HIV/AIDS関連情報

2006年9月17日(日) 韓国でHIV差別禁止法制定の見込み

 9月5日のNation(タイの英字新聞)によりますと、韓国内閣は、HIV陽性者に対する差別を禁止する法案を採択しました。国会で承認されれば、来年前半には施行され、企業がHIV陽性者を不当に解雇することが禁じられるようになります。

 この法案自体には企業側に対する罰則はもうけられていませんが、違反者には既存の差別を禁止する法律が適用されることになるようです。この既存の法律では最高一年間の禁固刑が定められています。

 Nationが報じている韓国政府のデータによりますと、韓国は今年の6月までで累積4,227人のHIV感染が確認されており、73人が死亡しています。1日あたり平均2.2人の韓国人が新たにHIV感染しているそうです。

 尚、UNAIDSは、韓国の2005年の「生存しているHIV陽性者(PLWH, People Living with HIV/AIDS) 」を1万3千人としており、韓国政府の見解と大きな差があります。

 韓国では年々HIV感染が増加しており歯止めが利いていません。UNAIDSのデータをみても2003年は9400人ですから、2年で38%も増加していることになります。

 少し古いですが、2004年10月25日のKorea Heraldで報道された韓国のHIV事情について述べておきます。

 2004年の新規発見者でみるとおよそ7割が性感染で、異性愛者が51%、同性愛者が49%となっています。韓国全体でのコンドームの使用率はわずか12%です。このため政府はコンドーム普及のキャンペーンをおこなっているようです。

 韓国では外国人はHIV感染が分かると国外追放されてしまうので、検査を受けたがらない傾向にあるようです。

(谷口 恭)