HIV/AIDS関連情報

2007年5月7日(月) 上海、HIV感染者が急上昇

 昨年(2006年)の上海の新規HIV感染者が過去最高となったことが、上海当局の調査で明らかとなりました。(報道は4月14日のCHINA DAILY)

 昨年、上海では新たにHIV感染が判った者が718人で、53人がエイズを発症していました。これは前年から54%の増加となります。

 これだけ高い増加率を示しているのにもかかわらず、上海でのHIV感染は、依然中国全土の平均よりも低い数字を示しています。

 上海で初めてHIV感染が報告されたのは1987年で、その後2006年末までに合計2,313人の感染者が報告されています。このうち100人はすでに死亡しています。

 関係者によりますと、上海では様々な感染ルートがありますが、なかでも売買春と薬物中毒者が多いそうです。当局はHIV撲滅に力を入れていますが、裏社会の売春産業は正確なデータが把握できていないそうです。

 今後は上海の保健当局は警察と協力して売春産業の摘発に力を注ぐそうです。また、薬物中毒者に対してはメタドン療法(麻薬の代替物を中毒者に内服させることにより麻薬を断ち切る治療法)を普及させるようです。

 関係者は次のようにコメントしています。

 「上海では、中国東部の他の地域と同じように性交渉でのHIV感染が増加している。すべての関係当局がHIV減少に取り組まなければならない。HIV感染は単なる感染症ではない。法律や教育、女性の生殖や税関などとも関連がある問題である」

 上海ではHIV以外の性感染症も問題となっています。今年の3月だけで935件の梅毒が報告され、これは深刻な感染症全体の4分の1以上を占めています。

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 私が勤務するクリニックにも、中国帰りの性感染症の患者さんがたくさん受診されます。患者さんのなかには、「中国でビジネスをしようと思えば売買春は避けて通れない道だ・・・」と言う人もいます。

 百歩譲って、売買春が避けられないのだとしても、予防することはできるはずです。

(谷口 恭)