HIV/AIDS関連情報

2006年12月4日(月) 中国、レズビアン専用ホットラインが誕生

 中国のゲイ専門クリニックやゲイ専門チャットルームなどについては以前もお伝えしましたが、上海ではレズビアン専用のホットラインも今月にオープンしたようです。11月23日のCHINA dailyが報道しています。

 Chi Hengという名前のレズビアン専用ホットラインは中国初の試みで、香港のある基金がスポンサーとなり、電話相談に応じるのはトレーニングを受けたレズビアンのカウンセラーです。(中国ではレズビアンは"ララ"と呼ばれます)

 Chi Hengの代表者であるChung To氏は、カミングアウトをしているゲイです。Chi氏は次のように述べています。

 「電話相談に応じるカウンセラーは全員レズビアンです。レズビアンが抱えている社会的圧力やストレスを最も理解できるのは同じレズビアンだと考えているからです」

 現在の中国のレズビアンの状況に関して、社会学者の李銀河(Li Yinhe)氏は次のように述べています。

 「中国では、レズビアンは(ゲイと比べれば)、社会や家族、友人たちからは比較的理解され受け入れられているが、それでも多くのレズビアンは男性との結婚を強要され、悲惨な人生を過ごしているのが実情である」

 尚、李銀河氏は現在の中国で最も気鋭な女性社会学者と言われており、最近ある性のフォーラムで「スワッピングを奨励すべき」と発言したことで物議をかもしました。(詳細は「スワッピングは奨励されるべきか」2006年11月27日参照)

 中国には、同性愛の公的な統計はありませんが、保健省は、2004年末の時点で中国全土のゲイは500万人から1,000万人になるであろうとみています。これよりも多いとみる関係者も少なくなく、なかには少なくとも3,000万人と試算している専門家もいるようです。

 ほとんどのゲイやレズビアンはいわゆるカミングアウトをしておらず、そのため性交渉の相手をいわば"地下"で探すこととなり、これがHIVを含む性感染症のリスクを高めているのではないかとみられています。ある試算では、ゲイの1%がHIV陽性であるとされています。

 尚、ゲイ専門のホットラインは、北京、上海、広州などに数多く存在します。これらのほとんどはゲイのボランティアや医療や家族計画関連の組織に属する専門家が電話相談に応じています。

(谷口 恭)