HIV/AIDS関連情報
2006年8月27日(日) インド国会議員の驚くべき無知
8月24日付けのロイター通信に、インドで最近おこなわれた、国会議員を対象としたHIVに関する調査結果が報道されています。この調査は、インドの下院及び上院議員のおよそ3分の2に相当する250人の議員が対象となっています。
・HIV陽性者が一度着た衣服を着ることによって感染する、と答えた者 ― およそ3分の2
・HIV陽性者と食事を共にしたり食器を共用したりすることによって感染する、と答えた者 ― 56%
・HIV陽性者と仕事を一緒にすると感染する、と答えた者 ― 40%
・HIV陽性者が使ったトイレを使うことによって感染する、と答えた者 - 22.8%
先進国の仲間入りを考えているインドの国会議員がこれほど無知であるということに愕然としてしまいます。国会議員の仕事は法律を制定することです。その議員がこれだけ無知であれば、HIV/AIDSに関するまともな法律ができるはずもなく、またスティグマや差別がなくならないのは自明です。
UNAIDSのデータでは、現在のインドのHIV陽性者は世界一の570万人となっていますが、この数字は実際よりも少ないであろうと見積もっている専門家は少なくありません。インドの田舎の方では、死因が正確に把握できておらず、例えばエイズが原因の結核で死亡したとしてもエイズと統計されないことが多いそうです。(結核はエイズの特定23疾患のうちのひとつです。日本でも、結核を発症してはじめてHIV感染が分かったという患者さんがときどきおられます。)
(谷口 恭)
・HIV陽性者が一度着た衣服を着ることによって感染する、と答えた者 ― およそ3分の2
・HIV陽性者と食事を共にしたり食器を共用したりすることによって感染する、と答えた者 ― 56%
・HIV陽性者と仕事を一緒にすると感染する、と答えた者 ― 40%
・HIV陽性者が使ったトイレを使うことによって感染する、と答えた者 - 22.8%
先進国の仲間入りを考えているインドの国会議員がこれほど無知であるということに愕然としてしまいます。国会議員の仕事は法律を制定することです。その議員がこれだけ無知であれば、HIV/AIDSに関するまともな法律ができるはずもなく、またスティグマや差別がなくならないのは自明です。
UNAIDSのデータでは、現在のインドのHIV陽性者は世界一の570万人となっていますが、この数字は実際よりも少ないであろうと見積もっている専門家は少なくありません。インドの田舎の方では、死因が正確に把握できておらず、例えばエイズが原因の結核で死亡したとしてもエイズと統計されないことが多いそうです。(結核はエイズの特定23疾患のうちのひとつです。日本でも、結核を発症してはじめてHIV感染が分かったという患者さんがときどきおられます。)
(谷口 恭)
2006年8月27日(日) 米国、処方箋なしで緊急避妊薬が購入可能に
8月24日付けのロイター通信によりますと、FDA (米食品医薬品局)が、18歳以上の女性であれば、性交後に服用して妊娠を防ぐ緊急避妊薬を医師の処方箋がなくても薬局で購入できるようにする、と発表しました。
この緊急避妊薬は、女性ホルモンの一種が主成分で排卵を抑制する効果があり、「プランB」と呼ばれています。(ちなみに、「プランA」とは、コンドームや通常のピルなど、従来の避妊法のことを指します。)
FDAは、処方箋なしで購入できるのは、現時点では18歳以上に限定しており、17歳以下については従来どおり医師の処方箋を必要とするようです。
実は、「プランB」を処方箋なしで購入できるようにしようという動きは数年前からありました。ところが、安易な「プランB」の購入は、性感染症の拡大を招くという意見などもあり、論争が続いていたというわけです。
この「プランB」を日本でも処方箋なしで購入できるようにしようという動きは、現時点ではないようです。
日本では、「モーニングアフターピル」と呼ばれる緊急避妊薬がありますが、院内の処方、もしくは処方箋での薬局購入というかたちになります。それに、モーニングアフターピルは、通常「中用量ピル」を使いますから、副作用で吐き気をもよおされる人もいます。(そのため吐き気止めと一緒に処方することもあります。)
(谷口 恭)
この緊急避妊薬は、女性ホルモンの一種が主成分で排卵を抑制する効果があり、「プランB」と呼ばれています。(ちなみに、「プランA」とは、コンドームや通常のピルなど、従来の避妊法のことを指します。)
FDAは、処方箋なしで購入できるのは、現時点では18歳以上に限定しており、17歳以下については従来どおり医師の処方箋を必要とするようです。
実は、「プランB」を処方箋なしで購入できるようにしようという動きは数年前からありました。ところが、安易な「プランB」の購入は、性感染症の拡大を招くという意見などもあり、論争が続いていたというわけです。
この「プランB」を日本でも処方箋なしで購入できるようにしようという動きは、現時点ではないようです。
日本では、「モーニングアフターピル」と呼ばれる緊急避妊薬がありますが、院内の処方、もしくは処方箋での薬局購入というかたちになります。それに、モーニングアフターピルは、通常「中用量ピル」を使いますから、副作用で吐き気をもよおされる人もいます。(そのため吐き気止めと一緒に処方することもあります。)
(谷口 恭)
2006年8月25日(金) "NO"と言えない子供たち
世界中の子供に対する支援活動をおこなっているイギリスの国際組織Planが、先日「Circle of Hope」というタイトルのレポートを発表しました。
このレポートでは、世界中の大勢の子供たちが劣悪な環境で生活しており、HIV感染のリスクにさらされている現状も報告しています。
例えば、アフリカ西部に位置するベナン人民共和国では、少女たちが学校の行き帰り、さらには学校内でも、大人たちから性的暴行を受けることが日常化しているそうです。大勢の子供たちが、飢えをしのぐために一日の食事代ほどの金額で大人に身体を売っているというのです。
Planの代表責任者Tom Miller氏の言葉が印象的です。
「エイズになって数年以内に死ぬか、飢えのために数週以内に死ぬか、子供たちにはどちらかの選択肢しかないのです」
このレポートは次のようにも言っています。
「世界中には性的搾取を受けている数百万人の子供たちがいる。少女たちの年老いた夫はすでにHIVに感染していることが多く、少年たちは社会的なプレッシャーから危険な性行為をおこなっている。」
(少年たちについて述べているこの意味が私にはよく分かりません。買春やコンドームを用いない性行為を強要される社会的圧力がある、という意味なのでしょうか・・・。だとするならば、それは貧困でコンドームが手に入らないからなのでしょうか。あるいは、宗教的、社会的慣習が彼らにそのような行動を強いるのでしょうか。また、少女についてもよく分からないところがあります。十代の少女が老人に嫁いでいるという社会背景があるのでしょうか。いずれにせよ、このレポートの原文(英語)にはそのように書かれています。)
Planは、このレポートで子供たちの困窮した現実を述べるのと同時に、子供たちに対する希望も述べています。
「子供たちは同世代の者に対する大きな影響力を持っている。だから、社会を改善するのに必要なリーダーは子供たちなのである。それが、我々がHIV感染予防のプロジェクトには子供たちが大切な役割を担っていると考える理由なのである。」
実際にPlanは、世界中の若い世代と共にエイズ予防に関する事業を展開しています。Planが考えるように、HIV/AIDSの問題のリーダーは若い世代が担うべきなのかもしれません。
(谷口 恭)
このレポートでは、世界中の大勢の子供たちが劣悪な環境で生活しており、HIV感染のリスクにさらされている現状も報告しています。
例えば、アフリカ西部に位置するベナン人民共和国では、少女たちが学校の行き帰り、さらには学校内でも、大人たちから性的暴行を受けることが日常化しているそうです。大勢の子供たちが、飢えをしのぐために一日の食事代ほどの金額で大人に身体を売っているというのです。
Planの代表責任者Tom Miller氏の言葉が印象的です。
「エイズになって数年以内に死ぬか、飢えのために数週以内に死ぬか、子供たちにはどちらかの選択肢しかないのです」
このレポートは次のようにも言っています。
「世界中には性的搾取を受けている数百万人の子供たちがいる。少女たちの年老いた夫はすでにHIVに感染していることが多く、少年たちは社会的なプレッシャーから危険な性行為をおこなっている。」
(少年たちについて述べているこの意味が私にはよく分かりません。買春やコンドームを用いない性行為を強要される社会的圧力がある、という意味なのでしょうか・・・。だとするならば、それは貧困でコンドームが手に入らないからなのでしょうか。あるいは、宗教的、社会的慣習が彼らにそのような行動を強いるのでしょうか。また、少女についてもよく分からないところがあります。十代の少女が老人に嫁いでいるという社会背景があるのでしょうか。いずれにせよ、このレポートの原文(英語)にはそのように書かれています。)
Planは、このレポートで子供たちの困窮した現実を述べるのと同時に、子供たちに対する希望も述べています。
「子供たちは同世代の者に対する大きな影響力を持っている。だから、社会を改善するのに必要なリーダーは子供たちなのである。それが、我々がHIV感染予防のプロジェクトには子供たちが大切な役割を担っていると考える理由なのである。」
実際にPlanは、世界中の若い世代と共にエイズ予防に関する事業を展開しています。Planが考えるように、HIV/AIDSの問題のリーダーは若い世代が担うべきなのかもしれません。
(谷口 恭)
2006年8月25日(金) 厚生労働省のエイズ動向委員会の第2四半期報告
8月22日に当Websiteにてお伝えしましたニュース「HIV/AIDS新規報告23人 昨年の倍増 兵庫県上半期 」を裏付ける報告が、厚生労働省のエイズ動向委員会より発表されました。
平成18 年3 月27 日から7 月2 日までの約3か月に、新規HIV感染者報告数は248 件(うち男性226 件、女性22 件。前回報告198 件)で過去最高となりました。また、前年同時期の新規HIV感染者報告数は171 件でした。
新規AIDS患者報告数は106 件(うち男性97 件、女性9 件。前回報告92 件)であり、過去二位となりました。前年同時期の新規AIDS患者報告数は89 件です。
感染経路別に見ると、新規HIV感染者では同性間性的接触によるものが160 件(全HIV感染者報告数の約65%)と最も多く、そのうち152 件が日本国籍男性でした。異性間性的接触による新規感染者報告数は53 件(全HIV感染者報告数の約21%、うち男性37 件、女性16 件)です。
感染経路別の新規AIDS患者では、同性間性的接触によるものが40 件(全AIDS患者報告数の約38%)、異性間性的接触によるものが40 件(全AIDS患者報告数の約38%、うち男性36 件、女性4 件)となっています。
年齢別では、新規HIV感染者は20~30 代が多数(約66%)を占めますが(前回約77%)、40 代~50 代以上が占める割合が増えています(約31%)(前回約22%)。
年齢別の新規AIDS患者は30~50 代以上に広く分布しています。
(浅居 雅彦)
平成18 年3 月27 日から7 月2 日までの約3か月に、新規HIV感染者報告数は248 件(うち男性226 件、女性22 件。前回報告198 件)で過去最高となりました。また、前年同時期の新規HIV感染者報告数は171 件でした。
新規AIDS患者報告数は106 件(うち男性97 件、女性9 件。前回報告92 件)であり、過去二位となりました。前年同時期の新規AIDS患者報告数は89 件です。
感染経路別に見ると、新規HIV感染者では同性間性的接触によるものが160 件(全HIV感染者報告数の約65%)と最も多く、そのうち152 件が日本国籍男性でした。異性間性的接触による新規感染者報告数は53 件(全HIV感染者報告数の約21%、うち男性37 件、女性16 件)です。
感染経路別の新規AIDS患者では、同性間性的接触によるものが40 件(全AIDS患者報告数の約38%)、異性間性的接触によるものが40 件(全AIDS患者報告数の約38%、うち男性36 件、女性4 件)となっています。
年齢別では、新規HIV感染者は20~30 代が多数(約66%)を占めますが(前回約77%)、40 代~50 代以上が占める割合が増えています(約31%)(前回約22%)。
年齢別の新規AIDS患者は30~50 代以上に広く分布しています。
(浅居 雅彦)
2006年8月24日(木) 中国が性感染症の実態把握へ
8月14日の共同通信によりますと、中国衛生省は、中国における性感染症が1980年代以降急増していることを懸念し、感染実態をより正確に把握するため、モニター地区を定めて定点調査を実施することを決定しました。
同省によりますと、2005年の梅毒の報告例は前年比約35%増の12万6400件、淋病は18万300件。淋病が中国の(全)感染症の4位、梅毒が5位となっています。
この調査では、初めて性感染症の治療を受ける患者には経緯を記した書類の提出、医療機関には24時間以内の関係機関などへの報告なども義務付けています。
中国の報道によりますと、性感染症の重点調査対象者として、売春婦、男性の同性愛者、長距離トラックの運転手を挙げているようです。
ちなみに、中国では長距離トラックの運転手のために売春施設が各地に存在し、1回の売春価格が100円以下との報道もあります。
(谷口 恭)
同省によりますと、2005年の梅毒の報告例は前年比約35%増の12万6400件、淋病は18万300件。淋病が中国の(全)感染症の4位、梅毒が5位となっています。
この調査では、初めて性感染症の治療を受ける患者には経緯を記した書類の提出、医療機関には24時間以内の関係機関などへの報告なども義務付けています。
中国の報道によりますと、性感染症の重点調査対象者として、売春婦、男性の同性愛者、長距離トラックの運転手を挙げているようです。
ちなみに、中国では長距離トラックの運転手のために売春施設が各地に存在し、1回の売春価格が100円以下との報道もあります。
(谷口 恭)