 容疑者の自宅には、少年を監禁レイプ、そして殺害を企てていたことを証明する証拠品が多数押収されています。なかには、「酸をかけて骨にしてしまえ」と書かれたメモも見つかっているようです。

 不動産関係の人間がたまたま容疑者宅を訪ねたとき、容疑者らが少年と話をしている現場を目的し、不審に思い警察に通報したことによりこの事件は終焉を迎えることになりました。

 警察に発見されたとき、少年は、「やってきた人たちが自分たちは警察だと言ったのを聞いた瞬間、神に感謝した」と話しているそうです。

***********

 少年は無事に保護されたようですが、身体に酸をかけられている以上、なんらかの障害が残ることになるでしょう。無垢な14歳の少年が追った傷は障害消えることがないでしょうし、少年が容疑者からHIVに感染したのかどうかも気になるところです。

(谷口 恭)

記事URL

2007年4月25日(水) 中国、地方の子供たちが人身売買の危機

 4月4日のAP通信が、中国の地方に住む子供たちが人身売買の危機にさらされている現状を報告しています。

 中国の地方では農家の親たちが仕事を求めて都心部に出稼ぎに行くことが多く、両親不在の間に子供たちが売られていくという現状があります。もちろん、中国政府はこのような事態を深刻に受け止め厳重な処罰を課していますから、全体的には減少傾向にはあります。

 ここ数年間では1億5千万人から2億人もの人々が地方から都心部に出稼ぎに出向き、工場や建築現場で働いています。今後15年から20年の間に数億人もの人たちが都心部に向かうことが予想されています。

 障害を持っていたり、HIVに感染したりしている子供たちも人身売買がおこなわれることがあり、こういった子供たちは物乞いをさせられます。

 中国西部に位置する新疆(しんきょう)では、数万人の子供たちがギャングやマフィアに誘拐されているという試算もあります。誘拐された子供たちは、ギャングたちに「すり」として育てられ、中国東部で働かされているとの情報もあります。

 中国南部に位置する雲南省や広西の子供たちは、中国都市部や、さらにタイやマレーシアなどで買春産業に従事させられているとも言われています。

 親が都心に出稼ぎに行き、残された地方の子供たちはたいへん脆弱な存在です。子供たちの面倒をみる祖父母たちは必ずしも健康ではなく、しっかりした施設はそれほど多くないからです。

 しかしながら、両親が子供たちを都心に連れて行くことにも問題があります。地方からいきなり都心に連れてこられた子供たちはそれまでとはまったく異なる新しい環境になじめないことも多く、両親は仕事で多忙となるため子供と過ごす時間がないからです。

(谷口 恭)

記事URL