HIV/AIDS関連情報

2007年2月20日(火) バンコクのシャブ中が警官を刺す

 タイで覚醒剤を含む違法薬物に関する事件が相次いでいますが、覚醒剤のリスクには、HIVやC型肝炎ウイルスなどの感染症、薬物そのものの作用による心身の破壊の他に"被害妄想"があります。

 2月19日のバンコク週報によりますと、覚醒剤中毒の25歳の男性がパトロール中の警官の顔面をナイフで刺しました。

 この中毒者は、事件前夜より母親に暴力をふるうなど半狂乱の状態になり、誰も手がつけられなくなっていたそうです。そして夜明けに家を飛び出し、駐車中のタクシーや自家用車をこん棒でメッタ打ちにしているところをパトロール中の45歳の警官が通りかかりました。

 この警官がこの中毒者の身柄を拘束しようとしたところ、中毒者は刃渡りの長いナイフで警官の顔面を刺し、そのまま近くの長屋に逃げ込みました。

 その後、応援に駆けつけた警官が長屋から出てくるように呼びかけましたが、中毒者が無視したために警察は催涙弾を長屋に打ち込み、たまりかねて長屋を飛び出した中毒者を逮捕したそうです。

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 おそらく覚醒剤の作用が切れたために強烈な被害妄想がこのシャブ中を襲ったのでしょう。夜間の救急外来をしていると、警察やKGBに襲われる~、と言って病院に飛び込んでくる患者さんがいますが、そういう人はかなりの確率で覚醒剤が切れたときの被害妄想が出ています。

 こういう話をもっと普及させて覚醒剤の恐ろしさを訴えれば、少しくらいは興味本位で薬物に手を出す人が減るでしょうか・・・

(谷口 恭)