HIV/AIDS関連情報

2006年10月30日(月) リビアのHIV院内感染、真実の行方は・・・(第3報)

 2006年8月10日の「リビアのHIV院内感染、真実の行方は・・・」及び9月22日「リビアのHIV院内感染、真実の行方は・・・(続編)」でお伝えしましたように、現在リビアでは、故意にHIVを大勢の子供たちに感染させたとして、ひとりのパレスチナ人の医師と5人のブルガリア人の看護婦が投獄されています。いったん死刑判決が出されましたが、最高裁で判決がくつがえったことから審理が再度おこなわれていました。

 ところが、最近になって再びこれら6人の容疑者に死刑判決が言い渡されました。しかし、もちろん反対意見は少なくありません。10月25日のBBC NEWSがそれを伝えていますのでご紹介いたします。

 専門家のひとりは、子供たちが感染しているHIVは様々なタイプのものが混じっており(だから故意に感染させたのではない)、同時に肝炎に感染している者も多く、不衛生な環境が院内のいたるところにあることを指摘しています。

 再度の死刑判決に対し、科学誌「ネイチャー」は異例の行動に出ました。検察側が提出した資料を入手し、それを英訳し、6カ国のエイズ専門医たちに検証させたのです。その結果、すべてのエイズ専門医は「あきれるほど不備だらけの資料だ」とコメントしています。

 ある伝染病学者は、「6人が故意に子供たちにHIVを感染させたことを示す証拠など何ひとつない。そればかりか、なかにはその6人が働き始める前からすでに感染していた子供もいることが分かっている」、と述べています。

 今回の死刑判決に対して近日中に再審議がおこなわれる予定だそうです。

 GINAは、今後もこの事件を追っていきたいと考えています。

(谷口 恭)