HIV/AIDS関連情報

2007年6月4日(月) オランダ、乱交パーティでHIVを注射

 オランダのフローニンゲンで恐ろしい事件が起こりました。(報道は6月1日のNEWS.COM.AU)

 3人のHIV陽性のゲイが乱交パーティを主催し、パーティの参加者に薬物を使い、レイプをおこない、さらに自分たちのHIV陽性の血液を薬物で記憶をなくした被害者に注射していたそうです。

 容疑者たちはインターネットで乱交パーティの参加者を募り、やって来た参加者に複数の薬物を使っています。使われた薬剤は、通常のエクスタシー(MDMA)に加え、日本ではかつて合法ドラッグであったGHB(注)も使われています。

 そして、薬物で意識が朦朧とした参加者に対し、自分たちのHIVが混入した血液を注射したのです。

 逮捕された3人の容疑者のひとりは(男性)看護師だそうです。

 被害にあったパーティの参加者は、現在わかっているのが25歳から50歳の4人ですが、地元警察は少なくともさらに8人の被害者がいるとみています。

 地元警察は、逮捕された容疑者たちについて次のようにコメントしています。

 「HIV陽性者が増えれば増えるほど、コンドームを用いない性交渉(unprotected sex)の機会が増えると彼らは考えていたようだ。彼らにとって、コンドームを用いない性交渉こそが"純粋な関係"だそうだ」

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 私が以前診察した患者さん(日本人男性)は、カナダの乱交パーティに参加してHIVに感染したと話していました。その男性はゲイではなく、女性と男性が参加する乱交パーティに参加したそうです。

 乱交パーティの良し悪しは別にして(もちろん良いことではないでしょうが)、薬物やレイプといったリスクがあることは覚悟しておくべきでしょう。さらに、この事件のように「意識が朦朧とした状態でHIVを注射される」という危険性にも注意を払わなければなりません。

注 GHBとは、γヒドロキシ酪酸(γ hydroxybutyric acid)のことで、日本でもかつては合法ドラッグとして比較的簡単に入手できていました。2000年9月には、インターネットで手に入れたGHBを大量摂取した女子高生が死亡するという事件があり、翌年から麻薬取締法の指定薬物に加えられ現在では違法となっています。オランダでも、現在では違法薬物に指定されていると思われます。90年代にはいわゆるレイブ・パーティ(ダンスパーティの一種)に世界中で頻繁に使用されており、「リキッド・エクスタシー」「リキッド・E」「イージー・レイ(Easy Lay)」「ゲイ・ホーム・ボーイ」などの通称名で呼ばれていました。

(谷口 恭)