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2007年1月27日(土) 中国で梅毒が爆発的に増加

 1月12日のChina Dailyによりますと、1949年の中華人民共和国建国以来、ほとんど消滅したかのように捉えられていた梅毒が、実際は爆発的に増加しているようです。この原因として、売春、国内での労働者の移動、低レベルの公衆衛生、などが挙げられます。

 中国での梅毒罹患率は、1993年には人口10万人あたりわずか0.2人でした。それが2005年には、人口10万人あたり5.7人と劇的に上昇しています。しかし、中国の疫学者によるとこの数字は実情を反映しておらず、実際はこれよりもはるかに多いそうです。

 さらに注目すべきは新生児梅毒の増加です。1991年には新生児梅毒は、新生児10万人あたりわずか0.01人でした。ところが2005年には19.68人まで上昇しているのです。

 この報告は、「中国性感染症センター(National Centre for STD)」の研究者が「ランセット」というイギリスの科学誌の1月13日号に載せた論文に詳しく掲載されています。

 実は、中国は1949年の中華人民共和国創立以前は、世界的に梅毒が流行した地域で、当時は都心部では20人に1人、地方でも住民の2~3%が罹患していました。

 梅毒はトレポネーマ・パリダムという細菌による感染症で、放置しておけば性器がただれたりできものができたりすることがあります。さらに放置すると心臓が障害を受け、最終的には脳までもが侵されます。また、妊婦が感染していると死産にもつながりますし、奇形をもって生まれてくる場合もあります。

(谷口 恭)