HIV/AIDS関連情報

2006年9月28日(木) 現代のミャンマーの問題点

 相変わらず民主化の兆しが見えないミャンマーですが、9月22日のロイター通信が現代ミャンマーの問題点をまとめています。

 現在、ミャンマーには数万人の遊牧生活(nomadic life)をしている人がいますが、この理由は、どこかに定住すれば軍に厳しく管理されることになり強制労働を強いられるからです。この最たる被害者が、以前から軍に厳しい抑圧を課せられているカレン族です。

 国連安全保障理事会は同国の軍事政権を問題視しており、同国は国際的に注目を集めていますが、当の軍事政権は国際世論に一向に耳を貸そうとしません。

 現在ミャンマー軍事政権は、電話を盗聴し、ウェブサイトの検閲をおこない、インターネットカフェにはインターネット利用者の写真を撮影するよう義務付けています。一台3千ドル(約35万円)もする携帯電話を持っているのは軍の関係者だけです。

 そして現代ミャンマーの忘れてはならない問題が「医療危機」です。法律の欠如、公衆衛生の崩壊、長期にわたる政治腐敗が、無秩序な薬剤供給につながっています。薬が不適切に混ぜ合わせられることもあれば、服用方法が不適切であることも少なくないそうです。

 こういうことを続けていれば、薬剤耐性の結核やマラリアが蔓延することが予想されます。実際、タイとミャンマーの国境付近ではすでに問題になっています。そして、同様の問題がHIVで起こることが懸念されています。

 尚、UNAIDSのデータでは、現在ミャンマーのHIV陽性者は36万人で、これは成人のおよそ1.3%に相当します。

(谷口 恭)