HIV/AIDS関連情報

2006年10月28日(土) 中国、ゲイの間でHIVが急増

 中国ではゲイの間でHIV新規感染が急増していることを、青島(チンタオ、Qingdao)大学のZhang Beichuan教授が宜昌(ぎしょう、Yichang)で開かれたエイズ会議で報告しました。詳細が10月22日のCHINA DAILYに報道されていますのでご紹介いたします。

 Zhang教授は次のように述べています。

 「中国では成人のゲイの1.5%がHIV陽性と言われている。保健を担当する行政はゲイの間でのHIV感染を防ぐ対策を立てねばならない。この国ではゲイは成人男性の2-4%に相当する」

 同教授が調査をおこなった中国北西部のある都市では、調査した215人のゲイのうち、コンドームを使用していたのはわずか20%であったと言います。そして、この問題は教育レベルの低さにあるわけではないことがわかりました。なぜなら、彼らのおよそ半数は大学を卒業しているからです。

 2005年に北京でおこなわれた482人のゲイに対する調査では、自分たちがHIVのリスクであるという理解をしていたのはわずか15%でした。

 また、以前におこなわれたゲイに関する調査では、80%のゲイが、HIVが蔓延していることを知らなかった、という結果が出ています。

 同教授は言います。

 「ゲイが女性と結婚しなければならないような社会的圧力があることが事態をさらに悪化させている。早急に対策を取らなければ、より多くの人がHIVの危機にさらされることになるだろう」

 中国の社会ではゲイについて話すことがタブーとなっています。しかし、最近はゲイを同等に扱って彼らをHIVから守ろうとする世論もでてきているようです。

 「人々がどのように考えようが、ゲイは我々が直面しなければならない社会的課題である」、と保健省のある役人はコメントしています。中国疾病管理局は、今年に入ってゲイ専用のウェブサイトを立ち上げました。(参照「北京でゲイ専用の公的チャットルーム誕生」2006年8月16日

 中国当局は2003年に、ゲイのHIVに対する意識を高めることを目的として、ゲイのボランティア団体を中国全土に派遣しました。今では、中国の20の都市で、ゲイからなるグループが結成され、これらグループがゲイはどうやって感染のリスクを回避すべきかを教えているそうです。

 2004年におこなわれた調査では、中国全土のゲイの人数は500万人から1000万人だそうです。一方、レズビアンについては公的なデータはありませんが、Zhang教授はおよそ1000万人とみています。同教授は、レズビアンはゲイに比べて、危険性を自覚していることが多く、HIVのリスクはゲイに比べると高くはないとみているようです。

(谷口 恭)