HIV/AIDS関連情報

2007年6月4日(月) メルク社がタイの子供たちに抗HIV薬をオファー

 アメリカに拠点を置く製薬会社のメルク社が、タイのHIV陽性の子供2,500人分の抗HIV薬を支給するという提案をタイ保健省におこない、同省はこれを受けいれました。(報道は6月2日のバンコクポスト)。

 この抗HIV薬はエファビレンツ(Efavirenz)という名前で、今回支給が決まったのは小児用のシロップタイプです。

 現在タイは、複数の抗HIV薬に対して強制実施権を行使しており、特許を無視した廉価な薬剤の製造や輸入を検討しています。メルク社のエファビレンツもそのひとつです。

 メルク社が販売しているエファビレンツは、現在タイではひとりの患者さんにつき、一月762バーツ(約2,300円)で供給されています。メルク社は以前から、この価格の値下げをタイ政府から要求されており、この申し入れを受けない代わりとして、今回の小児用エファビレンツの無償供与を提案したというわけです。

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 収拾がつかなくなっていた強制実施権の行使でしたが、このメルク社の申し入れは双方に有益なものであるように思われます。メルク社と同様、アメリカに拠点を置き、強制実施権の対象薬品(カレトラ)を販売しているアボット社の今後の動きに注目したいところです。

(谷口 恭)