ラックプサン エイズ自助グループ

ラックプサン エイズ自助グループ


 
2001年頃からスタートしたパヤオ県プサン郡のエイズ自助グループで、現在約120名のHIV陽性者がメンバーとなっています。正式名を「THE FOUNDATION OF TRAINING CENTER FOR AGRICULTURE AND OCCUPATION」といいます。

この組織は名称を直訳すれば分かるように、メンバーには農業や職業訓練の機会が与えられます。現実的には職業を得て生活費を稼ぐということはなかなかむつかしいのですが、それでもHIV陽性者が経済的に「自立」することを目標としています。

 このグループは120人の(正規)メンバー以外にも、約80人の子供のケアもおこなっています。子供たちの大半は、エイズで片方の親を亡くしています。なかには両親ともエイズで亡くした子供もいます。80人の子供たちのうち、15人は母子感染で自らもHIVに感染しています。

 グループの活動としては、新規感染者の相談、医療機関受診の為の手続き代行、学校等での啓発運動、子供達へ奨学金の助成など、です。また、現在は、地元のラジオ局で週3回啓発番組を放送しています。

 グループのメンバーの多くは定職がなく、農作業の手伝いや工事現場での作業などをしています。しかしそれだけでは生活ができませんので、多くの人は借金をせざるを得ないのが現状です。

 現在このグループの代表をつとめるのがKhanitta Akatsukaさんというタイ人女性の方で、大変精力的に活動されています。(Khanitta Akatsukaさんは、HIVに感染しているわけではありませんから、自助グループの「代表」というよりは「監督」といった方が正確かもしれません)

 タイでは通常本名ではなくニックネームで呼ぶのが普通で、Khanitta Akatsukaさんはトムさんと呼ばれています。(ちなみに、「トム」と聞くと男性がイメージされがちですが、タイ人でトムというと普通は女性です。名著『メナムの残照』の作者トム・ヤンティ氏も女性です)

 トムさんは日本に留学されていたこともあり、母国語のタイ語以外に英語も日本語も堪能です。

(文:谷口恭 2010年9月7日更新)