HIV/AIDS関連情報

2006年9月23日(土) モザンビーク、刑務所内でHIVが蔓延

 カリフォルニアの刑務所でコンドームを配布する案が州議会を通過したというニュースを以前お伝えしましたが(2006年8月27日「カリフォルニアの刑務所でコンドーム配布の法案」)、このような現実的な政策をとれる地域はそれほど多くありません。

 9月21日のIRIN Newsに、モザンビークの刑務所内の実情が報告されています。

 モザンビークで最大の規模をほこるマチャバ中央刑務所(Machavva Central Prison)では、囚人間の性交渉が避けられない現実となっていますが、HIVをはじめとする性感染症の予防はほとんどおこなわれていません。

 「若い囚人は食べ物と安全を確保する代わりに年配の囚人と性交渉をもつことを強制されている」と、ある囚人が述べています。この囚人もまた、刑務所に入ってからHIVに感染したひとりです。

 刑務所内での男性間の性交渉は、少なくとも3つの観点からHIV感染のリスクを増加させます。ひとつはアナルセックスをおこなうということ、ふたつめはレイプがおこなわれているということ、そして3つめが他の性感染症に罹患するということです(他の性感染症に罹患していればHIVに感染しやすくなることはよく知られています)。

 UNAIDSはこの事態に対してコメントを発表しています。

 「刑務所内で男性間の性交渉が日常化しており、現実的に回避できないということを認めなければならない。そして、コンドームを潤滑油と一緒に使えるような措置をとるべきだ」

 この刑務所に収容されているHIV陽性者の治療をおこなっているMachava General Hospitalの医師Noorjehan Abdul Magid氏は言います。

 「たしかに収容される前からHIVに感染していた者もいるが、大半は収容後に刑務所内で感染している」

 過剰な収容人数、暴力、注射針の使いまわしやコンドームを用いない性行為といった危険な行為が刑務所内でのHIV感染に結びついています。HIVに関する知識が乏しいことや刑務所内の保健室が不充分であることも原因となってHIVが蔓延していると専門家はみているようです。

 モザンビーク全体で、刑務所内にHIVがどれだけ蔓延しているのかは不明だそうです。

(谷口 恭)