HIV/AIDS関連情報

2007年3月1日(木) インド女性の半数は"エイズ"を知らない

 2月23日のロイター通信によりますと、インド政府の調査でインドの全女性の40%以上がエイズという病を知らないということが分かりました。

 この調査はユニセフと英・米国の二国が協力し、インドのNFHS(国民家族保健調査)がおこなったもので、インド全域で国民の健康と栄養状態が調べられました。その結果、インド全域でエイズという病を知っていた者はわずか57%という結果がでました。

 地方だけでみてみると、エイズという病を知っている女性は46%にとどまります。なかでも、約8,500万人の人口を抱える北東部のビハール州では、エイズを知っている女性はわずか35%のみで、さらにこの州の村によっては30%にまで下がります。

 これだけ低くしか認知されていない理由のひとつに、これまでインド政府がとってきたエイズ対策があげられます。政府は、ドラッグユーザーや売春婦といったハイリスクグループのみに予防活動をおこなっており、広く国民に対する活動はこれまでおこなってきませんでした。

 次に、インドの地方のインフラの遅れがあります。インドの多くの地方では、家にテレビがなく、電気自体が通っていない地域も少なくありません。国民に広く予防活動を訴えるにはインフラの整備が必要であると言えるでしょう。

 さらに、インド女性の識字率の低さも原因のひとつです。インドでは、男性の76%が文字を読めるのに対して、女性では54%のみです。実際、エイズを知っていると答えた男性はインド全域でおよそ8割という結果がでており、男女間の識字率の違いが今回の結果につながっているとみられています。

 インドでは過去数年間で女性の感染者が増えており、現在全感染者の約4割が女性で、このなかには主婦も少なくありません。主婦の感染源は自身の夫であり、夫たちは、都会に出稼ぎに行き、都会での売春行為でHIVに感染しているのです。

 ロイター通信のこの報道では、スティグマがあるためにHIVに感染しているということを夫が妻に言えない状況があるとしています。

(谷口 恭)