HIV/AIDS関連情報

2007年3月16日(金) 世界銀行がタイの若者を危惧

 タイの将来を担うべき若者が多くの危険にさらされている・・・

 こんな発表を世界銀行がおこない、3月14日のバンコクポストが報道しています。世界銀行は、昨年(2006年)、新たにHIVに感染した15,000人のうち40%が若者であることも重要視しています。(注1)

 世界銀行は、「知識が欠落しているために若者は脆弱な存在である」と述べ、過去にはそれなりに成功したエイズへの予防啓発はここ数年で後退していることを指摘しました。

 タイでは、12歳から24歳の喫煙と飲酒が数年間に急増していることも問題となっています。世界銀行は、若者の不健康な生活を改めるにはアルコールとタバコの税率を上げるべきだと主張し、これらの税金が20%上がれば少なくとも10%の若者が飲酒と喫煙をやめるとする研究を引き合いに出しています。

 また、タイでは充分な教育を受けていないことが原因で、いい仕事に就けていない若者が多いことも指摘されました。1994年から2002年にかけての中学校への入学率は、女性は9%上昇し71%となりましたが、男子はわずか3%上昇したのみで64%にすぎません。中学に進学できない理由は金銭上の問題であることが多いようです。(注2)

 「タイ政府は教育予算を増額し、教師は教育の技術の向上に努めるべきで、タイの学校の教育レベルを上げなければならない。タイの最も質の高い学校は先進国の最も質の低い学校以下であることがわかった」、と世界銀行はコメントしています。

 大学を卒業していても就職が見つからない理由として、コンピュータースキルや英語力に乏しいことがあげられています。また、およそ10万人の障害をもった子供たちや移民者は公的な教育システムを享受できない現状があることも問題視されています。

注1 バンコクポストは、「15,000人の若者がHIVに感染し、これが新規感染者の40%に相当する」としていますが、上に述べたように「新規感染者15,000のうち40%が若者」が正しいと思われます。原文は、more than 15,000 Thai youths
were infected with Aids in 2006, accounting for 40% of new patientsです。

注2 現在のタイは中学(secondary school)は一応義務教育です。