HIV/AIDS関連情報

2006年9月22日(金) まるで"おもちゃ"、タンザニアの少女たち 

 9月19日のIRINの情報によりますと、タンザニアのTAMWA(Tanzania Media Women Association)という機関が、「学校中退、10代の結婚、妊娠とHIV感染が強い相関関係にある」、という発表をおこないました。

 タンザニアの法律では、親の許可が得られれば15歳で結婚することができます。生殖医療や人口に関する発表をおこなっているUNPF(United Nations Population Fund)によりますと、タンザニアでは20-40%が成人になる前に結婚しています。

 TAMWAは、人口の多いタンザニアの東南海岸と中央部のモロゴロ県で今回の調査をおこないました。そして次のことが分かったとコメントしています。

 「少女たちの夫は複数の性パートナーを持っていることが多く、少女たちはHIV感染の危険にさらされている。成熟しておらず経済的に依存せざるをえない彼女たちは安全なセックスを求めることができない」

 また、タンザニアのAIDS Business Coalition of Tanzania(ABCT)の代表者Upendo Mwinchande氏は、IRINの取材に対し次にように述べています。

 「少女たちはあまりにも若すぎるためにHIVやエイズに関する知識を持っていない。そして夫の血液検査について理解する知識もない」

 TANWAの調査では、少女たちの76.6%がHIVの危険性についてある程度知っていましたが、ほとんどの少女はすでに結婚しており、カウンセリングをおこなった後でさえも検査を受けようとしなかったそうです。そして、検査を受けた少女たちのうちHIV陽性は6%を超えたそうです。これは全国民の感染率よりわずか1%低いだけです。(UNAIDSのデータでは、タンザニアのHIV陽性者は約140万人で国民の6.5%が相当します)

 前述のMwinchande氏は言います。

 「教育の環境も少女たちを不幸にしている。小学校まで距離があることが多く、彼女たちは通学の途中でレイプされたり、あるいは誘拐され結婚させられたりするということも少なくない。また、この地域の女性の文盲率は依然高いままである。なかには11歳になれば学校を退学させられ強制的に結婚させられる少女もいる。医学的にみて危険なのは、少女たちの性器は未発達であり、性行為をおこなうことによって傷がつきやすくHIVが侵入しやすくなるということだ」

 TANWAの報告書では次のように述べられています。

 「少女たちの性生活は完全に支配されている。結婚した彼女たちはまるで単なる"おもちゃ"である」

 TANWAの報告を受けたからなのか、タンザニア政府は教育改革をおこなうことを発表しました。現状を打開するために、学校の数を増やして中学に進学できる少女を増やす計画が来年から実行されるそうです。

(谷口 恭)