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2007年4月25日(水) 中国、地方の子供たちが人身売買の危機

 4月4日のAP通信が、中国の地方に住む子供たちが人身売買の危機にさらされている現状を報告しています。

 中国の地方では農家の親たちが仕事を求めて都心部に出稼ぎに行くことが多く、両親不在の間に子供たちが売られていくという現状があります。もちろん、中国政府はこのような事態を深刻に受け止め厳重な処罰を課していますから、全体的には減少傾向にはあります。

 ここ数年間では1億5千万人から2億人もの人々が地方から都心部に出稼ぎに出向き、工場や建築現場で働いています。今後15年から20年の間に数億人もの人たちが都心部に向かうことが予想されています。

 障害を持っていたり、HIVに感染したりしている子供たちも人身売買がおこなわれることがあり、こういった子供たちは物乞いをさせられます。

 中国西部に位置する新疆(しんきょう)では、数万人の子供たちがギャングやマフィアに誘拐されているという試算もあります。誘拐された子供たちは、ギャングたちに「すり」として育てられ、中国東部で働かされているとの情報もあります。

 中国南部に位置する雲南省や広西の子供たちは、中国都市部や、さらにタイやマレーシアなどで買春産業に従事させられているとも言われています。

 親が都心に出稼ぎに行き、残された地方の子供たちはたいへん脆弱な存在です。子供たちの面倒をみる祖父母たちは必ずしも健康ではなく、しっかりした施設はそれほど多くないからです。

 しかしながら、両親が子供たちを都心に連れて行くことにも問題があります。地方からいきなり都心に連れてこられた子供たちはそれまでとはまったく異なる新しい環境になじめないことも多く、両親は仕事で多忙となるため子供と過ごす時間がないからです。

(谷口 恭)