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2008年8月11日(月) 日本、大麻検挙が過去最悪

 2008年7月号の「GINAと共に」で、タイではドラッグが以前のように大量に流通しているという話をしましたが(「ドラッグ天国に舞い戻ったタイ」)、日本でも同じような問題が起こっています。

 まずは、大麻の検挙が過去最悪になったというニュースがあります。

 日本経済新聞8月7日夕刊によりますと、今年(2008年)1~6月に大麻に絡んで全国の警察が検挙した事件が前年同期比9.1%増の1,686件と、上半期としては過去最悪になったことが、8月7日の警察庁の発表で明らかとなりました。

 大麻での検挙人数も前年同期比12.3%増の1,202人と増加しており、特に若年層で目立っています。

 年代別にみると、20代が全体の56.2%となり20代以下で全体の6割以上を占めています。(20歳未満は8.8%、30代23.8%、40代8.2%、50歳以上3%)

 薬物事件全体の検挙人数は前年同期比8.9%増の7,648人で、このうち全体の半数近い3,627人が暴力団構成員となっています。

 乾燥大麻の押収量は前年同期比150.5%増の94.7キログラムと大きく増加しています。大麻密輸の検挙も108.3%増の50件、63.3%増の49人と増えています。大麻栽培では、検挙数が24.7%増の91件、人数では46.0%増の73人です。

 覚醒剤検挙率は8.8%増の6,216人と増加していますが、押収量は55.4%減の42.1キロと減少しています。

 また、8月8日の日本経済新聞によりますと、いわゆる合成麻薬の「TFMPP」と「BZP」を所持していたとして、警視庁城東署がニュージーランド国籍の男性を逮捕しています。調べによりますと、この男性は、東京都江東区の路上で、TFMPPとBZPを混ぜ合わせた麻薬14カプセルを所持していました。尚、これら合成麻薬は2003年10月に麻薬取締法の対象薬物に指定されましたが、指定後初の摘発だそうです。

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 日本は「世界有数のドラッグ天国」と呼ばれることもあり、違法薬物の流通量が多いことは間違いありませんが、検挙数と実際の使用者数には乖離がある可能性もあります。

 つまり、検挙数が増えたからといって使用者が増えているとは限りません。これは、警察が対策に力を入れればそれだけ検挙数が上がるからです。

 しかしながら、いずれにしても日本人の多くが、特に若い世代の多くが、容易に違法薬物に手を出しているということは紛れも無い事実です。

 薬物に手を出すのがよくないのは自明ですが、ここでは、(大麻や合成麻薬といった)軽い違法薬物→(MDMAなどを経由)→覚醒剤(最初は吸入)→覚醒剤の静脈注射(最初は針を使い捨て→そのうち複数回の使用→ついに他人との使いまわし)→肝炎やHIVの感染、といった「悪魔の方程式」が存在することを確認しておきたいと思います。

(谷口恭)