HIV/AIDS関連情報

2007年6月4日(月) 注射針を刺されたノッティンガムの少女

 イギリスのノッティンガムで16歳の女子が見知らぬ女子に突然注射針を刺され、現在HIV感染が懸念されています。(報道は5月29日のBBC NEWS)

 この少女は、5月30日に友達とマーケットに出かけていました。その日は人気DJによるイベントも開催されていたようです。そのイベントで、風変わりな(erratic注1)踊り方をしている見知らぬ女性が彼女に近づいてきて、突然彼女の右の太ももに注射針を刺しそのまま逃亡したようです。

 この少女はその後すぐに病院に運ばれ、B型肝炎とC型肝炎の予防処置がおこなわれました(注2)。

 現在、HIVの結果を待っているところだそうです。

 尚、彼女に注射針を刺した容疑者は、14-15歳の黒人少女で体格や髪型の特徴が公開され捜索がおこなわれていますが、現時点では見つかっていないようです。

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 すてらめいとクリニックにも、ときどきこのような患者さんが来られます。「突然見知らぬ男性に使用済みと思われる注射針を刺された」、「車から注射針を投げつけられ足に刺さった」、などと言われます。

 このようなことでもHIV感染の可能性はありますから、クリニックを受診することにはもちろん意味があるのですが、彼(女)らの多くは受診を決心するまでにかなりの時間がかかっています。

 もしも危険性が少なくないなら、できるだけ早急に受診するのが懸命だと言えます。

注1: 原文にerraticとありますが、この単語から推測して、犯人は薬物を使用していた可能性があります。だとすると、やはり危険性は小さくないのかもしれません。

注:BBC NEWSの原文には、「B型肝炎とC型肝炎の予防処置」とあります。B型肝炎に対しては処置方法がありますが、C型肝炎に対してはこの場合何もできることがないために「C型肝炎の予防処置」というのは誤りだと思われます。B型肝炎とHIVに対しては薬の投与で危険性を減らすことができますが、C型肝炎についてはなす術がないというわけです。日本で同様の事件が起こった場合、頻度と感染力を考えたときに、C型肝炎のリスクが最も高いと言えるでしょう。このような事件は予防するにも限界があり、今後社会の問題となるかもしれません。


(谷口 恭)