HIV/AIDS関連情報

2007年6月4日(月) インドの悪徳クリニック

 インドには、「エイズを治せる」と言って、HIV感染者の弱みにつけこむような悪徳クリニックが数千件もあると言われています。

 インドでは、まともな医療をおこなっているクリニックでは治療費が高額となるため、効果のないハーブ療法、ホメオパシー、薬物治療などを供給する悪徳クリニックに訪れる感染者が少なくないのです。

 また、感染者に対する病院内での差別や社会的スティグマがはびこるなかでは、陽性者はまともな医療機関に行きづらいという現状があり、そのため新聞広告やポスターで宣伝されている悪徳クリニックを訪れることになります。

 5月29日のロイター通信によりますと、こういった悪徳クリニックに対抗するキャンペーンがHIV陽性者のネットワークによって立ち上げられました。

 このネットワークの代表者であるシャバナ・パテル(Shabana Patel)氏は言います。

 「悪徳クリニックはエイズ撲滅への道を妨げているだけではなく、貧しくて教育を受けていない患者をだましているのです」

 悪徳クリニックが、偽りの治療で感染者にどれくらいの支払いを強いているのかはクリニックによって様々だそうですが、ある関係者は、「1年間の費用が3千ドル(約36万円)以上するケースが多い」、と言います。

 この関係者はさらに続けます。

 「悪徳クリニックでは血液検査すらしない。偽りの診断方法で"奇跡の治療薬"を売りつけているのです」

 上記のネットワークのもとには、悪徳クリニックの被害に会った感染者からの問い合わせが今年の4月だけで100件以上もあったそうです。

 インドでは今後5年間で約28億ドル(約3,400億円)の予算がエイズ予防に費やされ、抗HIV薬を享受できる感染者を増やすことになっています。

**************

 "悪徳クリニック"の医者が本物の医者かニセ医者かは報道からは分かりませんが、本物の医者なら民間のネットワークではなく行政が対策をとるでしょうから、おそらく民間療法の類のクリニックだと思われます。

 いかがわしい民間療法のクリニックは日本も含めて世界のどこにいっても存在するでしょうが、貧困で教育を受けていないHIV陽性者をだましている、ということに強い憤りを感じます。

(谷口 恭)