HIV/AIDS関連情報

2006年9月27日(水) 喫煙はHIV感染のリスク(続編)

 タバコがHIV感染のリスクを増加させることが分かった、というニュースをお伝えしましたが(「喫煙はHIV感染のリスク」2006年9月23日)、9月23日のBBC NEWSにさらに詳しく報道されていましたので報告いたします。

 喫煙することにより身体の免疫システムに何らかの変化が起こるのではないか、という説を前回は紹介しましたが、この研究を発表した学者はもうひとつの可能性を考えているようです。

 それは、「喫煙者は危険な性行為をおこないやすい」、ということです。この結果、喫煙者は非喫煙者に比べて、HIV感染のリスクが60-300%も増加する、と研究者は述べています。

 BBCではもうひとつ、喫煙の重要な点を指摘しています。前回お伝えしましたように、「HIV陽性者の喫煙はAIDS発症に関連性がない」、という結果が出たそうですが、実はこれは抗HIV薬を服用していない場合の結果です。

 2006年初期、アメリカでHIV陽性の女性を対象とした5年間の大規模研究で、喫煙者は非喫煙者に比べて36%もエイズを発症しやすいことが分かったそうです。この研究の対象となったHIV陽性者は抗HIV薬を服用しています。

 抗HIV薬を服用していると高脂血症を起こしやすく、そのため虚血性心疾患に対するリスクが上昇します。またエイズの合併症には結核、カリニ肺炎など呼吸器疾患が少なくありません。こういったことを考えると、イギリスの研究ではエイズ発症と喫煙の相関関係はなかったとしていますが、やはりHIV陽性者は喫煙を控えるに越したことはないでしょう。

(谷口 恭)