HIV/AIDS関連情報

2007年9月25日(火) タイの子宮けい癌のキャンペーン

 タイではHIVと並んで子宮けい癌が深刻な状況となっています。

 毎年6千人以上の女性が子宮けい癌と診断され、約3千人がこの癌によって死亡しています。タイでは45歳から50歳が好発年齢となっています。

 子宮けい癌はPAPと呼ばれる簡単な方法(子宮の入り口を綿棒で軽くこするだけ)で検査をすることができます。そして、35歳以上の女性は5年ごとにこの検査を受けることが推奨されています。(日本では一般的に年に一度は受けるよう推奨されています。しかし、実際に検査を受けている人はタイと同様それほど多くなく、日本でもこの癌に罹患する女性は年々増えているというデータもあります)

 タイ保健省は75県で、このPAP検査を促すようなキャンペーンを考案しており、80万人の女性に検査を受けてもらうことを目標としています。昨年は、目標にはほど遠く、実際に検査を受けたのは、435,995人と全体の54%に過ぎませんでした。

 昨年検査を受けた女性のうち、6,276人が子宮けい部に異常細胞が見つかり、5,892人が癌の早期の段階で(この状態までに見つかれば子宮を摘出することなく治せます)、384人が進行癌の状態でした。

 タイでは2004年に子宮けい癌対策が開始され、5年後にこの癌の罹患者を半分にするという目標が掲げられています。

 タイでは、子宮けい癌の原因が世間一般に認知されておらず、またPAP検査を不快に感じている女性が多いと言われています。

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 子宮けい癌の原因は、もちろんヒトパピローマウイルス(HPV)による性感染ですから、コンドーム使用によってある程度の減少は見込めるはずです。

 PAPについては、内診台で腟内に腟鏡を入れられることにたしかに抵抗があるでしょうが、慣れてしまえばそれほど恐れることはありません。

 タイでは今年からHPVのワクチンが認可されましたが、価格が高いために広く浸透するまでに何年もの時間がかかるでしょう。

 一方、日本では、そのワクチンは認可すらされていない状態です。(他のワクチンと同様、日本はワクチン後進国なのです)

 であるなら、タイでも日本でも定期的なPAPが最も有効であることがもっと認知されなければならないでしょう。