HIV/AIDS関連情報

2006年8月25日(金) "NO"と言えない子供たち

 世界中の子供に対する支援活動をおこなっているイギリスの国際組織Planが、先日「Circle of Hope」というタイトルのレポートを発表しました。

 このレポートでは、世界中の大勢の子供たちが劣悪な環境で生活しており、HIV感染のリスクにさらされている現状も報告しています。

 例えば、アフリカ西部に位置するベナン人民共和国では、少女たちが学校の行き帰り、さらには学校内でも、大人たちから性的暴行を受けることが日常化しているそうです。大勢の子供たちが、飢えをしのぐために一日の食事代ほどの金額で大人に身体を売っているというのです。

 Planの代表責任者Tom Miller氏の言葉が印象的です。

 「エイズになって数年以内に死ぬか、飢えのために数週以内に死ぬか、子供たちにはどちらかの選択肢しかないのです」

 このレポートは次のようにも言っています。

 「世界中には性的搾取を受けている数百万人の子供たちがいる。少女たちの年老いた夫はすでにHIVに感染していることが多く、少年たちは社会的なプレッシャーから危険な性行為をおこなっている。」
(少年たちについて述べているこの意味が私にはよく分かりません。買春やコンドームを用いない性行為を強要される社会的圧力がある、という意味なのでしょうか・・・。だとするならば、それは貧困でコンドームが手に入らないからなのでしょうか。あるいは、宗教的、社会的慣習が彼らにそのような行動を強いるのでしょうか。また、少女についてもよく分からないところがあります。十代の少女が老人に嫁いでいるという社会背景があるのでしょうか。いずれにせよ、このレポートの原文(英語)にはそのように書かれています。)

 Planは、このレポートで子供たちの困窮した現実を述べるのと同時に、子供たちに対する希望も述べています。

 「子供たちは同世代の者に対する大きな影響力を持っている。だから、社会を改善するのに必要なリーダーは子供たちなのである。それが、我々がHIV感染予防のプロジェクトには子供たちが大切な役割を担っていると考える理由なのである。」

 実際にPlanは、世界中の若い世代と共にエイズ予防に関する事業を展開しています。Planが考えるように、HIV/AIDSの問題のリーダーは若い世代が担うべきなのかもしれません。

(谷口 恭)