HIV/AIDS関連情報

2006年11月27日(月) スワッピングは奨励されるべきか

 「HIV蔓延を防ぐには結婚まで貞操を守るべきだ」、そのような提唱をし、ブッシュ政権はテキサス州で禁欲対策をおこないましたが、結果は、HIV感染が増えたというデータはないものの、禁欲対策をおこなったことによってかえって非童貞率が増えたという皮肉なものになりました。

 HIVの観点からではありませんが、このブッシュ政権の政策とはまったく逆の案を提唱している社会学者が中国にいます。

 その社会学者は、李銀河(Li Yinhe)氏という中国で最も有名な社会学者(女性)のひとりだそうです。11月6日のUPI通信によりますと、李銀河氏は「広州性文化展示会(Guangzhou Sex Culture Exposition)」という名の性のフォーラムで、「スワッピング(妻の交換)はノーマルな娯楽である」と発言し、これが物議をかもしています。

 これに対し、広東省人口家族計画委員会(Guangdong Provincial Population and Family Planning Committee)の幹部であるZhang Feng氏は、李銀河氏のこの発言に不快感を示し、「スワッピングによりHIVや他の性感染症が蔓延する恐れがあり、性のフォーラムでこのような発言をすること自体を認めることができない」、と発言しています。

 このフォーラムには初日だけで6万人以上が参加したそうです。

********

 ブッシュ政権がおこなったような「禁欲」は非現実的でしょうが、スワッピングを奨励してHIVが蔓延するようなことがあれば問題です。しかし、予防対策をきちんととれば感染は防げるという意見もあるでしょうから、スワッピングを性感染の観点からのみで禁止することもナンセンスかもしれません。「性」の問題は本当にむつかしいことを実感します。

(谷口 恭)