HIV/AIDS関連情報

2007年1月29日(月) オプラ・ウィンフリーが南アフリカで私学校を設立

 オプラ・ウィンフリーというアメリカの名司会者をご存知でしょうか。彼女は全米で最も人気のある司会者のひとりで幅広い年齢層からの支持を集めています。オプラは今でこそ高額を稼ぎ出す有名人ですが、幼少児はかなりの貧困を強いられていました。

 1月8日のAP通信によりますと、そのオプラが南アフリカ共和国で女子のための学校を設立しました。設立にはかなりの予算が投じられ、52エーカー(約21万m2)の土地に28個の校舎が建てられたそうで、まるで高級ホテルのような外観を呈しているそうです。さらに、教室には最先端の設備が導入され、コンピュータ、実験室、図書館、映画館や健康センターまで用意されているそうです。生徒たちひとりひとりには、まるでスイートルームのような2つのベッドルームが用意されます。生徒たちの成長を見守るため、オプラの部屋もキャンパス内に設立されるそうです。

 この学校に入学できるのは、3,500人の応募者から選ばれた11歳から12歳の女子152人で、応募資格は勉強とリーダーシップの双方に優れており、なおかつ家の収入が一月787ドル(約94,000円)以下という条件が付けられています。最終的には生徒数を450人まで増やすようです。

 この学校は今月からオープンしましたが、オープニングの日には、オプラ自身が生徒たちの見守るなかでHIVの検査をおこないました。オプラは生徒たちに次のように話しました。

「偉大なリーダーになるためには、理性・身体・精神のいずれもがしっかりしてないといけないの。正しいことをおこなう勇気を持つことはリーダーシップに必要なのよ。今日は、HIVの検査の重要性をみんなに知ってもらうために私自身がHIVの検査を受けるわ」

 オプラは、152人の生徒全員に対して、HIVの検査とカウンセリングが受けられ、もし必要であれば治療も受けられることを約束しました。検査の結果については秘密が守られますから、オプラ自身の結果も知らされていません。生徒たちへの検査は強制的なものではなく、その結果によって退学や学校行事に参加できないといったことはないことも約束しました。

 南アフリカは現在世界で2番目にHIV陽性者の多い国で、人口4800万人のうち540万人が陽性です。2006年にはエイズ関連疾患で毎日950人が死亡し、新たに感染する者は1日あたり1,400人もいます。昨年一年間では53万人もの人が新たにHIVに感染しています。南アフリカ当局の報告によりますと、現在のエイズの蔓延状態を考えると、現在15歳で60歳の誕生日を迎えられる者は半分以下だそうです。

 この記事を伝えたAP通信によりますと、オプラのこの学校に入学した女子の大半は、両親がHIVに感染しているそうです。

(谷口 恭)