HIV/AIDS関連情報
2006年12月25日(月) ウェールズでもHIV感染が急増
昨日、英国スコットランドでHIV新規感染が急増しているというニュースをお伝えしたばかりですが(「スコットランドでHIV感染が急増」)、英国ではウェールズでも事態は深刻なようです。
12月1日のBBC NEWSによりますと、2005年のウェールズのHIV陽性率は人口10万人あたり26人となり、実数では760人となっています。2004年は10万人あたり23人、実数は674人ですから12.8%の増加ということになります。
ウェールズのHIV新規感染をまとめると次のようになります。
・最も感染が多いのは不特定多数との性行為をおこなうゲイである。
・HIVに感染している者は梅毒やウイルス性肝炎にも感染していることが多い。
・若い世代の異性愛者の間では淋病やクラミジアが流行している。
また英国全体では以下のような特徴があります。
・HIV新規感染者の35%が女性の異性愛者である。これは1996年の2倍である。
・新規感染者の54%が異性愛者で、85%は海外での感染である
こうしてみると日本も似たような状況であると言えるでしょう。
(谷口 恭)
12月1日のBBC NEWSによりますと、2005年のウェールズのHIV陽性率は人口10万人あたり26人となり、実数では760人となっています。2004年は10万人あたり23人、実数は674人ですから12.8%の増加ということになります。
ウェールズのHIV新規感染をまとめると次のようになります。
・最も感染が多いのは不特定多数との性行為をおこなうゲイである。
・HIVに感染している者は梅毒やウイルス性肝炎にも感染していることが多い。
・若い世代の異性愛者の間では淋病やクラミジアが流行している。
また英国全体では以下のような特徴があります。
・HIV新規感染者の35%が女性の異性愛者である。これは1996年の2倍である。
・新規感染者の54%が異性愛者で、85%は海外での感染である
こうしてみると日本も似たような状況であると言えるでしょう。
(谷口 恭)
2006年12月24日(日) スコットランドでHIV感染が急増
このウェブサイトの読者の方にはしつこく聞こえることと思いますが、先進国でHIV感染が増えているのは何も日本だけの話ではなく、多くの先進国が同じような状況に直面しています。
英国スコットランドも例外ではなく、新規感染の増加率は過去最高となっています。12月1日のBBC NEWSによりますと、今年のHIV新規感染者は、昨年から11%の増加を示し、現在のHIV陽性者はおよそ3,400人です。
この地域ではゲイの間で新規感染が急増しているのが特徴です。特にロジアン州ではゲイのHIV感染増加率は62%にも上ります。しかしゲイだけではありません。異性愛者の男性及び女性の薬物中毒者の間でも急激にHIV新規感染が広がっているようです。
(谷口 恭)
英国スコットランドも例外ではなく、新規感染の増加率は過去最高となっています。12月1日のBBC NEWSによりますと、今年のHIV新規感染者は、昨年から11%の増加を示し、現在のHIV陽性者はおよそ3,400人です。
この地域ではゲイの間で新規感染が急増しているのが特徴です。特にロジアン州ではゲイのHIV感染増加率は62%にも上ります。しかしゲイだけではありません。異性愛者の男性及び女性の薬物中毒者の間でも急激にHIV新規感染が広がっているようです。
(谷口 恭)
2006年12月22日(金) 中国のエイズキャンペーン
12月1日は世界エイズデイですが、その前日(つまりエイズデイ・イヴ)に北京の建築作業員たちが、ツルハシを置き、コンドームとセーフセックスのパンフレットを持ってパレードをおこないました。11月30日のロイター通信が報道しています。
現在北京では2008年のオリンピックに向けて多くの建築物が構築されており、地方からおよそ100万人の出稼ぎ労働者が集まってきています。出稼ぎ労働者は、たいてい独身でわずかな給料で現場の作業をおこなっています。中国のほとんどの地方では性教育がタブー視されていることもあり、北京にやってきた労働者の多くはHIVや性感染症に対する正しい知識を持ち合わせていません。
中国保健省によりますと、2006年1月から10月に、中国ではHIV陽性者が約30%の勢いで増加しています。保健省は現在の中国のHIV陽性者を183,000人としていますが、UNAIDSは65万人とみています。現在保健省が懸念しているのは、薬物中毒者や売春婦から一般市民へのHIV感染です。
エイズデイ・イヴのキャンペーンは北京の約5千人のタクシードライバーの間でもおこなわれたようです。12月1日から10日までの10日間、これらドライバーたちは乗客にエイズ予防のパンフレットを手渡していたそうです。
(谷口 恭)
現在北京では2008年のオリンピックに向けて多くの建築物が構築されており、地方からおよそ100万人の出稼ぎ労働者が集まってきています。出稼ぎ労働者は、たいてい独身でわずかな給料で現場の作業をおこなっています。中国のほとんどの地方では性教育がタブー視されていることもあり、北京にやってきた労働者の多くはHIVや性感染症に対する正しい知識を持ち合わせていません。
中国保健省によりますと、2006年1月から10月に、中国ではHIV陽性者が約30%の勢いで増加しています。保健省は現在の中国のHIV陽性者を183,000人としていますが、UNAIDSは65万人とみています。現在保健省が懸念しているのは、薬物中毒者や売春婦から一般市民へのHIV感染です。
エイズデイ・イヴのキャンペーンは北京の約5千人のタクシードライバーの間でもおこなわれたようです。12月1日から10日までの10日間、これらドライバーたちは乗客にエイズ予防のパンフレットを手渡していたそうです。
(谷口 恭)
2006年12月21日(木) インドネシアのHIV感染、2010年に倍増
インドネシアの人口は2億2千万人で世界第4位です。HIV/AIDSに関しては、インドネシア当局はエイズを発症したおよそ7千人しか把握していませんが(このうち1,651人はすでに死亡しています)、関連機関は現在のHIV陽性者は169,000人から216,000人とみています。
適切な対策を取らなければ2010年のHIV陽性者は50万人にもなる・・・、現在インドネシア当局はそのような試算をしています。
11月28日のロイター通信によりますと、インドネシア保健省のスパリ氏(Ms.Supari)は、「現在当局が把握しているHIV陽性者は氷山の一角であり、報告されていないケースがかなりある」、とコメントしています。
インドネシアはおよそ17,000の島から成っており、医療へのアクセスは困難な地域も多く正確なデータが把握できていません。
スパリ氏は言います。
「当局が把握しているエイズ発症者の半数以上は薬物中毒者だが、現在感染を広げているのは売春婦とその顧客である。買春をしている者は250万人から380万人にものぼり、このうちコンドームを使用しているのはわずか15%である。そして売春婦と買春客が配偶者や子供への感染を広げている」
インドネシアは現在エイズキャンペーンを展開しており、エイズの治療がおこなえる病院を増やすことに力を注いでいます。今後5年間で80億ルピア(約871百万ドル、約1,040億円)の予算を費やす予定です。
インドネシアは世界で最もイスラム教徒の多い国ですが、その多くは性行為に対し自由な考えを持っていると言われています。多くの地域で売買春産業が主要な経済となっているのが現状です。
一方で保守派のイスラム教徒は、コンドームの使用を促すようなキャンペーンに抵抗を示しており、禁欲とパートナーに対する忠誠を訴えています。
(谷口 恭)
適切な対策を取らなければ2010年のHIV陽性者は50万人にもなる・・・、現在インドネシア当局はそのような試算をしています。
11月28日のロイター通信によりますと、インドネシア保健省のスパリ氏(Ms.Supari)は、「現在当局が把握しているHIV陽性者は氷山の一角であり、報告されていないケースがかなりある」、とコメントしています。
インドネシアはおよそ17,000の島から成っており、医療へのアクセスは困難な地域も多く正確なデータが把握できていません。
スパリ氏は言います。
「当局が把握しているエイズ発症者の半数以上は薬物中毒者だが、現在感染を広げているのは売春婦とその顧客である。買春をしている者は250万人から380万人にものぼり、このうちコンドームを使用しているのはわずか15%である。そして売春婦と買春客が配偶者や子供への感染を広げている」
インドネシアは現在エイズキャンペーンを展開しており、エイズの治療がおこなえる病院を増やすことに力を注いでいます。今後5年間で80億ルピア(約871百万ドル、約1,040億円)の予算を費やす予定です。
インドネシアは世界で最もイスラム教徒の多い国ですが、その多くは性行為に対し自由な考えを持っていると言われています。多くの地域で売買春産業が主要な経済となっているのが現状です。
一方で保守派のイスラム教徒は、コンドームの使用を促すようなキャンペーンに抵抗を示しており、禁欲とパートナーに対する忠誠を訴えています。
(谷口 恭)
2006年12月19日(火) 中国雲南省、HIV陽性を当局がパートナーに通知
現在GINAが支援しているタイのパヤオ県では、あまりにも夫婦間のHIV感染が多いために、現在では結婚前のHIV検査が義務付けられています。
これと一見似ているような試みが中国雲南省で始まります。12月2日のロイター通信によりますと、今年の1月以降にHIV感染が判った人の結果が、これから結婚する予定のパートナーに当局から通知されることになるようです。
タイのパヤオ県と中国雲南省の試みは似ているようにみえますが、決定的に異なる点を見逃すことはできません。
パヤオ県では検査に同意したカップルが、結婚前に保健所や病院を訪れてふたりで検査を受けます。カップルの間では、「結婚するにはHIV検査が必要だから一緒に受けにいこうね」、という会話がなされるでしょう。
それに対し、雲南省の方式では、検査結果が本人の同意なく、自動的にパートナーに通知されることになります。
カップルの間で、HIVの話を充分にした上でふたりで検査を受けに行くのと、本人の許可なく自動的にパートナーに通知がいくのとでは、その意味がまったく異なります。事前にHIVの話をしていれば、例えば、「どちらかが感染していても一緒になろうね」、といった話にもなるでしょうが、突然何の予告もなく「あなたの結婚相手はHIV陽性です」という通知が届けば、同じHIV感染でも受け止め方が大きく異なるでしょう。
いずれ、日本でもこのような試みがおこなわれるようになるかもしれません。私は『今そこにあるタイのエイズ日本のエイズ』でも指摘していますが、すべてのカップルは交際を始めたときにHIVや他の性感染症の話をおこない、必要であれば検査を一緒に受けに行くべきだと考えています。
尚、参考までに当局が発表している雲南省のHIV陽性者は47、314人で、中国全体では183,733人(2006年10月末現在)ですから、およそ4分の1が雲南省ということになります。この割合はともかく、UNAIDSの試算では中国全土で65万人、さらにその何倍にもなるという関係者も少なくありません。
(谷口 恭)
これと一見似ているような試みが中国雲南省で始まります。12月2日のロイター通信によりますと、今年の1月以降にHIV感染が判った人の結果が、これから結婚する予定のパートナーに当局から通知されることになるようです。
タイのパヤオ県と中国雲南省の試みは似ているようにみえますが、決定的に異なる点を見逃すことはできません。
パヤオ県では検査に同意したカップルが、結婚前に保健所や病院を訪れてふたりで検査を受けます。カップルの間では、「結婚するにはHIV検査が必要だから一緒に受けにいこうね」、という会話がなされるでしょう。
それに対し、雲南省の方式では、検査結果が本人の同意なく、自動的にパートナーに通知されることになります。
カップルの間で、HIVの話を充分にした上でふたりで検査を受けに行くのと、本人の許可なく自動的にパートナーに通知がいくのとでは、その意味がまったく異なります。事前にHIVの話をしていれば、例えば、「どちらかが感染していても一緒になろうね」、といった話にもなるでしょうが、突然何の予告もなく「あなたの結婚相手はHIV陽性です」という通知が届けば、同じHIV感染でも受け止め方が大きく異なるでしょう。
いずれ、日本でもこのような試みがおこなわれるようになるかもしれません。私は『今そこにあるタイのエイズ日本のエイズ』でも指摘していますが、すべてのカップルは交際を始めたときにHIVや他の性感染症の話をおこない、必要であれば検査を一緒に受けに行くべきだと考えています。
尚、参考までに当局が発表している雲南省のHIV陽性者は47、314人で、中国全体では183,733人(2006年10月末現在)ですから、およそ4分の1が雲南省ということになります。この割合はともかく、UNAIDSの試算では中国全土で65万人、さらにその何倍にもなるという関係者も少なくありません。
(谷口 恭)