HIV/AIDS関連情報

2006年9月6日(水) 中絶を自分でおこなわされたインド人妊婦

 以前このコーナーで、インドの国会議員のHIV/AIDSに対する驚くべき無知を紹介しましたが(2006年8月27日「インド国会議員の驚くべき無知」)、どうやら無知なのは政治家だけではないようです。

 9月4日のロイター通信によりますと、インド東部のカルカッタ州立病院に、23歳のHIV陽性の妊婦が中絶希望で受診したところ、自分たちが妊婦からHIVに感染するかもしれないという馬鹿げた理由で医療従事者から処置を拒否され、その妊婦はひとりで中絶手術をさせられたそうです。

 2歳の子供の母親でもあるその女性は言います。

 「病院は私の気持ちをまったく理解しようとせず、私は自分の胎児を自分の手で取り出さなければならなかったわ。医療スタッフは遠くからそんな私をみて指示をするだけなの。そして必要な薬を手渡すこともせずに投げつけてくるのよ」

 現在彼女はあるエイズ活動家の保護を受けています。その活動家は言います。

 「この国では多くの医療従事者が患者に触れるだけでHIVが感染すると考えている」

 この記事にはもうひとつ信じられない事件が報道されています。オリッサ州のHIV陽性のある男性が、複数の人間に石をぶつけられ死亡したのです。しかも、この事件は病院の敷地内での出来事というから驚きます。この男性は2年前にHIV陽性であることが分かり、それが原因で村を追い出されていたそうです。

 インドでは、2003年にも同じ様な事件が起こっています。アンドラプラデシ州のある女性が、HIV感染が原因で親戚と隣人に石をぶつけられ亡くなったのです。

(谷口 恭)